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感想・レビュー・書評
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為末大さんの「諦める力」読了。
先日、今井むつみ先生と為末さんの対談本が面白かったので、とりあえずKindleUnlimitedに入っていた「諦める力」を読んでみた。
2013年に書かれた本。為末さんは、2012年に現役を引退しているので、その少し後に出た本ということなのですね。為末さんの現役引退については、ほとんど注目していいなかったので、当時、どんな感じだったのかわからないけれど、もしかしたら、引退に関して、いろいろな人から、いろいろなことを言われたのかな、と。そして、自分の「引退」に対する考えを、本という形で表明しておきたかったのかもしれないな、と思いながら読みました。
「諦める」という言葉にはネガティブなイメージがあるけれど、漢和辞典で「諦」を調べると、「あきらかにする、つまびらかにする」「さとる」などの意味もあるし、仏教では「明らめる」(真理や道理を明らかにして見極める)というポジティブな意味合いもある言葉なのだそうだ。
為末さんは、最初は100mをやりたかったとのこと。けれど、結果が出ず、コーチ(先生?)から、400mハードルの方が向いているから転向した方がいいとアドバイスされたのだそうだ。100mの選手を「諦めた」?いや、400mハードルを「選んだ」?
スポーツ選手に限らず、何かを極めたいと思っていても手が届かない時、「もう少し頑張ろう」と思って、「別の道の選択」の機会を逸することもある。時には、周りの人たちから「いま辞めたらもったいない」なんて言われるかもしれない。
そんな人生の選択の時に、何をどう考えるといいのか、為末さんはどう考えてきたのか、そんなことがぎゅっと詰まった本でした。
言葉で説明されても、いざ自分の立場で、何をどうすればいいのかは明確には当てはめられないけど、いろいろな気づきをもらえる本でした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
"走る哲学者"為末大氏のベストセラー本。
諦めることは決してネガティブなことではなく、能力を絞り込んで深めていくために必要な過程だと。
目的さえ諦めなければ、手段を変えるのは全く問題ない。
為末氏は勝つために100m走を諦めて、400mハードル走に移ったという。
たいした努力をしなくとも勝ってしまうフィールドを見つけて、活躍の場所を移すことが、残された人生を有意義に生きる術だと理解した。
このあたりはひろゆき氏の「1%の努力」に近い考え方かな。
肩の荷を降ろしてくれる、人生のバイブルにしたい最高の一冊。
時々読み返すためにも紙の本を購入しよう。
【Action plan】
絶対に諦めない人生の目的を一本決める。 -
18歳の時に自らの能力を見切り、まず世界では戦えない100メートル走から、工夫次第で世界一になるチャンスがある400メートルハードルへと種目変更した著者が、「前向きに諦める」ことの重要性を説いた書。悩めるアスリート向けの自己啓発本。
アスリートでない自分にはあまり響かなかった。
一応、なるほどと思ったのは、「「自分はどのくらいの確率で勝てる勝負をしているのか」ということを冷静に見なければならない。」、「「どこで勝つか」より「何が勝ちか」をはっきりさせておくことが、自分が本当に勝ちたいフィールドでの勝利につながる」、「人生は長く勝負は無数にある。負けない工夫より、負けにふてぶてしくなるほうが最後は強い。」くらいかな。 -
(2013/10/10)
「あきらめる」というのはネガティブワードで、到底書籍のタイトルにはなりえないところ。
それを400Mハードル世界選手権で2度の銅メダルを獲得した為末選手が、自身の経験を踏まえ、論理的に、哲学的に語っている。
まるで哲学者が書いたような、人間の内面に切り込む内容になっていて、ものすごく説得力がある。
長距離選手は哲学者的なところがあるというイメージを持っていたが、短距離の為末選手が、、これはすごい。
<目次>
第1章 諦めたくないから諦めた
第2章 やめることについて考えてみよう
第3章 現役を引退した僕が見たオリンピック
第4章 他人が決めたランキングに惑わされない
第5章 人は万能ではなく、世の中は平等ではない
第6章 自分にとっての幸福とは何か
自分で考えているのだ。この人は。
「もう少し頑張れ!」「できないのは努力が足りないからだ!」という言葉に反論する。
具体的根拠はあるのかと。その言葉を受けてやめることができず、結局ものにならぬまま30歳をすぎて
何もかも中途半端になってしまった選手を見ているのだ。
あきらめる は 明らめる が語源という。初めて知った。
自分の立ち位置を明らかにすることで、自身の目標目的に照らして選択の幅を狭める。そのときに捨てるものは「諦める」ことになる。
そう、自分が何がしたいかを明確にすることが重要なのだ。
彼の場合、「陸上で世界で一番になること」だった。そのためには子供のころから速いといわれて続けてきた100M走ではなく、
コーチがアドバイスしてくれた400Mハードルで勝負しよう、と、自分で決断した。
体の成長が止まると同時に記録が伸びなくなった100ではなく、競技人口も少なく、ステップが上手でない人が上位にいる400ハードルに
しようと考え、100をあきらめた。結果世界陸上で銅メダルを獲得したのだ。勝者だ。
その勝者が「諦めることが大事だ」というから真実味を帯びる。
物にならないまま終わった人が書いても、誰も読んではくれないタイトルだ。
彼はメタ認知ができるのだと思う。
メタ認知ができるかできないかで、人生の選択は大きく変わってくる。
何が真の目的なのか。
要するに考えることだ。
彼は晩年はコーチをつけなかったという。
コーチは絶対的存在ではないと、本を読んでいて思う。自分では見えないものを見る、知らない知識を教えてくれる程度のものととらえるべきという。最後は自分の体だ。結果も自分についてくる。コーチのものではない。
自分の頭で考えながら競技を続けてきたから、こういう本が書けるのだろう。
読んでよかった。 -
日本人男性としても小柄なのに、世界陸上銅メダル取得、オリンピック出場経験者…となると、強固な信念で己の道を切り拓いてきたアスリート…というイメージだが、100mハードルから400mに移った経緯などを語る為末氏の言葉はとても冷静だ。日本的スポ根精神でなく、偶発的でも己の力を生かせる場所を探して力を発揮する大切さに気づかせてくれる。「諦める」というよりも自分の力を生かす意識の重要性を思い出させてくれる。
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諦めるの語源は「明らかにする」という意味で、前向きな意味を含んでいる。世の中のほとんどのことはトレードオフだ。何かを選ぶということは何かを諦めるということだ。むしろ、諦めた数だけ成長すると言ってもいい、と為末さんは言う。人に左右されない自分独自の価値観に気づき、諦めるという選択を前向きにとらえることで世の中をサバイブしていこうというのが本書の趣旨である。
やりたいことがいっぱいで追い込まれている人にはおすすめです。いいガス抜きになる。 -
自分の評価を他人に委ねている限り、苦しさは続く。
諦めるためには自己理解が必要である。
そして、自己理解を促進する兆しは楽しさの追求である。
そんな考えに気付かせてくれる本だった。
楽しいことをするのは簡単だったはずなんだけど、
気づけば楽しい事を忘れて、世間の目を気にして我慢大会になってしまってる悲しい現実。
自分の物差しで測る事を忘れてしまうと、距離感を見誤って事故してしまうので、もっと自分の内なる声を大切にしようと思いました。 -
他人の評価、他人の期待と言うのは本当に無責任だ。
責任や覚悟なんてものは自分の選択だけに持てば十分。
どんな結果になっても納得できる。 -
Amazon Audible にて。諦める事を前向きに捉えた本。為末さん自身が、18歳で花形100m走から転向した時の辛さ・納得できなさを、消化した結果、学んだ事だから、言葉に重みがある。
盲目的に頑張る事を礼賛する日本人の考え方に疑問を呈し、客観的に自分の立ち位置を見極めて、諦めるところは諦める、オプションを持っておく事の重要性を説く。
2013年、こんまりさんの片付け本がベストセラーになった翌年あたりに出された本という事で、今は当時よりも止める事、選ぶことの重要性は認知されてるんじゃないかと思うけど、変わらず大事な概念だと思う。 -
非常に含蓄に富んだ本だった。根性論、諦めないことの美徳が蔓延る日本で、周りに何と言われようと、前向きに諦めて、Pivotしてゆく勇気。人生は時間が有限だけに、必要な才能である。