この本は、落語作家の小佐田定雄さんが、子どもたちに楽しんでもらえるように選んだ108の短い笑話を紹介しています。落語のもとになった日本の古典的な小話や民話だけでなく、中国やアメリカ、フランスなどの海外の小話もあります。どの話も、長くても2分、短いものは10秒ほどで読めるので、読み聞かせにぴったりです。また、大人の方にも楽しめる内容で、会話のネタにも使えそうです。
本の中には、おなじみの話や有名な話もありますが、作者のオリジナルな解釈や工夫が加えられていて、新鮮な驚きや笑いがあります。例えば、『かちかち山』では、狸が狐に仕返しをするという意外な展開になっています。また、『ねずみの嫁入り』では、ねずみの花嫁が猫に食べられるという悲劇的な結末になっています。これらの話は、子どもたちに道徳的な教訓を与えるというよりは、人間の弱さや愚かさを風刺するという落語の本質に近いと感じました。
一方で、海外の小話は、日本の文化とは異なる発想やユーモアが満載で、興味深く読めました。例えば、『アメリカのおばあさん』では、おばあさんが自分の死後に天国に行くために、自分の墓に階段を作るという奇想天外な話です。また、『フランスのおじいさん』では、おじいさんが自分の死後に地獄に行くために、自分の墓に穴を掘るという皮肉な話です。これらの話は、子どもたちに異文化の理解を深めるという意味でも有益だと思いました。
この本は、子どもたちに笑いと知恵を与えるだけでなく、大人の方にも楽しく読める本だと思います。落語の小話は、言葉遊びや語呂合わせ、オチやひねりなど、言語表現の面白さを感じることができます。また、落語の歴史や背景についても、本の最後に解説があります。この本を読んで、落語の世界に興味を持つ方も多いのではないでしょうか。私は、この本を読んで、落語の魅力に引き込まれました。