世界は「ゆらぎ」でできている~宇宙、素粒子、人体の本質~ (光文社新書) [Kindle]

  • 光文社
3.52
  • (2)
  • (10)
  • (7)
  • (1)
  • (1)
本棚登録 : 84
感想 : 13
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (213ページ)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 面白かったけど、後半は量子論とは無関係のゆらぎの話になりすぎかな。

  • 人体の揺らぎは知らなかった。
    宇宙素粒子目的で読んだから、
    だけど全部面白かった

  • 【紙の本】金城学院大学図書館の検索はこちら↓
    https://opc.kinjo-u.ac.jp/

  • 光文社新書の前著「元素周期表」が素晴らしかったが、続編?の本著も大変読みやすい。言葉だけしか知らなかったあれやこれをイメージがつかめるように書いている。ゆらぎをてがかりに素粒子、宇宙誕生、人体、へとミクロからマクロへ一筆書きして一気読み。
    以下気になったとこメモ。

    ■量子力学
    20世紀初頭、原子の模式図にはふたつあった。トムソンのスイカ型モデル1901、長岡半太郎の土星型モデル1903年。軍配の上がったのは長岡モデルだが、いまではこれに修正を加えた、電子がそこにある確率で表されるのが通例。電子雲、すなわち「そこにある確率」。これを定式化したのがシュレディンガー方程式1926年

    17世紀ニュートン力学、19世紀マクスウェルの電磁気学を合わせた古典物理学は、様々な難問を残した。そのひとつが光の速度が常に一定である、という法則。これを手がかりにしたアインシュタインの相対性理論、そこからうまれた波か粒か論争。光量子仮説のノーベル賞受賞とその選考裏話。
    光は粒、という結果をうけたド・ブロイは、粒子にも波があると考え物質波理論を発表。これをうけてシュレディンガーが方式化した。ただし粒子がゆらいでいるのではなく、粒子の「存在確率」がゆらいでいる。これに対するアインシュタインの批判「神はサイコロを振らない」

    ■ひも理論
    すべての物質が究極的にはひもの揺らぎ、という「超ひも理論」
    量子論は原子一個100億分の1メートルの世界を扱うが、素粒子(物質を構成する最小単位)は10の-35乗メートルとはるかに小さい。
    1970南部陽一郎の発表したひも理論それを発展させた1984超ひも理論の紹介。量子論と相対性理論の組み合わせで、古典物理学とミクロ世界の統一を有力視される最有力候補。
    まずは究極の粒子をめぐる歴史をさらっている。最初(18世紀)は元素。つづいて元素を構成する、陽子、中性子。陽子・中性子を構成するクオーク(当初3つとされたがあいついで発見が続く)。つづいて見つかった粒子をあわせて17の標準模型とし、最後に見つかったのがヒッグス粒子。さらに、17それぞれ対になる粒子をもつ超対称性粒子があり合計34。これに未発見の重力子(グラヴィトン)と対(グラヴィーノ)を加え36。
    しかしこれでは数が多すぎとして、注目されるのが超ひも理論。それぞれの素粒子が極小のひもとして成り立ち、ゆらぎによって異なる粒子として振る舞う。(グラヴィトンだけは輪になったひも)

    最も画期的なのは重力を理論に組み込めること。
    力には4種類ある。1電磁気力、2強い力(原子核構成力)、3弱い力(原子核破壊力)、4重力。1と3をあわせて電弱理論(宇宙誕生時は宇宙全体が熱く、1と3は共通した力だった)ともよぶ。それぞれを媒介する粒子がある(フォトン、グルーオン、ボソン、グラヴィトン)。グラヴィトンだけは未発見なのは、あまりに小さいため。
    我々の世界は三次元、時間を加えて四次元でできてる。そこに6、7の余剰次元が存在し、小さく丸め込まれている(コンパクト化)。我々の住む三次元世界はブレーンワールド(膜の世界)で、重力を伝達するグラヴィトンだけは輪っか状なので余剰次元に飛んでいける。さっぱりわからん。
    超ひも理論は。それを裏付ける実験が困難。加速器に限界があるためだが、かわりに宇宙の観測によって証明できるかもしれない。もし誕生時の痕跡「宇宙ひも」が見つかれば。

    ■宇宙誕生
    1963通信技師がマイクロ波発見。宇宙から電磁波(波長がマイクロメートル単位なのでマイクロ波)が飛んでいるのに気づいた(宇宙マイクロ波背景放射)。これは発信源では超短波だった電磁波がドップラー効果で引き伸ばされて届いたもの。ガモフが発表したビッグバン説から20年、宇宙がもとは火の玉のような高温状態(超短波)だったことが証明された。

    宇宙は、ダークマターと呼ばれる未知の物質が大きな重力によって集まってできた(ダークマターは物質の約6倍の重力)。その集まったダークマターの重力に引き寄せられたのが銀河の集団。ダークマターは未解明だが、分布図はわかっている(重力は光を曲げるので、観測するとダークマターの場所がわかる)。

    アインシュタインのE=MC*2は特殊相対性理論から導いたものだが、エネルギーが質量にかわり質量もエネルギーにかわることを意味する。例えば原発でエネルギーが生じるときわずかに質量が軽くなる。光速(c)はものすごく大きな数値なので失われた質量がわずかでも、生まれたエネルギーは膨大になる。宇宙初期にはこれと逆のことが起こった。
    宇宙は誕生直後、一兆分の1のそのまた一兆分の1秒の間に、一兆倍のそのまた一兆倍に引き伸ばされた。これがインフレーション。ちなみにこれでは光の速度を軽く超えてしまうが、特殊相対性理論とは矛盾しない(空間自体が引き伸ばされたため)。
    一瞬にして拡大した宇宙には、量子論に従ったゆらぎがそのまま転換される。
    1990宇宙マイクロ波背景放射にわずかなゆらぎが発見される。2001.2009さらなる精度で観測の結果、大きなゆらぎが銀河の集団(宇宙の泡構造)、ちいさなゆらぎがひとつの銀河の種になったことがわかった。

    ■1/fのゆらぎ
    複雑系(compex system)、フラクタル幾何学、自己相似性、コッホ曲線、人間の認知、三体問題、
    このへんも面白いが自然現象には規則性がある、というのを確認するばかり。以下は医師としての見識がはいっている人体との関わり。
    いわく揺らがない心臓は不健康だそうな。心電図の分布を見ると3つの周波数のゆらぎがわかる。
    肺0.25Hz(high-frequency)、首0.1Hz(low-frequency)、腎臓0.04Hz(very low-frequency)
    これら肺、頚動脈、腎臓(血液濾過による血圧維持機能)が周波数をバラバラにしているのは、様々な環境変化に対応できるため。長い進化の末この数値に収斂したようだ。5章で呼吸性不整脈について述べているように、適度に臓器の活動を休ませることで血管はじめ体の負担を軽くしている。

  • 量子のゆらぎ、確率の世界やひも理論について書かれているのかな、と思い読み始めた。
    前半はその通りだったが、後半は精神のゆらぎと進化について。
    興味深いには興味深かったけれど、前半の話を掘り下げてほしかったような気もする。

  • ゆらぎは物理から、心理学まで

    物理学の教養を高めたく、読んでみたが、ゆらぎというキーワードから、人体、心理学まで多岐に渡る内容が書かれており、良い意味で予想を裏切られた。
    特に鬱病に関する考察は非常に興味深いと感じた。

  • 揺らぎをテーマに量子論の概要と素粒子の話から宇宙の成り立ちなどの歴史まで話を発展させ、その後で人体の揺らぎという観点で話をするマクロからミクロまで揺らぎというテーマで見ていく本。第6章の心の揺らぎに関する話は色々悩んでる人に読んで欲しいと思った。

  • すべてのものはゆらいでいるという話。
    途中難しい部分もあったが、かなり面白く読めた。
    宇宙も人も揺らいでいないと大変なことになるのである。
    最近はやりのヨガでは精神を安定させることが大事と説いているが、人類的には精神がゆらいでいるほうが何かと便利なのである。
    またうつ病も一族にうつ病の人がいると全滅しない(人と接触しないので感染しない)などのメリットがあったという。
    淘汰されないことには意味がある。

  • ・7/25 読了.面白かった.この著者は相当頭がいいんだと思う.物理学だけじゃなくて医学も勉強して医者になってしまうなんてそうそうできるもんでもないだろうに.久し振りに宇宙にまつわる本が読めて満足した.

全13件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

医学博士・心療内科医師。本郷赤門前クリニック院長。新宿ストレスクリニック顧問。1964年生まれ。灘高校、東京大学卒業。東京大学大学院医学博士課程を修了。現在、脳科学とメンタル医学を活用した診療に携わる一方、TV・ラジオ・雑誌・WEBなどメディアに多数出演中。

「2019年 『「ついつい先送りしてしまう」がなくなる本』 で使われていた紹介文から引用しています。」

吉田たかよしの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×