- Amazon.co.jp ・電子書籍 (463ページ)
感想・レビュー・書評
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先史時代の地域の植物量を推定するところなど、様々な手段を駆使して過去の文明の崩壊の経緯を透かし見ていく。主題というよりは過程の手段なのだが、その部分も面白かった。考古学でも生態学でも、フィールドの学問ではヒラメキと工夫で前進できる余地がある。
塩性化や土壌流出など、農業がもたらす深刻な問題は正直、詳しくなかったので勉強になった。持続的に大きな収量を維持できる地域は、世界的にみても本当はとても少ないのかもしれない。今、無理な農業を行っている地域を穀物生産の戦力外とした場合、人口爆発による崩壊までの余裕はもっと少なくなる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
読みにくくて難しい。本の量もボリュームがある。
文明はいかにして崩壊していったのかが綴られている。
現代にも当てはまるし、会社や個人のミクロレベルでも当てはまりそう。
■文明崩壊に向かう5つの要因
①環境被害、
②気候変動
③近隣の敵対集団
④友好的な取引相手の減少
⑤環境問題への社会的対応
環境破壊などは経営資源などを散財してしまうことや取引相手の減少は連鎖倒産にもつながる。
国,文明崩壊も倒産もマクロかミクロの違いでしかないのでは
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読んでいて同じくジャレド・ダイアモンドの『銃・病原菌・鉄』ほどのインパクトはない。
本書では社会が崩壊する要因を5つに整理している。すなわち、
①環境破壊
②気候変動
③近隣の敵対集団
④近隣の友好集団
⑤社会的な対応(制度や文化)
である。事例パートが分厚く、通読するのには根気を要し、やや退屈でもあった。
下巻の方が面白そうなので、期待。 -
環境破壊は全ての人間集団に当てはまるものであり、先住民も森林を破壊し生物を狩りつくしている(陸鳥の絶滅、海鳥の減少)
そして木材を消費し尽くした結果、遠洋航海用の船が製造できなくなり逃げられず
土壌の流出により作物が育たず食料不足になり内乱と飢餓で消滅した。
無尽蔵に見えても資源は枯渇するものであり、予測するのは難しい(学者でさえ見落とす)
また孤島では戦争、交易にエネルギーを使わない代わりに森林破壊に精を出し徹底的に破壊している
文明崩壊に繋がる5つの要因
1.居住環境と資源の消費量(自然の回復力、寒冷な気候では樹木の成長速度が遅い)
2.気候変動
3.近隣の敵対勢力の有無
4.友好勢力の衰退
5.誤った対処方法 -
文明崩壊と銘打っているが、検証する社会集団はそれほど大規模とは限らない。
第1章の北米モンタナ州は20世紀を通して人口50~100万人、第2章のイースター島は最盛期で6000~3万人、第3章はポリネシアの最東端の島々で最大数千人、第4章はアメリカ-メキシコ国境周辺の峡谷に住んだアナサジ族で数千人、第5章はマヤの王国群で各々5万人程度でトータル500万人、第6,7章はヴァイキングのグリーンランドで5000人。モンタナ州は読む人が住民に共感を持てる仕掛けであり、(多くの崩壊要素を抱えてはいるが)崩壊したわけではない。
考古学と文献を駆使して、崩壊に関わる要因を著者は次の5個に集約している。
環境被害、気候変動、近隣の敵対集団、友好的な取引相手、環境への社会の対応。
当初は環境破壊をメインに構想したらしいが、書き上げた本書では複数要因の複合的な結果であると説いている。
発展と崩壊の分岐点は、日常のなかで通り過ぎるらしい。社会習慣であったり、プライドであったり。新しいことへ柔軟性が失われたときに、別の要因(自然環境の変動など)が重なると、後戻りできない道に踏み込む。
反証もあるだろうし、似た内容が繰り返し書かれるくどさもあるが、その時代の住民の生活と歴史を再現する手法は重量級の説得力がある。 -
面白かった。過去に崩壊した社会のつぶさな状況はなかなか世界史や地理では学べない。
複数の社会を統合して法則性を導き出しており、理解もしやすい。