アップル帝国の正体 [Kindle]

  • 文藝春秋
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感想・レビュー・書評

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  • アップルの見方を変えさせてくれる一冊。

  • 2013年刊行。

  • iPadの導入によってページ数や内容が無制限になり、社内資料が肥大化。

    何でも入るからと言って何でも詰め込んでいいものではありません。それを実感するのが、パワーポイント。口頭での説明が不要な程膨大な記載量。発表会なんて開催しなくていいから、メールで送ってくれ、と、思ってしまいます。本当に必要なデバイスであるべきかを考える必要があると思います。

    iPad 3、持ってます。最近使用頻度が少なくなりました。買った当時は「大きいことはいいことだ」なんて思って使い倒していましたが、最近はiPhoneに触れる機会の方が圧倒的に多いです。iPhoneだけで十分ではないかと。ただ、楽譜を全てiPadに取り込んでいるので、楽器の演奏時にどうしようか、悩みどころです。

    自分も本当に必要なデバイスとは何かを再考する必要がありそうです。

  • 嫌Apple派です。iPhoneは素晴らしいデバイスだけどジョブズの考え方が嫌いで坊主憎けりゃ袈裟までという。
    でも、外部からそうは見えてもあれだけのカリスマなのだから、本当は素晴らしいところもあるのだろう、それを知ってAppleに関心を持ってみようと思ってこのタイトルを(セールしてたから)買ってみた。Google本に続いて読んでみた。

    結果大失敗。Appleの怖さがより確信に変わってしまった。
    この本を読み終えたあと、Apple製品に対する考え方は、「これだけのことをしてるなら、お得感たっぷり!」と思うか「こんな血と涙で作られるような製品は絶対買ってはいけない!」と思うかのどちらかじゃなかろか(僕は当然後者)。

    内容は素晴らしい。"中の人"への取材の成果で、徹底した秘密主義のAppleの裏で何も表現できない日本企業の視点から、Appleがどれだけ日本企業へ影響したのかが怖いほどよくわかる。読んでて背筋が凍る想いがした。

    Appleの利益がよいのは、簡単にいえば本来設備投資すべき部分を、ブランド力を武器に下請けの部品・機器メーカーにすべて押し付けて、旨味だけを吸い尽くしているから。子会社でもないのに、すべて(本当にすべて)を統制下において、コストは相手持ちなのだから利益を生み出して当然。(世界の亀山工場がApple製品専用向上になっていたなんて!)

    そして、その痛みを伴う餌に食いつかなければいけない状況に追い込まれている日本の製造業という構図。不況のタイミングもあって、このジレンマがますます自社のビジネスモデルを壊してきたのがわかる。プライドも壊された。お金だけ吸い取られた。かわいそうになってくる。

    僕自身、下請け企業に勤めているので、下請けの良さも悪さもわかる。発注元の言うことを聴かなければ切られるし、犬になりさがれば痛みを伴う。でもそれ以上に下請けはリスクが少ないので、ぬるま湯に浸かっている気分になる。結果ゆでガエルになってしまうわけで、今の日本は本来リーダーシップをとらなきゃいけない大手がこの状態にある。

    一度築き上げたエコシステムはそうそう崩れることはないだろうし、いくらピークを過ぎたとはいっても、これからもApple製品は好まれて売れていくだろう。この本は2013年7月発行なのでかなり新しいところまで話が出てる。すでに、発行以降にも「ドコモiPhone発売」「iPhone 5s/5c」といった動きもあった。Appleに船を沈められていく日本。いつまでこの船に乗っていられるのかな・・・

    内容は素晴らしいけど、後味は悪かった。Appleを嫌いになりたい人にであればオススメできる本ですw

  • アップル関連の本はたくさん世に出ているが、この本はスティーブ・ジョブズのことを書いた本ではなく、アップルという会社について書かれた本です。そのアップルという会社が世界の中心に立った今、僕らの想像を絶するレベルで世界を支配しています。製造現場、販売店、音楽業界、携帯キャリア、個人投資をする市民等、もはやアップルなしでは、この世界が回っていかないのです。

    どのエピソードも絶対的なブランド価値を持つ商品があるが故、アップルの一歩も譲歩しない強気な姿勢が伺えます。

    世界の亀山工場と呼ばれたシャープの亀山第一工場は、現在iPhone専用工場となっており、アップルからの注文が来ないと生産するものがない状況。実際に2012年の12月に、iPhone5の液晶パネルの発注が半分以下になり、シャープ経営陣がアップルのクパチーノ本社まで足を運んだが、シャープの要求は断られた。

    取引先の企業の社員たちに取材に行き、アップルとの取引内容を聞き出そうとすると、「あなたが20億円の罰金を支払ってくれるなら、何でも話しましょう」と切り返されてしまった。

    背面がシルバーでピカピカだったiPodは、匠の技術を持つ日本の小さいな工場で作られていた。しかし、増え続ける生産量を満たすことができなくなったため、職人の作業風景をビデオに撮り、匠の技術をより人件費の安い中国に持っていった(ビデオ撮影は合意の上で)。

    徹底的に素材や製造技術を調べていて、その会社の担当者でもビックリするようなことまで把握しており、相当な精度で製造原価を提示してくるため、値段交渉の余地がないこと。

    アップルは1〜2ヶ月先の生産予定を1日単位で立てるように求めてくる。このシステムのおかげで、ほとんど在庫を持たない生産システムを確立し、新製品の発表後すぐに販売できる体制ができている。(これは現CEOのティムクックが作り上げた。)

    アップル本社は常に24時間体制で、彼らが日本に来ると深夜3時ぐらいまで平気で会議を続ける。

    アップルが店舗の立地を気に入らないと、アップル商品を置かせてくれない。実際に、三重県の亀山市のあるお店ではiPhoneの扱いがないが(近くの亀山工場でiPhone用の液晶パネルを製造しているのに)、隣の鈴鹿市では取扱いがある(同じ家電チェーン店)。何故このようなことが起きるのかというと、アップルのブランドイメージを損なう場所では、アップル製品を取り扱うことができないから。

    他にも読んでいて身の引き締まるというより背筋の凍るようなことばかり。ここまでアップルという会社について書いた本はないように思います。アップル好きだけでなく、ビジネスマンも是非読んでおくべき1冊でしょう。

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著者プロフィール

NewsPicks 副編集長(サンフランシスコ支局長)
1981年東京生まれ。青山学院大学文学部卒業。毎日新聞社を経て、週刊ダイヤモンドを経て、2016年にNewsPicks編集部に参画。企業報道チームを立ち上げ、シリコンバレーにおけるテクノロジーの最前線から、中国で勃興するスタートアップなど幅広くカバー。2019年にはサンフランシスコ支局を開設。これまで『アップル帝国の正体』(2013年共著、文藝春秋)や、『LINE 韓流経営』(2016年、扶桑社)など執筆。

「2022年 『ベンチャー・キャピタリスト ──世界を動かす最強の「キングメーカー」たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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