- Amazon.co.jp ・電子書籍 (385ページ)
感想・レビュー・書評
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起業家、そして経営者としての栄枯盛衰がギュッとまとめられていた。お金借りてくださいよと三顧の礼で対応していた金融機関が、だった一年で返済せよと手のひら返しする。市況も銀行も取引先も世間も心の底から信じては行けない。経営者だけは、冷静にならないといけないのだ。学びの多い書だった。
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『社長失格』とてつもない本だった。初期インターネットバブルを駆け抜けたハイパーネットがNASDAQ上場に向けて全力疾走するのだが、急転直下、失墜して自己破産に向かっていく怒涛のハードボイルド。このダイナミズムとドライブ感はノンフィクションだからこそだろうな。
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・DeNAの藤田社長からも同じ要素を感じたが、起業家はとにかく突っ込んでいく。出来ないことも出来ますとコミットし、あとからなんとかする気質が必要。
・銀行は金がある人に貸して、ない人から回収する。一緒に仕事をしたいとは個人的には思わない。
・板倉さんの尊敬できる点は、これだけ鵜用曲折あり、いろんな大企業に裏切られながらも、とことん自責であった。
・起業家と経営者で求められるスキルが異なると言っている。起業家はゼロから個人目線でやりたいことをやっていくが、経営者は既にある組織をどうコントロールするか。
・リースは支払いが滞ったら、現物差し押さえが必要(故にクロスボーダーは厳しい)
・個人保証を取ってしまうと会社がつぶれたときに、BSから落とせない。 -
10年間分位の濃密な1年。そんな表現が本を読んでいても伝わってくる。
どんな結末なのか、タイトルとプロローグだけで大体分かってしまう。それでものめり込んでしまうほど、この本の中に「社長」の勢い、エネルギーを感じる。
そして、ものすごいスピード感。
本を読むだけでこれほど引っ張られるのに、当時近くにいた人たちはどんなだったのだろう。毎日この社長を受け止め続ける。それだけのポテンシャルがあり、きっとものすごい経験だった事だろう。周りの人から見た社長談も聞いてみたくなった。 -
社長の苦悩や失敗談がリアルに描かれている。ジェットコースターのようなスピード感ある経験を1冊にまとめてある。経営者だけが持つ苦悩や悩みというのは本当にあるんだなぁと思う。
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会社が破産する過程の話。ノンフィクションであり、とても臨場感がある話で読み物として面白い
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著者目線である点に留意が必要であるが、当時の銀行のベンチャー・中小企業支援の実態に対して残念に思う本。著者に拠れば、ある都銀からは親の個人連帯保証が求められたとのこと。常識的に考えて有り得ない話。
森金融庁の時代に担保に依存した融資から企業の成長性・事業性を見た融資への転換が叫ばれたが、どうしてもその視点の浸透は難しい。これはリターンの上限が限られる融資の性質を考えると仕方無い部分もあると思うし、事業性の判断には業界知識含め幅広い知見が求められ、一筋縄ではいかない。
米国では自己破産した経営者がネクストチャンスで成功を収めていることがよくある。日本も同様に失敗に寛容でチャレンジを快く受け入れる社会でありたい。 -
ハイパーネット社長をしていた板倉さんによるノンフィクション。
90年代におけるベンチャー企業の活躍から倒産までの話であり、
・銀行によるベンチャー融資バブル
・逆に銀行の自己資本比率向上の動きのための一斉融資引き上げによる資金難の苦悩
・起業家としての才能はある故に周囲からビジネスアイデアを褒め称えられ、結果として足元の事業や組織、社員軽視
・それ故に事業が不安定で収支の崩れ
・社員の離反や社内クーデターの勃発
など、リアリティを持って描かれていて非常に面白かった。
特にベンチャービジネスにおいては、
・参入障壁をいかに築くかが大切であり、穴があれば大企業がその大きな資本力で猛追して来る恐怖心がある所
・融資でなく投資を得る事が大切である事(銀行は組織であり、銀行都合でいつでも返済しろと言ってくる事)
など肝と言える点などは単純に面白かった。 -
板倉雄一郎のビジネス史
学生時代のアルバイトから始まり、ハイパーネット社の倒産までも著者なりに敬意をまとめた内容になっている。
自分がやりたいことが一人ではできず、資金を集め会社を設立する。その会社の期待が大きくなると人が群がり、お金が動く、そのお金が本人の意思とは違うところで動き出し、最後は制御不能になる。
技術やアイディアがあっても、人・金に対する能力が無いと会社な成り立たない。その教訓が時系列で分かり、とても勉強になった。