- Amazon.co.jp ・電子書籍 (311ページ)
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
『脳髄工場』を読んだときにも思ったけど、この作者の恋愛ものは肌に合う。 恋愛ものとして一番好きだったのは『キャッシュ』。恋愛とは一人でしかできないもので二人でもできるんじゃないの?という幻想を追い求める滑稽さを描いた作品もヒューマンドラマとしては楽しめるけど、やっぱり恋愛ものとして本当に楽しいのはこの手の物語。 僕が決めた容姿。僕が決めた話し方。僕が決めた性格。僕が決めた愛。閉鎖された自分の中に想いをはせる閉鎖的な愛は、逆説的にこれ以上ない人間賛歌なのだと思うんだけど…
-
読了。表題作の「海を見る限り」と最後の「門」がとてもよかった
-
突然の訃報にショックと喪失感があまりに大きい。
ここ10年ほど新刊を追っていた作家なので、過去作を読んで思い出に浸る。
やっぱり"海を見る人"は切なさ抜群で美しい、著作の中でもかなり好き。 -
先端物理学をモチーフにしたハードSF連作短篇集ということで、好みが分かれると思いますが、個人的には大変好みです。
自分は先端物理学を本でちょっと読み齧った程度なので、節々分からないところもあったのですが、それでもファンタジーとして充分楽しめました。
量子論や重力理論や諸々の、摩訶不思議な世界。
ガモフの「不思議の国のトムキンス」を彷彿とさせる面白さです。
特に表題作の「海を見る人」が好きです。
相対性理論と事象の地平線の描写が逸品で、なんとなくユーモラスで、そして、切ない・・・ -
SFって面白い~~ と久しぶりにわくわくした短編集。これが2000年以降のSFか、とようやくモヤモヤが晴れた。
作者がハードSFファンは電卓片手に読んでもらいたい、という本格ながら、文系エンタメ頭でもSFマインドを存分に楽しめる。
浮遊感のある世界がファンタジックな『時計の中のレンズ』、
スペースオペラの画がうかぶ『独裁者の掟』、
のちにラノべ風続編になる『天獄と地国』、
SFミステリ『キャッシュ』、
ブラックなパロディの効いた『母と子と渦を旋る冒険』、
SF設定の徹底が美しい無慈悲な物語を作り出した『海を見る人』。
本格SFとして存在し、なお どのジャンル方向にも拡がれるSFの度量を見た気がする。