- Amazon.co.jp ・電子書籍 (312ページ)
感想・レビュー・書評
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20世紀半ばまで手計算を使って解くことができる場合だけしか方程式を解くことができなかった。しかし、今では何万、何億のデータを一瞬で処理できる。
物理学の分野ではビックデータをこの処理能力を使って様々な分析をし、法則を発見していっている。
これを経済学にも取り入れて分析しましょう、という話です。
考えてみると、量子力学など「原子の動きは規則があるのではなく、今この位置にいる確率が高い、低いという濃淡できまる」という学問と、不確実性が多い市場価格などと似ているかもしれません。
自然と経済の仕組みはよく似ていると言いますが。
原子という人の意思が介入しない動きと、何億という人が考えたことによる動きにどこまで近似性があるんでしょうね。
(この本は、結局は経済と物理法則に似通った部分があるけれど、経済は予測不可能である、という一般的な話で終わりました)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
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一昔前に流行った金融経済系の書籍である。
内容は一般的ではあるけれど、数学の知識があったほうが望ましい。
結局、現実の金融モデルをつくるために数学や物理学の知識を応用しました。くらいなのだけれど。
自然界や金融に現れるトレンドは正規分布ではなくべき分布(パレート分布)になることが多いというのだけれど、ではなぜべき分布になるのか?
べきが-1になる本質的な理由はなにか?
というところの説明がいまいち。
なんかトレンドを分析したらこんな数学的なモデルでよく近似できます、といわれてもそりゃあ100個なんかのモデルで近似すればどのモデル化にはフィットするでしょう。
より本質的な理由はなにか知りたいところです。 -
本書は2004年に発刊された本で、経済物理学をわかりやすく解説した本になります。経済物理学は伝統的な経済学の「当たり前」の多くを覆してきたわけですが、その中でも最大のポイントは、「市場は需要と供給の交点で安定しない」という発見でしょう。むしろ交点の状態は、綱渡り状態でいつ左右どちらに大きく振れてもおかしくない、というのが真実なわけです。ただこのあたりの論理は宇沢弘文や岩井克人などの経済学者が、不均衡動学モデルという形で表現しているところではあります。
また経済学がよく用いる正規分布の仮定もそうではないときが多々ある。たとえば為替市場の振れ幅を見ると、むしろ「べき分布」しています。正規分布よりも「べき分布」の方がすそ野が広い(つまりブレ幅が大きい)のですが、株式のオプション価格を算出するブラック・ショールズ方程式は、正規分布を前提にオプション価格を出しますので、オプション価格を割安に出す傾向があることになります。余談ですが、マイケル・ルイスの小説『世紀の空売り』には、世界金融危機の際にオプションで大儲けした人の実話が出てきますが、彼もまさにブラック・ショールズ方程式のもつバイアスを指摘しています。このほかにも経済の様々な局面にあらわれる「べき分布」の特徴について事例をもとに説明されていて面白かったです。一気に読めました。 -
終盤の社会構想・新通貨構想みたいなのは要らなかった。
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集団心理が物理現象に集約する視点を与えてくれる良著。後半は微妙だが、前半よし