人はなぜ「美しい」がわかるのか (ちくま新書) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 橋本治の本を何冊か読んできたが、本書は分かりにくかった。
    前近代は制度社会=身分社会であり、制度の中にいれば孤独を感じることはない。全体における自分の位置が分かるからである。そして、制度から外れることを「転落」と言った。
    そして、制度社会=身分社会が崩壊し、近代が始まる。それは「個人の発見」すなわち「孤独の発見」であり、孤独は許されるはずだった。
    しかし、近代国家は制度社会の名残を残していた。ゆえに、孤独=転落=敗北となった。
    人が「美しい」と感じるとき、それは、
    ①自分と同じように孤独だから美しい
    ②自分の孤独を癒やしてくれるから美しい
    のいずれかで、両者とも孤独と関連する。
    したがって、孤独=敗北を認めたくない人は「美しい」が分からないということになるが、孤独と敗北はイコールでつなげるべきものではない。孤独とは自立へのプロセスであり、自立するためには孤独を引き受ける必要がある。
    個人主義の時代である。前近代は「家」が単位であった。近代に入り、家の集合体としての国を「近代国家」としたのは、「近代」としながらも「家」を単位とする自己矛盾であった。
    時代は、真の近代社会=非制度社会=個人主義の時代に向かっている。

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著者プロフィール

1948年東京生まれ。東京大学文学部国文科卒。小説、戯曲、舞台演出、評論、古典の現代語訳ほか、ジャンルを越えて活躍。著書に『桃尻娘』(小説現代新人賞佳作)、『宗教なんかこわくない!』(新潮学芸賞)、『「三島由紀夫」とはなにものだったのか』(小林秀雄賞)、『蝶のゆくえ』(柴田錬三郎賞)、『双調平家物語』(毎日出版文化賞)、『窯変源氏物語』、『巡礼』、『リア家の人々』、『BAcBAHその他』『あなたの苦手な彼女について』『人はなぜ「美しい」がわかるのか』『ちゃんと話すための敬語の本』他多数。

「2019年 『思いつきで世界は進む』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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