- Amazon.co.jp ・電子書籍 (460ページ)
感想・レビュー・書評
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うー、これは難しいぞ。神を探すイサオと世界のなんたるかを希求する雅彦、2人の主人公の遍歴を描くわけだが、そこで扱われるのは最も古典的で最も困難な"人間の実存"という問題。設定や筋が複雑なわけではないし問いの設定も極めて明確なのだが、問いが問いだけに解答は簡単には見出されない。さらに、おそらく作者自身描きながら着地点を探したのだろう、物語は蛇行し手がかりは錯綜する。そうしたプロセスを愚直なまでに描き、蛇行しつつも一定の解答を物語の着地点として提示したこと、その一点をとっても読むに値する労作だと思う。
ただ、その提示された解答そのものは問題を含んでもいる。結果として、原始教団の成立が描かれた結果、問題は実存と宗教的救済いうこれまた古典的な問題に立ち返ってしまう。実存と宗教的救済を扱った作品は先行する作品がたくさんある(例えば近年では花村萬月の王国記シリーズなど)。それらと比べてどれだけ独自色が出せたかというとかなり厳しい。しかも、中盤で信仰を介さない共同体を描きながら、終盤では信仰を基礎に持つ共同体(教団)が描かれるというのは、後退ともとれる。
そういう点では、必ずしも解答の提示に成功しているとは言い難い。しかし、もともとテーマがテーマだけに勝ち目の薄い試みではあり、そこに挑んだこと自体評価されるべきことだと思う。たとえ成功しないとしても、こうした試みが様々な作家によって行われ多くの解答が提示されることは、読み手としてはとても面白く心強いことだ。 -
久しぶりにすごい漫画を見てしまった。
「弥次喜多 in DEEP」以来の衝撃か。
人間のリアルな汚さや卑しさもタップリと描きながらも神様や世界の理をシンプルな言葉で表現していこうとしている作品。
「見ればそうなる」という単純なセリフがズシンと心に残っている。
一読では消化しきれないかも。