人生オークション (講談社文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • “人生オークション“と“あめよび”の二篇。生きていたら迷子になる事もあるけど…。直向きにもがいてる感じが良かった。

  • タイトルに惹かれて図書館の本棚から抜き取った文庫本には、表題作の「人生オークション」と「あめよび」の中編が2作入っていた。「人生オークション」はすぐに読んだのだが、「あめよび」は読み残したままだった。翌日に予約した「やさしい猫」が届けられ、そちらを読み始めてしまったから。法事で帰る新幹線の車中で読むには文庫本が手軽だし、再び「あめよび」を読もうと文庫本をバッグに入れて帰省。
    昨日、帰りの車中で読了したばかりの「あめよび」が記憶に新しい。どちらも原田さん特有のエッセンスが詰まっていて面白いのだが、「あめよび」は予想を超えて引き込まれた。『あめよび』とは雨で野球中継などが中止された時に予備として放送される番組(雨傘番組)とのこと。主人公・美子の恋人である輝男の結婚観も然ることながら、伏線となる『諱(いみな)』を巡り、最後に本当の意味合いが明かされる推理仕立てになっていた。ミステリー要素も含まれる構成が意外でもあり切なかった。輝男は束縛されたくない自由な関係性を築くためだけに結婚を嫌がっていたのではない。彼の出自が、隠していた『諱(いみな)』と関わっていたと、さらりと提示される。それを分かる読者はどれぐらいだろうか?その大きな理由は、今併読中の「やさしい猫」にも通じる所があった。(敢えてネタバレしません)
    しかも、美子が勤めていた白石眼鏡店の社長・白石さんは、「人生オークション」の主人公・りり子叔母さんの不倫相手だったのではなかろうかと思うと愉しさが倍増した。スピンオフ編と思われるのだがどうだろう?
    目の老化現象を憂えながらも短篇集が苦手でどっぷり浸れる長編を好んでいる私には、こういう構成方だったら短編や中編も楽しめるかもしれない。

  • 初読みの作家さん。
    淡々と過ぎていく内容ではあるが場面場面によって何か起こりそう...それでいて特に何も起きない。でも、人生オークションもあめよびも両方悪くない。
    主人公の女性の自身の状況の余裕のなさからくるヒステリック的な感情の起伏は痛い感じもするが、これって私も一緒じゃね?とも思える。

  • タイトルの「人生オークション」と「あめよび」の2作品。生きていると切ないこともあるよなぁ〜と共感しました。

  • 著者の本を読むのは2冊目か。
    初めて読んだのは「3千円の使い方」。割と面白かったので、ブックオフの書棚に同じ著者名を見つけ、タイトルに惹かれて買い求めて読んでみた。
    本の表題作でもある「人生オークション」と「あめよび」の2編を収載。
    その前者はとても良かった。登場人物それぞれの人生や価値観、性格等が破綻なく丁寧に描かれており、予想のできない物語の展開にもつい惹き込まれてしまう。割に好きなタイプの短編だった。
    残る一方の後者は、個人的にはイマイチ。主たる登場人物二人のどちらにも感情移入が難しい。自分とはどうにも異なる人生背景や価値観が描かれており、いずれにもちっとも共感出来ないまま読み進む。
    加えて「諱(いみな)」という、これまで全く聞いたことも無く馴染みの無いテーマが登場し、物語がますます意味不明になっていく。結局それはエンディングまで続いてしまい、なんとも中途半端な結末のように思えてしまった。
    でもまあ、こうした「合わない」物語との思わぬ出逢いもまた、読書の醍醐味か。
    ともあれ、これら2編併せてみれば、十分にお金と時間に見合った満足感。
    この著者なら、また別の本も読んでもいいな、とは思えた。

  • オーディブルにて。
    作者の別の著者が好きだったので期待していたけど 最初から最後まで 聞き流してしまうくらい
    単調だった。
    読み手のせいもあるかもしれないけど
    2作とも出てきた主人物女子が 起伏の激しい
    感情を持っていて 人に詰め寄る感じが好きになれなかった

  • 2011年初出の中編二編が編まれています。

    表題作 人生オークション
    あめよび

    という二つの物語。

    人生オークションはメルカリが世に出る前だったのだろうか、むしろなんか懐かしいネットオークションのお話です。今となっては原田ひ香の初期作品にカテゴライズされるものかも。

    人生オークションはこれといった盛り上がりのないままお話が終わってしまった感じ。

    私は二編目の「あめよび」のほうをより面白く感じた。先ごろドラマ化された「三千円の使いかた」となにか似たような雰囲気を感じ、これは「三千円の使いかた」の主人公美帆保がフリーターの木森安生と恋仲になったバージョンっぽいなと思った。

    原田ひ香自身ラジオドラマの脚本を書いていたらしく、その業界の内幕やラジオ番組の描写など興味深く読ませてもらった。

    諱(いみな)というものを初めて知った。なんか萩尾望都の「ポーの一族」ユニコーンでも名前というものが深い意味を持つらしいことを思い出した。

  • 人生オークションでは主人公の最後の行動に涙が出た。
    あめよびは読んでる時はとても面白かったけどラストが少し白けて感じてしまった。それは私だったら喜んで後のほうの生活を選ぶ人だからだろう。
    どちらも人を深く愛した女の話。でも血の繋がらない他人同士の愛(情熱的な恋という意味での愛)が、一番時間の試練を乗り越えられないと私は思っている。

  • 人生オークションはあらすじを読んですごく期待して読んでしまったので、面白かったけど、少し物足りない。でも今の時代にピッタリな内容で勉強になった。
    あめよびは、共感できるところもあり、サラッと読めた。

  • 同作者の別作品読んで面白かったため読みました。

    こちらの作品も脳内でアニメ映像でくり広がる描写な気がする。
    少々単調な話に感じてうとうとしたころに
    ヒステリックな叫び声で目が覚めるのを繰り返していたが、
    人生オークション、あめよび共に後半が面白く、
    眠くならなかった

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著者プロフィール

1970年神奈川県生まれ。2005年『リトルプリンセス2号』で、第34回「NHK創作ラジオドラマ大賞」を受賞。07年『はじまらないティータイム』で、第31回「すばる文学賞」受賞。他の著書に、『母親ウエスタン』『復讐屋成海慶介の事件簿』『ラジオ・ガガガ』『幸福レシピ』『一橋桐子(76)の犯罪日記』『ランチ酒』「三人屋」シリーズ等がある。

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