弁護側の証人 (集英社文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 評価分かれてるみたいですが、好みのミステリーでした!

    中盤から終盤にかけて「あれ?」とじわじわ違和感を感じだすのですが、その違和感の正体が最後の最後に明らかになる感じ。
    まさしく帯(「最後の数ページ、物語は180度ひっくり返る」)の通り。最後まで読み終わった直後に、思わず最初から読み返しました!

    今だと似たような作品が探せばありそうな気はしますが、当時は新しかったのかな?
    読後感的には星5つでもよかったのですが、中身は薄かったので、星4つ。

  • 他の方の感想にもありますが、現代作家が絶賛していたので読んでみました。が、それほどでもと感じてしまったのは私にセンスがないのかな。
    ・時間軸が交錯するので読みにくい
     →時間軸や人称がまちまちなのはトリックの一部なのでしょうが、今時の推理小説ではよく使われているので、当時は目新しくても、という感じ。
    ・昭和も中盤ごろということで、言葉遣いがわざとらしい(外国文学の訳文みたい)

    当時読んだら(わたしはまだ生まれていませんが)、とても目新しくて面白かったんだろうなと思います。

  • 最終章前まで普通に読んでいたのだが、最終章になった瞬間に「あれ?あれれ??」となり、読み終わっていた章を読み直した。思い込んでいた状況が全く違っていて、騙されたと思った。

  •  僕の通常の行動範囲には、スーパーに入っている書店が二軒。
     どちらもそんなに大きくないので、大抵は文庫の新刊を買うくらいで、あとは休日に大型書店のある街へ行って買うことがほとんどだ。
     この本の前に、星新一の父親についての本を二冊読み、「明治の人物誌」というのも読みたくなり、二軒探したが置いてなかった。
     その時、平台に置いてあったのがこの本で、衝動買いした。
     はっきり言えば、最初から騙されてしまったのだ。
     先入観とか常識で、「弁護側の証人」が出て来るまで、完全に思い込んでいるので、やられたと思った。
     しかし、これは小説だから出来ることだとも言えそうだ。
     映像では、この手を使うのは難しいと思う。
     それと、ヒロインと夫との関係というか、そこに流れる特にヒロインの愛情が僕には理解出来ない。
     浅はかな言い方になってしまうが、イケメンの金持ちのボンボンに、惚れてしまったということだろうか。
     ヒロイン自体も決して清く正しく美しくではなく、夫と付き合う前に、妊娠していて、それを隠して付き合っているのだから、やはりしたたかなのだろう。
     この作品は、トリックというより、常識に囚われて騙されてしまう作品だと思う。

  • 他の方も書いてる小説家の方々による対談にて初めて知ったので読んでみた。あの湊かなえ氏がこれを読んでいなければミステリ作家と名乗れないとまで言わしめた作品、ということで読みはじめたものの、結構古い作品ということで文体が翻訳文を読んでいるようでなかなか読み進まなかった。が、道尾秀介氏の解説にあるとおり、第11章冒頭を読んだ瞬間にグイグイ引き込まれて、気がつけば読了。その勢いで冒頭を読み返して、衝撃。植え付けられた(あるいは勝手に描いてしまった)先入観、それを悟らせない描写の数々。いやー面白かった。確かに書いてない、けど初読だとそうとしか読めない。この匙加減絶妙だなぁ。

  • 代表作、東西ミステリーベスト国内59位▲放蕩息子に見初められ結婚。慣れない生活に息苦しさを感じていた折、当主が殺され…裁判の行方は?▼ジャンルの古典的名作として、シンプルだが技巧的な作品。現代のミステリーファンには、若干食い足りないかも。タイトル回収の部分がオドロキのというかファンタジックで、冤罪はこうして作られるという社会派ミステリーなのかもしれない。リーガルサスペンスとしても楽しめ、この時代を感じさせてくれる。終章、真犯人の告白内容が一番の驚きで、被害者の思いがまったく伝わっていないとは(1963年)

  • テレビで、新川帆立が衝撃を受けたミステリ本として紹介していて、湊かなえも、これを読まないとミステリ作家を名乗れないと言ってたので、ぜひ読みたいと思った本。とても有名らしいけど、私はこの本も作家さんも知らなかった。

    冒頭、拘置所らしい金網のあるところで会話する2人。ん? どっちが中で、どっちが外だ?と思いながら読んだ。誰がお舅さまを殺したか、と言ってるので、女性が外なんだろうと思った。夫が死刑判決を下されたんだな、でも彼女は無罪を信じてなんとかしようとしてるんだな、と思った。

    クラブ・レノのダンサーだったミミイ・ローイ(なみこ)は、いくつもの会社を経営する財閥の御曹司、八島杉彦に見初められて結婚した。
    祝ったのはレノの古株ダンサー、エダだけだった。
    八島家の当主はリウマチで療養してる舅の龍之助で、広い邸宅の離れに住んでいた。
    ある夜、舅が殺害された。
    そのときに家にいた全員が応接室に集められ、警察に取り調べを受ける。
    ん? なんか、どっかで見たような、よくあるシーン。。1963年の作品らしいので、もしかしてこれを参考にしたようなドラマや映画がたくさん作られたってことかな??

    なんで夜中にひとりで離れに行くかなー、とか、
    夫がやったと思って、指紋を拭き取ったり、電気を消したりして、かばおうとするんだけど、
    そんなことより、自分が疑われることを心配するべきだよーと思ってしまった。
    杉彦は無罪じゃないよ、ほんとに犯人なんじゃないのー? 冤罪じゃなくてホンモノだよ、などと思いつつ読んでいった。

    そして、控訴審で、弁護側の証人として現れたのは緒方警部補だった。
    被告席に座るのは、ミミイだった。
    あれ? いつ入れ替わった??なんて思って、そうか、最初から彼女が「中にいた」のか!

    そういえば、エダが弁護士の清家を連れてきたときも、警部補の緒方と清家とミミイの3人で話したときも、「そこがどこか」は、明確には書かれていなかった。夫の無実を晴らそうとしてるミミイを思い浮かべてたので、勝手に「街のどこか」だと思ってしまった。拘置所内だったのかーーーー。。。

    完全に騙されていたので、面白かった★5つ!
    と、なるはずが、うーーーん、と思ってしまったのは、60年という時の流れのせいかなと思う。
    ミミイの独白が多いんだけど、その話し方が、
    どうしても馴染めない。2階席からお芝居の舞台を観てるみたいな感覚になってしまう。
    殺害方法も状況も、実は遺言があったとかも、
    えーー、、、古典のお芝居のような。。。
    ミミイ、と呼ぶのが簡単なのでそう呼んでしまうが、作中では「杉彦夫人」と書かれることが多く、
    「なみこ」という名前では書かれない。
    これは、何かの効果を狙ってるのか??
    最初のうちは、誰のこと?と一瞬戸惑った。

    ちょっと、純粋に楽しめなかったなあと
    残念な気持ちがします。。

  • ミステリー作家が推薦のミステリーとして紹介していたので、読んでみた。元ストリッパーが金持ち一家の嫁に入る設定が完全に昭和で、その夫がそもそも犯人に仕立てるつもりで結婚したのもあまりにもベタに感じる。また、タイムラインが交錯していて、ついていくのが大変な上に、謎解きや動機の説明があまり丁寧ではないと感じたので、大変読みにくかった。このへんは当方が必ずしもミステリーファンではないせいか?

  • 王様のブランチで、新川帆立先生(『元彼の遺言状』の著者)が薦めていたので、読んでみた。

    映像化不可能と言われる「例の仕掛け」で、見事に騙され、2度読んでしまった。1回目は、少し違和感がある程度だけど、2回目は全く違う味わいで読めて、2度美味しい。
    あと、主人公の女性の心情が深く描かれているのも良き。

  • 読み直さずにはいられなかった。

    某番組の小説家対談で紹介されていたことをきっかけに読んだのだが、とんでもなく面白かった。

    今まで知らずにいたのが勿体なかったと思う反面、記憶を消してもう一度読み直したいとも思う。

    未読の方には是非、事前情報なしで読んでいただきたい一冊。

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著者プロフィール

1934 - 1985。推理作家、翻訳家。1963年に『弁護側の証人』でデビュー後、多くの作品や翻訳を手がけたほか、ミステリーに関するエッセイなども。歌舞伎好きとしても知られ、論考を残している。

「2023年 『不思議の国の猫たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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