予想どおりに不合理 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」 [Kindle]
- 早川書房 (2013年8月22日発売)
- Amazon.co.jp ・電子書籍 (496ページ)
感想・レビュー・書評
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一般的な経済学だけでは説明しきれない、お金にまつわる人間心理の働きを、ユニークな研究実験を交えて解き明かす、行動経済学ブームを先導した著書のひとつです。
選択肢A'を含めるとAを選ぶ確率が高くなる「おとり効果」から、最初の決断がその後に強く影響する「恣意の一貫性」、有名な「プラセボ効果」などといった様々な人間の行動パターンが紹介されます。同時に人間の行動が、場合によっては進んで自らに不利な条件を引き受けるように、人が決して利己的な動機だけを指針として行動しているわけではないことも示唆されます。
本書を読むことで通常は意識し難い人間の心理パターンを知り、それを意識することで欲望からある程度は距離を取って適切な消費行動の選択を促すのが、本書が含むもうひとつのテーマであるように見受けられます。
経済学よりは心理学的なものに対して好奇心をもつ方にとって、より興味深く読むことのできる著作でしょう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
人間の行動が元来合理的なものではなく、不合理なものであるという主張が様々な実験をもとに実証されている。普段何気なく行動し、選択していることが根拠に基づいた不合理な判断であるということがわかった。身の回りにある様々なサービスや商品もこのような特性に基づいてデザインされているのだろう。
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行動経済学の入門書的な位置付け。時間のない方はエッセンスだけ読み飛ばしても良いと思います。
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行動経済学の幅広さが全面的に出ている本で、一般的なイメージの経済学よりかは心理学の側面が強いなーと感じた。
身の回りの小さなことを扱っているのであるある!と共感できたり、それはどうなん?と思ったりっていう感じで自分に置き換えて考えられるところが面白かった。
最後のあたりの不正に関する章はぜひオンライン試験でも取り入れてほしいと思えるような不正対策に関する話があった。十戒を試験直前の日本の大学生に読ませても意味はないと思うので、不正することで生じる他の学生への不利益を意識させるくらいがちょうどいいのではないだろうか。 -
非常に良書。古典経済学との差異の説明もさることながら、実験手法から一般化まで丁寧に解説していて理解しやすい。これも科学なのだなぁ、と改めて実感。
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市場規範ばかりに目を向けてしまうが、社会規範的報酬をもっと重視しなければ、と強く感じた。
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めちゃくちゃ面白い!行動経済学の本だが、難解さは皆無でユーモアもありとても読みやすい。自分自身の不可解な行動や選択の種明かしをしてくれているようでくまなく読んだ。人間って本当に不思議で面白い。。
・先延ばし癖に効くのは事前の決意表明(学生にレポートの納期を決めさせた実験)
・前もって予測したことの効果(美味しいと思って食べると美味しくなり、不味そうだと思って食べると不味くなる、ビールの実験)
・プラセボ効果、信念(強烈な思い込み)と条件付け -
行動経済学の入門書、ストーリー仕立てで分かりやすく、知識のない発売当初は非常にためになりました。
およそ10年たち再読してみましたが、ある程度知識のある段階では、ストーリーが長く読むのが億劫になってしまいました・・・
行動経済学ブームから時間もたち、今となっては多くの良書が出版されていますので、すでにこの分野の本を数冊読んでいる人にはおすすめしませんが、最初の1冊には最適です。