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感想・レビュー・書評
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梶原一騎・原田久仁信(くにちか)の『男の星座』が、Kindle電子書籍で全9巻630円という破格値でセールされていたので、ポチった。
暴力事件と大病でマンガ界から消えていた梶原一騎が、復活作にして「引退記念作品」として、『漫画ゴラク』に連載した作品。連載中に梶原は50歳の若さで世を去り、未完に終わった。
私は『漫画ゴラク』の連載をリアルタイムで読んでいたが、コミックスでまとめて読んだのは今回が初めて。
じつに面白いマンガだと、改めて思った。読み始めると最後まで一気読みせずにいられない。
『男の星座』は、「一騎人生劇場」と銘打たれた自伝マンガである。無頼の青春と、物書きとしての駆け出し時代の思い出が、赤裸々に描かれている。
力道山、大山倍達、ルー・テーズ、岸恵子、柳川次郎(柳川組組長)ら、綺羅星のごとき面々との出会いから生まれた秘話が、次から次へと登場する。
主人公・梶一太(梶原の分身)のあけすけな上昇志向など、全体に昭和の香りが濃厚な泥臭い作品。しかし、その泥臭ささえも、むしろ本作の強烈な魅力になっている。
“25年に及んだ劇画原作者人生を、秘話も含めてすべて描き尽くす”と宣言して始まった作品だが、原作者としてスタートラインについたところまでを描いて中断してしまった。絶筆となった最後の回は、『少年マガジン』の編集長が「プロレスマンガの原作」を依頼にくる場面で終わっているのだ。
ああ、これから『巨人の星』や『あしたのジョー』の舞台裏が、梶原自身の手で明かされるところだったのに……。また、晩年の梶原が見舞われたスキャンダルの真相も、やがては自らの手で明かされるはずだったのに……。あまりにも惜しい未完作品である。詳細をみるコメント0件をすべて表示