背信の科学者たち 論文捏造はなぜ繰り返されるのか? [Kindle]

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  • 科学研究におけるミスコンダクトについての論考。科学業界の欺瞞の構造を掘り下げる内容。

  • 「科学者も人の子である」ということだが、なんとも寂しい限り。とは言え、人の性を変えることはできない。制度の充実しかないのだろう。STAP細胞騒動を受け、その活動が進んでいることを願うばかり。

  • 本書の初版(原書)が発行されたのは30年以上前である。STAP細胞事件の推移や顛末を見るに、科学界の体質が当時から全く変わっていないということが分かり正直ショックだ。
    本書は、まさにSTAP細胞事件のような過ちが二度と起きないよう、科学界と一般社会に対して警鐘を鳴らすべく書かれた本のはずだった。それなのになぜ、という思いが頭をもたげてくる。
    なぜ起きてしまったのか。それは本書を通読すれば明らかなのだ。

    捏造の対策は科学者の意識改革だけでなく、監督を行う一般人がどれだけ真剣に考えられるかにかかっている。
    大切なことは、科学者もただの人間であり、科学という枠組みや考え方も特別なものではないと理解することだと本書は言う。一般人は科学者と聞くとそれだけで遠慮してしまうが、腫れ物に触るように接するのでなく、科学以外の分野と同等に扱うのが正しいのである。本書を読めばそれが嫌というほど分かる。

    本書は科学者自身にもその卵にも一般人にも読んでほしい教養本である。
    科学をしっかりと見極め管理するために、まずは等身大の科学を知る。そのために本書は間違いなく役立つはずだ。

  • 昨今の情勢から緊急復刊ということで購入してしまいました。原著から時間も経って状況も変わっておりより新たな情報に基づく良書もあるのかもしれませんが。

    さて、理想的な「科学」と現場とに乖離があるということはもはや多かれ少なかれ誰もが感じていることではないかと思います。一方で「科学」というのもの総体に対する、そう、素朴な信仰とでも呼ぶべきものは少なくとも私にはありました。本書から読み取ったことを自分なりにまとめるのであれば、科学の結果が理性に従うものであったとしても、科学の過程・歴史はそうではない、ということになるのだと思います。科学的知識が伝授される場合、既に体系立てられたものであり、その過程自体も体系立てられていたかのように思えますが、事実は異なるわけです。「科学」も人の営みである以上、当たり前のことではあるのですが。何かを正す、あるいは、何かに対するためには、まずその何かを認める必要があります。現状の「科学」もまた人の営みたる不完全な体系に過ぎない。それを認めた上で初めて何かをなしえるのではないでしょうか。

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著者プロフィール

ウィスコンシン大学で科学史を学び、米科学誌『サイエンス』の記者として活躍。ピューリツァー賞ジャーナリズム部門を二回受賞したほか、科学ジャーナリストを対象にした賞をあらかた受賞。『ニューヨーク・タイムズ』の花形記者としても有名。最近は国際政治や安全保障問題への関心が高い。著書には『SDIゲーム スター・ウォーズの若き創造主たち』『バイオテロ! 細菌兵器の恐怖が迫る』など多数。

「2014年 『背信の科学者たち 論文捏造はなぜ繰り返されるのか?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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