東京ロンダリング (集英社文庫) [Kindle]

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  • 東京のような大都会ゆえに存在する職業かもしれない。
    問題賃貸物件に1ヶ月間住み、ある意味その物件を浄化する、ロンダリングである。
    事故物件(その物件で事件等が起きた場合)は次に賃貸契約する人にはその事実を告げなければならない。しかし、その次の契約者にはその物件の過去を告げなくてもいいという。
    不動産業者は事故物件ということで賃貸料が安くなることを嫌い、そのため1ヶ月だけその物件に住んでもらう。これを職業としている女性が主人公である。
    つまりは次から次へと1ヶ月ごとに住居をかえていくということである。根無草のような生活である。主人公は離婚し、住むところを無くしたときに、この仕事を始める。
    淡々とした文章の中で人生を投げ出してしまったような主人公の生活、孤独感が迫ってくる。
    そんな中で関わりを持った人たちによって、徐々に普通の生活へと立ち直っていく過程が描かれ、新しい生活へと踏み出そうとする明るいエンディングが描かれる。
    人間とは人との関わりを持たなければ、生きてはいけないということを痛感させられる。

  • りさ子の仕事は告知義務回避のための事故物件への短期入居。そんな彼女がとある出会いを機に次第に“人間らしさ”を取り戻してゆく。ホラー系かと思いきやハートフルな展開で心温かく読了。最後の「ぱーっと使っちゃいました」の言葉に生まれ変わった彼女を見る。

  • 事故物件住みます芸人の存在を知っていたので、ロンダリングのこともなんとなく知識はあり、本作を手に取った。
    確認して驚いたが、この作品が発表されたのは10年以上前とのこと。原田さんの題材に対するアンテナの鋭敏さが見て取れる。

    何も目的がなく、生きがいもなく、ただ居るだけという、ある意味生と死の狭間にあるような状態だったりさ子だからロンダリングができると思っていた。
    しかし、後半は亮たちとの出会いを経て、「ロンダリングをしないといけない」状況から、「ロンダリングがすべきこと」へと、りさ子のなかで変わっていったのは意外な展開だった。
    (てっきり、富士屋に落ち着いてロンダリングはやめる終わり方かと思っていたので。)

  • おもしろかった。りさ子さんが嫌々始めた定食屋での仕事を通して生き返っていくのがいい。

  • (2023/156)事故のあった物件を賃貸する場合、次の入居者には事故があったことを説明する義務がある。その為に不動産業者が仕事として1ヶ月間人を住まわせ(これで説明義務が消える)、事故物件を「ロンダリング」する。このロンダリングの為に次々と事故物件に仕事で住む、不倫の末の離婚から不倫相手にも逃げられて途方に暮れた32歳のバツイチ女性が、下町の物件で出会った人々のお陰で再生していく物語。喉越し爽やかにスルッと入ってくる感じで、あっという間に読了。続編読むかな。

  • 住民が自殺した部屋など
    不動産の事故物件にしばらく住んで
    その物件の悪い履歴を消すという仕事「ロンダリング」

    検索したら、
    本当に物件ロンダリングという事実があるらしい。
    業界的には必要な仕事なんだな、と納得した。

    で、これは物件ロンダリングが天職のような女性が主人公
    といっても、お話は二軒目のロンダリング先で
    いろいろな隣人の事情に巻き込まれてしまい、
    結果的に、天職のロンダリングを継続しつつ、
    もう少し社会とのつながりも得ているという明るい内容。

    面白かった!

  • 事故物件になった部屋に住むという仕事
    主人公は向いているようで仕事をこなし転居を繰り返す

    食堂の近くの物件が一番すきだった

  • 本当にいそうな話だが、いるのかな?人間再生物語としては穏当

  • ふむ

  • 面白かった。実際にありそうでない設定で、でも臨場感があってどんどん読み進められた。

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著者プロフィール

1970年神奈川県生まれ。2005年『リトルプリンセス2号』で、第34回「NHK創作ラジオドラマ大賞」を受賞。07年『はじまらないティータイム』で、第31回「すばる文学賞」受賞。他の著書に、『母親ウエスタン』『復讐屋成海慶介の事件簿』『ラジオ・ガガガ』『幸福レシピ』『一橋桐子(76)の犯罪日記』『ランチ酒』「三人屋」シリーズ等がある。

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