ハチ公の最後の恋人 (中公文庫) [Kindle]

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  • 中央公論新社
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感想・レビュー・書評

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  • ばななさんらしい、スピリチュアルな空気が漂う中でのふわふわとした恋愛譚。好きなのに、好き同士なのに、噛み合わない歯車。もどかしい思い、切ない気持ちがリリカルに綴られていてとても美しい。

    こうやって、ある意味で自由に、束縛され、拘束され、虐げられて、貶められていた環境から光さす明るい環境に躍り出る気持ちがどれだけ輝かしいものか、そういう感情を想像させてくれるような物語。

  • よしもとばななさんか読みたくなった

    ここちゃんのことをよく思い出すから、
    忠犬ハチ公みたいな名前だから、これにした。
    ちなみに最近見たここちゃんの夢は、
    私たち、ずっと一緒にいた
    散歩したり、抱っこしたり、ここちゃんとずっといれて、
    夢の中だけど、とてもしあわせだった
    死んだ人と過ごせる時間は、
    誰かが、そっと、そっと見守ってくれてるみたいに、
    とても柔らかかった。

    もう、どんどん

  • 宗教の教祖をする祖母を持ち、人の出入りの多い複雑な家庭環境で育ったマオ。そんなマオは両親に捨てられインドで育ったハチと出会い、彼をとても愛する。ハチと一緒に暮らしていた女性が亡くなるとハチはインドに戻り修行をすることを決める。ハチとマオは互いに愛し合っていたが、一緒についていくことも、引き止めることもせず、ハチも修行の道に入る決心を変えることはなかった。ハチがいなくなって悲しいが、時の流れは止まることなく、また彼女には新しい出会いや人生があった。そしてハチもまたインドで新しい人生を歩んでいるのだとふと考える。必ず訪れる別れを思い自分と重ね合わせて苦しい気持ちになった。

  • どうでしょう。
    いつもどおりの吉本ばなな。
    いつもどおりの

  • よしもとばななの本で一番好きな本です。懐かしかったので移動中に再読。 宗教とかありえないくらいの偶然とか、死んだおばあちゃんを感じ取るだとか普通でないことがさらりと、当たり前のことのように書いてあり、受け入れることができる不思議な本。ハチとマオはいずれ離れ離れになるのが分かっているのに、期間限定でとびっきりの恋をする。「ハチの最後の恋人」として。そして訪れた別れの後は、マオが立ち直り「マオの最後の恋人」と出会えることをそっと願いたい

  • 祖母が遺した「おまえはハチの最後の恋人になる」という言葉。「私」はその予言通りにハチと出会い、彼の最後の時間を恋人として過ごす…。

    久しぶりのばななさん。ストーリーだけを見るとあまり救いがないし、都合良く進みすぎてツッコミどころもあるのですが、悲壮感は感じません。ばななさんの小説には、運命をさらっと受け止めている登場人物が多いなぁ。もちろん自分の思うように生きているのだけれど、変えられないものは変えられない、とどこかで悟っているというか。世界はそういうものだ、という雰囲気があるから、死や別れが出てきてもそんなに悲しく感じないのかもしれない。

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著者プロフィール

1964年、東京生まれ。日本大学藝術学部文芸学科卒業。87年『キッチン』で第6回海燕新人文学賞を受賞しデビュー。88年『ムーンライト・シャドウ』で第16回泉鏡花文学賞、89年『キッチン』『うたかた/サンクチュアリ』で第39回芸術選奨文部大臣新人賞、同年『TUGUMI』で第2回山本周五郎賞、95年『アムリタ』で第5回紫式部文学賞、2000年『不倫と南米』で第10回ドゥマゴ文学賞(安野光雅・選)、2022年『ミトンとふびん』で第58回谷崎潤一郎賞を受賞。著作は30か国以上で翻訳出版されており、イタリアで93年スカンノ賞、96年フェンディッシメ文学賞<Under35>、99年マスケラダルジェント賞、2011年カプリ賞を受賞している。近著に『吹上奇譚 第四話 ミモザ』がある。noteにて配信中のメルマガ「どくだみちゃんとふしばな」をまとめた文庫本も発売中。

「2023年 『はーばーらいと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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