アンリミテッドにて読了。非常に読むのが苦痛の本。とくに「残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法」を読み、著者の大前提が私の考えている事とずれていると思った後は、暫く積読にしてしまった。ちょっと考え方が違うのでもう橘さんの本は読まないようにする。
星二つ。
下記にハイライトした個所をコピペ:
7
黄色のハイライト | 位置: 358
欧米の研究者たちは、「奇跡的な経済成長」の秘密を求めて日本を訪れ、そこに〝恥〟や〝和〟や〝表と裏〟などアジア的な農村社会のさまざまな特徴を 見出した。彼らはこれを「日本的特殊性」と見なし、それを真に受けた日本人も自分たちが「特殊」な民族だと考えて、さまざまな日本人論が流行することになっ
黄色のハイライト | 位置: 362
だが日本人は、ほんとうに特別なのだろうか。私たちの社会の文化や習俗、行動規範のなかで「日本的」とされているものの大半は、じつはアジア世界ではありふれたものにすぎないのではないだろう
黄色のハイライト | 位置: 438
藤原にとって近代とは汚れた時代であり、私たち日本人はひとびとが〝純粋〟に生きることのできた江戸時代以前に戻るべきなの
メモ数学者、藤原正彦の「国家の品格」の主張。
黄色のハイライト | 位置: 543
貨幣空間の拡大(市場原理主義)というのは、世界の 歪みを平準化する運動のことだ。 経済のグローバル化は北と南の経済格差を解消させる巨大な圧力だ。しかしこの無慈悲な市場のメカニズムは、経済的な弱者を振り落とすことで先進国のなかの格差を拡大させていく(途上国でも、先にゆたかになったひとと貧しいままのひとたちとの格差が拡大
黄色のハイライト | 位置: 551
政治空間はベタな人間関係の世界で、貨幣空間はひととひととがお金でつながるフラットな世界だった。だから貨幣空間が政治空間を侵食すると、家族や学校などの共同体が崩壊して、愛情や友情が失われてしまう。これが、私たちが「お金は汚い」と直感的に嫌う理由
黄色のハイライト | 位置: 554
彼女とのデートで指輪を贈る代わりに現金を渡せば買春になってしまう。家事(シャドウワーク)に応じて時給でお金を払えば、妻ではなくお手伝いさんだ。このように、愛情空間にお金を持ち込むと人間関係はかんたんに破綻する(子どものテストの成績で小遣いの額を決める親がいるがこれは最悪の方法
黄色のハイライト | 位置: 606
福沢諭吉のような〝脱亜入欧〟を唱える明治の知識人は、西洋を鏡として「日本人」のイメージをつくると同時に、中国や韓国をオリエンタリズムの視点で眺めてい
黄色のハイライト | 位置: 609
オリエンタリズムは、「日本人とは何者か」を知るための、彼らにとってたったひとつの道具だったの
黄色のハイライト | 位置: 687
敗戦後の日本人論が「欧米とちがう日本人」を描いたのは、アメリカの研究者による日本人論を「直輸入」したから
メモ菊と刀のこと。その影響は、、誰とも似ていない日本人の特異性、というものの見方。
黄色のハイライト | 位置: 1,696
日本人は、御利益のある神と自分の得になる権威しか認めない。ひとびとの価値観は、支配者の交代や、いわんや教育などではなにも変わら
黄色のハイライト | 位置: 1,697
日本人は有史以来、世間のしがらみに搦めとられながらも、現世を楽しく生きることがすべてだと考えてきたの
黄色のハイライト | 位置: 1,720
日本社会では「血縁」や「地縁」が重視されるというが、これはアジア的な農耕社会ではどこでも見られるものだ。逆に日本人の特殊性は、アジア的農耕社会にありながら血縁や地縁のしばりが 弱い ことに
黄色のハイライト | 位置: 1,722
近代化を阻む最大の障害はネポティズム(縁故主義)と贈収賄
黄色のハイライト | 位置: 1,849
このようにして、夫が会社コミュニティに、妻と子どもがママ友コミュニティに所属することで、日本的な二世帯同居が完成する。このふたつのコミュニティは混じり合うことがなく、日本の多くのサラリーマン家庭では、夫と妻(子ども)はまったく無関係な人生を生きているの
黄色のハイライト | 位置: 1,943
こうした歴史の大きなうねりのなかで、国家主義者である井上は「日鮮同祖論」に〝転向〟し、日本人と朝鮮人はもともと同じ民族なのだから、日本が朝鮮を併合するのは故郷に戻るのと同じだと主張した(小熊の指摘するように、これが当時の保守派の一般的な論調だった)。これは自虐(劣等人種)が極端な自尊(優等人種)へと転換する人間心理の典型で、ある意味じつにわかり
メモ井上は当初、日本人は西洋人より劣っていると主張。日清日露ののちに転向。
黄色のハイライト | 位置: 1,947
それでは、井上の仇敵で日本の海外進出を当初から説いていた田口は、自らの〝予言〟を的中させたあと、どのような主張をしたのだろうか。 信じがたいことに、明治維新からわずか十余年で近代経済学の真髄を理解したこの超エリートは、「日本人の祖先は白人だ」といい出したの
黄色のハイライト | 位置: 1,963
グローバリズムには、経済的なグローバリズム(自由貿易)と政治的なグローバリズム(アメリカニズム)の大きなふたつの側面が
黄色のハイライト | 位置: 2,064
本来の自由貿易は、単一の世界政府が樹立され、国家が地方自治体となって、お金やモノだけでなく、国境を越えてひとも自由に移動できる世界ではじめて可能に
メモ主権国家は自由貿易の妨げとの、著者の主張。
黄色のハイライト | 位置: 2,067
なぜこのようなグローバル市場が成立しないかというと、いうまでもなく、(日本を含む)ゆたかな国が門戸を閉じて移民を厳しく制限しているから
黄色のハイライト | 位置: 2,075
このようにしてゆたかな国は、貧しい国のひとたちを貧しいままに監禁することを望むように
黄色のハイライト | 位置: 2,078
こうした国々への経済援助の大半は賄賂として権力者の懐に納まるが、これを刑務所の看守への報酬と考えれば、先進国の資金はもともと「囚人」に分配されるはずなどなかっ
メモ先進国が発展途上国の独裁者を支援している、とのこと。
黄色のハイライト | 位置: 2,090
自由貿易がうまく機能しないのは、それが国家という枠組みをはめられた〝歪んだグローバリズム〟だから
黄色のハイライト | 位置: 2,175
それに対してグローバルな交易社会だった古代ギリシアでは、ひとびとは農業だけで生計を立てているわけではなく、多数決による決定が不服ならポリスを去る自由が保障されてい
黄色のハイライト | 位置: 2,235
大航海時代の新大陸発見によって地球はひとつになり、最初はスペインやポルトガルが、次いでイギリスやフランスが、アフリカの黒人を奴隷としてカリブの島々に送り、カリブのプランテーションで生産した砂糖や煙草、綿花をヨーロッパに輸出し、ヨーロッパ製の銃や綿織物でアフリカの奴隷を買うという三角貿易を大規模に行なうようになっ
黄色のハイライト | 位置: 2,503
社会が複雑化してくるにつれて、ほとんどの問題がトレードオフに
黄色のハイライト | 位置: 2,503
トレードオフとは「あちらを立てればこちらが立たぬ」状況のことで、なにかを得ようと思えば別のなにかを失って
黄色のハイライト | 位置: 2,591
ほとんどの日本人は誤解しているが、アメリカ企業の能力主義は、利益を最大化するための仕組みではない。それは、「能力以外で労働者を差別してはならない」というグローバル空間のルールのこと
ピンク色のハイライト | 位置: 3,173
日本的官僚制では、政策はトップダウンではなく、現場からの積み上げによってつくら
オレンジ色のハイライト | 位置: 3,174
業界団体などが必要な政策を省庁に要望し、所轄課がそれをとりまとめて政策の原案をつくる。この原案は「合議(あいぎ)」あるいは「相議」と呼ばれる手続きによって、省内の関係部局の同意を取りつけ、局長間の合意を経て省案と
ピンク色のハイライト | 位置: 3,177
日本では、官僚制は閉じた存在ではなく、社会に深い根を持っている。これは社会の側が、業界団体や政治家を通じて官僚制を侵食しているということでもある。すなわち官僚制とは、日本においては、社会諸集団の結節点として機能しているの
オレンジ色のハイライト | 位置: 3,188
日本の政治のもうひとつの特徴は、政権党が自らを「与党」と名乗り、政府から距離を置く「政府・与党二元体制」
オレンジ色のハイライト | 位置: 3,195
その結果、「国対政治」で与野党が国会審議を紛糾させればさせるほど、官僚は対応に窮し、政治家の権限が拡張していくという奇妙な現象が起きることに
オレンジ色のハイライト | 位置: 3,244
日本は憲法の上では三権分立だが、実際は省庁が行政権ばかりか立法権と司法権を有し、予算の編成権まで持っている。さらには、各省庁は法によらない通達によって規制の網をかけ、許認可で規制に穴を開けることで業界に影響力を及ぼし、天下り先を確保して
オレンジ色のハイライト | 位置: 3,250
小沢一郎は、内閣法制局を廃止することで官僚から立法権を奪取し、国会を名実ともに立法府にしようとし
オレンジ色のハイライト | 位置: 3,261
「官僚支配」は各省庁が共同して日本を統治しているというイメージで語られることが多いが、これは事実ではない。官僚制の本質は、省庁同士、あるいは省庁内部の局や部、課のあいだの権限争いで、そこには共同の意思はなく、各自が自分たち(と関係者)の利益(なわばり)を最大化するためのはげしい競争を行なって
青色のハイライト | 位置: 3,563
本論に入る前に、「市場のグローバル化は世界を幸福にした」というシンプルな事実を再度確認しておき
メモ著者の視点。バイアス。
青色のハイライト | 位置: 3,640
グローバル市場では、人件費の安い(貧しい)国で商品を生産し、それを購買力の高い(ゆたかな)国で販売することで、企業家は法外な利益を手にすることができる。この仕組みに気づいたグローバル企業の利己的な経済活動によって、〝人類の宿痾〟とまでいわれた南北問題が解消され始め
メモ:詭弁。