- Amazon.co.jp ・電子書籍 (252ページ)
感想・レビュー・書評
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[余白のロマン]完全な復元はもはや不可能ながらも、その歴史や伝説が多くの者を魅了してやまない古代エジプト文明。文字や文学、さらには建築に至るまで、古代エジプトの概要を コンパクトにまとめた一冊です。著者は、時事通信社通信員等として四半世紀にわたりイスラエルに在住していた笈川博一。
無味乾燥な記述ではなく、読者の想像力をぐいぐいと引き出してくれるような記述になっている点が嬉しいところ。古代エジプト文明の魅力を削がない形で、というよりはさらにそれを増幅してくれる形で紹介することに成功しているように思います。それにしても古代エジプト文明の豊穣さには改めて驚かされました。
一門外漢としては、偉大な建築や彫刻といった部分に目が奪われがちなのですが、本書中に訳出された4つの物語は、古代エジプト文明の文学や神話が持つ魅力も伝えてくれています。現代の我々が見ても「おっ」と思わせてくれるストーリー展開があったりと、彼我の歴史の隔たりを感じながらも、変わらない部分があることを教えてくれているような気がして、夢想に浸りながらの読書体験となりました。
〜エジプト語が書かれるようになってから約五千年、忘れられてから千数百年が経つ。この間に多くのものが失われてしまって、それを回復出来る希望もない。しかし筆者個人に限れば、この空白こそがはるか後代の我々にロマンを与えてくれるように思えるのだが。〜
この感想にまったく同意☆5つ
※先のレビューで1月中頃までレビューを中止すると言いましたが、気が変わったので早速再会することにしました。個人的朝令暮改のご連絡まで。