HOUSE ハウス[東宝DVD名作セレクション]

監督 : 大林宣彦 
出演 : 池上季実子  大場久美子  神保美喜  尾崎紀世彦  小林亜星 
  • 東宝
3.75
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感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4988104096203

感想・レビュー・書評

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  • 数十年前『絶対観ておくべき映画、本』のムックで「傑作!」と書かれていたのを読んで気になって以来の初『HOUSE』。
    いやー待った待った。
    でも待った甲斐がありました。
    こんなにポップでファンキーで癖になるガールズホラーが日本にあったなんて!
    ぶっとびましたわ~。

    でもこれは若いとき観るのと年齢を重ねてから観るのとでは恐怖や哀しさの種類が違うかもしれない。

    主役の子、池上季実子さんに似た色っぽい美人だなあ、と思っていたらご本人だった(笑)
    あと大場久美子さんや尾崎紀世彦さんや小林亜星さん、三浦友彦さんらの若かりし頃も見られて不思議な気分。

    いいもん見させてもらいました。大林監督。

  • 見たことあるけど記録に残してないなぁ、古舘伊知郎とか、伊丹十三が黒沢清とモメてて、ゲームになってて。
    とぼんやり思いつつ見たら、開始数分で、あーっ、黒沢清「スウィートホーム」(1989)と勘違いしていた! 致命的!
    という個人的事情をよそに、

    女子高ノリ、作り物っぽい舞台、特撮ふう絵作りがテンポよく……いや早すぎるくらいにサクサク進む。
    そうそう、そういえば大林宣彦ってこんなふうだったなと思い出すが、それにしてもやりすぎじゃないか? とんがりすぎじゃないか?
    と勢いについ笑ってしまう。
    びんびん感じるのは、撮りたいものだけ撮りたい、という強い意志。
    結果カオスへ。
    中盤以降はアバンギャルドを通り越してドラッギーへ。

    撮りたいものとは例えば(言語化すれば山のようだと思うが)
    ・マットペインティング(空も山も書き割り)、コマ撮り、二重露光、合成映像、など手あたり次第。しかもはっきりそれと判らせる絵作り。
    ・ガールズトーク。棒台詞というか「オーイヤァ」というあいづちのような、わざとスベっている言語感覚。
    ・しなやかな肢体。入浴にかこつけてヌード。
    ・回想というか過去語りを映像化するが、女の子たちは(話を聞くのではなく)その映像を見ながらガールズトークというメタネタ。
    ・カンフーアクション映画。(渾名もずばりクンフー。いい脚! また個人的には尻を噛まれて以降怯えっぱなしのファンタも好き)
    ・「男はつらいよ」の寅さん、「トラック野郎」など映画パロディ満載。
    ・化け猫映画。
    ・マリオ・バーヴァに連ならんとする、血みどろ志向。
    ・「サスペリア」っぽい(ゴブリンっぽい)絵作りや音楽。
    ・作り手の欲望としては、「嫁入り前」の娘を食べたい……?
    ・オシャレ、ファンタ、クンフー、ガリ、スウィート、メロディ、マックのハウスガールズ7人、という人物配置自体が欲望に基づいていそう。

    他に特記しておきたいのは、
    ・「あらかじめ古い」からこそ風化しない。大林宣彦式ノスタルジーの作り方。
    ・一番ギョッとしたのはピアノのシーン。小学生が見たらトラウマだと思う。
    ・おばちゃま、愛を語っていい話ふうに終わらせようとしてるけどさぁ……。もはやツッコミとかどうでもよくなるくらいトリップしているからいいけど。
    ・癖になる。
    ・調べてみたら、1977年「サスペリア」「八つ墓村」「エクソシスト2」「悪魔の沼」……。オカルト映画全盛、スプラッターの波が来る前らしい。なんと似ていると思いきや「サスペリア」と同時代なのだ!

  • やれること全部詰め込んだって感じでした。編集、時間かかったんだろうなー

  • 1977年 日本 87分
    監督:大林宣彦
    出演:池上季実子/大場久美子/神保美喜/松原愛/南田洋子/鰐淵晴子/三浦友和

    世界を飛び回る作曲家の父と二人暮らしの女子高生オシャレ(池上季実子)は、夏休みに父(笹沢左保)と軽井沢の別荘に行くのを楽しみにしていたが、突然父が再婚相手(鰐淵晴子)を連れてきて一緒に行くといったため、仲良しの演劇部の仲間たちと、亡き母の姉であるおばちゃま(南田洋子)の羽臼屋敷を訪れることに。

    おばちゃまは、若き日に相思相愛の婚約者(三浦友和)がいたが、赤紙が来て彼は戦地に向かい、戻っては来なかった。しかしおばちゃまは彼を待ち続けて独身のまま一人で暮らしている。オシャレを含む7人の女子高生は、おばちゃまの家で楽しく過ごしていたが、食いしん坊のマックが急に姿をくらまし…。

    大林宣彦のデビュー作にして伝説のカルトホラー。書割のような背景、なぜかいつも風になびいている鰐淵晴子のスカーフ(でも超絶美人!)、チープなコラージュのような特撮などが独特で、トンチキなんだけどなんともいえないキッチュな味わい。屋敷で起こる事件自体は結構残虐なのだけど、このキッチュさのおかげでポップに仕上っている。

    そして今も活躍されてる女優さんたちの若き日の姿がなんとも可愛い。7人の女子高生は全員ニックネームなのでキャラがわかりやすい。オシャレ:池上季実子は当時18歳だけど、すでに大人の色気。今見るとちょっと石原さとみに似てる。終盤おっぱいぽろりがあってビックリ。今なら未成年にあんなことさせられないだろうなあ。

    夢見る乙女のファンタ(大場久美子)は正統派アイドルの可愛さ。子どもの頃『コメットさん』見てました。がり勉の優等生ガリ(松原愛)はメガネをとると美人設定。彼女も終盤全裸シーンがあってびっくり。さすがに彼女は当時も二十歳は越えてたっぽい。食いしん坊のマック、音楽の得意なメロディ、可愛い系のスウィート。

    そしてなんといっても個人的な一押しは武闘派のクンフーちゃん!演じる神保美喜はセクシー系なのだけど、ボーイッシュにアクションをこなし、7人の中でもとっても頼りになる!応援してたので、彼女まで犠牲になってしまったときはしょんぼり。

    ネタバレですが、実はおばちゃま南田洋子は、彼らぬ恋人を待ち続けるまま死んでしまい怨霊のようなものになっており、猫のシロは化け猫になっている。屋敷にやってきた嫁入り前の娘を食べては若返り、ついに姪のオシャレに乗り移って白い花嫁衣装を着て歩きまわるように。

    女の子たちは次々犠牲に。まずは食いしん坊マック。霊感の強い不思議ちゃんのファンタは井戸から冷やしていたスイカを引き上げようとしてマックの生首にお尻を噛まれるが、この時点では誰も信じてくれない。スウィートは蒲団に襲われ食べられてしまう。

    一番壮絶だったのは、メロディーがピアノに食べられてしまう場面。全然リアリティはないんだけど、バラバラになった彼女の体がピアノからはみだしてたり、指だけになってもまだピアノを弾いていたり。そして目撃者はいつもファンタ。

    クンフーはお風呂用の薪に襲い掛かられてもクンフーで撃退(笑)生き残ったクンフーとファンタ、ガリは一緒に戦うが、ついにクンフーが電氣の傘に食われてしまい、しかし足だけになってもまだキックを繰り出す猛者っぷりで、化け猫を仕留める。ファンタとガリは血の海になった家の中を戸板に乗って流されていくが、メガネを落としたガリが落下(ここで水中全裸)

    ただひとりファンタは階段に辿り着くが、そこにいたオシャレはすでにおばちゃまと同化しており…。ファンタ一人くらいは生き残るのかと思いきや、なんと女の子たちは全滅。オシャレに会いに来た継母・鰐淵晴子まで犠牲に…で幕。

    南田洋子は妖怪を演じるのがとても楽しそうで終始ノリノリのおばちゃまでした。若き日の三浦友和かっこいい。音楽を担当した小林亜星が、女の子たちにスイカを売るおじさん役で出演しているのだけど、本日偶然にも死去のニュース。ご冥福を。

  • 元祖Jホラーとも言われる作品。

    全編に渡って特殊効果、コミカルな感じなのが良い。当時だとJAWSとかの海外のパニック映画があっても、家に食われるって発想が斬新で、衝撃なんだろうな…。

    途中、寅さんみたいな人が出てきたりトラック野郎だったりパロディも多い。

    やっぱり監督がやりたいことふんだんに盛り込んで、余すこと無くやり尽くしてる作品って良いな。音楽は小林亜星とゴダイゴ。本人達も作中に登場。

    "永久の命 失われることの無い人の想い
    たった一つの約束 それは愛"

    最後の叔母様の語りのようなシーンの言葉、メッセージ性を感じて印象的だったな。

  • 悪い意味ではなく、なんでこんな映画が撮れるのか。どうゆう感性なんだろう。
    野性爆弾のくっきーのコントみてるみたいな感じ。悪夢っぽい。

  •  女子高校生達が田舎のおばの家に遊びに行くが、その家は化け猫の家だった!

     こんなポップでハイテンションな日本のホラー映画があったんですねぇ。しかも大林宣彦監督で。
     これはカルトな人気を得るだろうなぁ。。。ただし、今の私の感覚で見るとあんまり好みじゃない。
     しかし、若い頃の池上季実子ってすっごい美人だ。驚異的。

  • Japan Society主催の「大林宣彦祭」、この開催がHalloweenにちょっと間に合わなかったことは悔やままれるものの、もしかするとそのおかげだったかもと思わせられたりもするまさかの初日Sold Out。

    その理由はここ数年に起こった北米での「HOUSE = 大林 ≒ 現人神」騒ぎだったらしいということはつゆ知らず状態で劇場に到着するが、今回は数年前のATG祭での「野ゆき山ゆき海べゆき」(1986) 、意外や京都での「少年ケニヤ」(1984) 、昨年これまたJapan Societyでの「野のなななのか」(2014) といった鑑賞歴が引き金となっての全作前売り大人買いの快挙が功を奏して余裕の会場入りと相成った次第。(直近では「哀しみのベラドンナ」(1973) の上映日に油断して、Waiting List入りとなった記憶が真新しい。)

    さらなる誤算は翌日のイベントでお目にかかれるはずであった大林宣彦監督が上演前にご本人登場!いやおうなしに会場の熱気は高まる。この御仁、世が世なら秀吉についた「人たらし」という称号を同じく贈ってもよいのではよいのではないかといえるほどの魅力にあふれた方。その発せられる言葉のひとことひとことが含蓄に富んでいて、情熱に染まっていて、かつ温もりにもあふれている。この街に住んで以来日本の偉大な映画監督に触れる機会は十分に与えられては来ていたが、それでも存命のかつ既に多大なる功績を残しているという監督に拝謁出来る機会というのはほぼなかった。それがこの週末また実現したのだという気がした。(自分にとっての最初のその人は羽仁進監督!)

    作品はというと…

    おそらく既鑑賞組がたくさんいたであろう会場ながら、これでもかとどっかんどっかん盛り上がっていた。分類としては限りなく「B級ホラー」なのであろうが、その作品が産まれた頃の世相と、監督が本作を産み出すに至った過程をその本人の口から聞きいてしまったが故に、単なる「B級」ではなく「Bazooka級ホラー映画」と題するにいたってしまう。だって当時11歳の原案作成者である実の娘さんにも同夜お目にかかれることができたのですから。

    個人的には映画発表の2年も前にサントラを録りきっていたゴダイゴの面々が大林監督とともにカメオ出演する下りがツボ。大場久美子については自分の記憶より若すぎて最後まで確信持てず、一方で尾崎紀世彦の端役ブリは秀逸であった。

    お!そして最大のツボは「歌:成田賢」かも(笑) 

    これについては反応できた自分が誇らしかった!

  • 大林監督のドキュメンタリー番組見た後だと、ラストの言葉が沁みる。肉体がなくなっても思い続ける愛。クライマックスのカタストロフは最近のアニメに影響与えまくったんではないか。

  • ダサいのに、「おしゃれ」

  • 新文芸坐のオールナイトで観てハマってしまった。怪作!尋常ではないスラップスティックな少女たちの冒険と死の連続に踏みとどまることもできずに引きずり込まれてもみくちゃにされてしまった。

  • 台詞や演出が斬新(解説によるとポップな演出)で今となっては恥ずかしいくらいダサい。笑えるB級ホラー感で、観ていてニヤニヤしてしまう。主要な登場人物やチラッと出てくる友情出演の人達とか、時代が出過ぎてて更にニヤニヤ…
    当時の大林宣彦監督作品を懐かしむ人以外はツッコミながら観るのが好きな人向けです。

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著者プロフィール

映画作家

「2018年 『大林宣彦 戦争などいらない‐未来を紡ぐ映画を』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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