よ……読んだっ!!ようやく読み終えたーーー。
難解でした。ハードSFでした。
でも、以前もこの作者のレビューで書きましたけど、
SF的な部分を理解するのが、この作者の作品を楽しむツボではない様です。
もちろん、SFの部分を理解出来た方がより面白いし、物語をより深く読み解けるとは思いますけど、
でも、それよりも、この作品で最も面白かったところは、
「知を探求する!」という部分です。
わからないことをわかりたい。しらないことをしりたい。……という、人間(あるいは、生命体にとって普遍的な?)本来の欲求。
それに突き動かされていく人たちの物語です。
このお話は、奇数章と偶数章で、二つの物語にわかれてまして、舞台も登場人物も全く違った二つの世界のお話が交互に語られていく形で展開していきます。
世界の全ての謎が解き明かされ、知的探求の機会を奪われてしまった世界に生きている彼(ラケシュ)が、誰も知らない理解できない何かを探しにいくのが、奇数章のお話。
そして、そもそも遺伝子的なレベルで「知的探求」の能力を眠らされてしまっている種族が、種の保存に対する危機的状況におかれて初めてその能力を開花(しかも劇的なスピードで)していくというのが、偶数章のお話。
この二つの世界は、最初は全く違ったように見えるのですが、微妙にリンクしていて、そしてやがてどんどん近づいていって、さてさて、奇数章の主人公と偶数章の主人公がいつかは出会うのだろうなぁ……とか思って読んでいったんですけども……、ところがどっこい、なんとまぁ、壮大なトリック(?)が仕掛けてあったんですね。全然気付かなかった。
(私は、読了して、解説読むまでわかりませんでした。
とにもかくにも、一番面白かったのは、劇的スピードで知的能力を開花させていく、偶数章に登場する種族たち。
重力に対して、何の疑問も持ってなかった彼らが、一気に相対性理論までたどり着いちゃうんですからねぇ。しかも、その理論展開は、全くもって、『彼らの言葉』で語られているんですよね。そこがすごいと思いました。
「一心拍後に石の軌道が」とか「六の四乗分の人数が必要です」とか、独特の言い回しでした。しっかり世界が出来上がってるなーと思いました。
だけど、だからこそ、難解なSF理論が更に難解さを増していて(彼らの言い回しに慣れるとこからはじめないといけないから……)クラクラしましたけど。
でも、冒頭でも書いたけど、そこはもう、理解できなくても良いから、とにかく、彼らの「世界を理解したい!理解した!!新しいことを発見した!」という興奮を一緒に味わって、
彼ら種族の危機が、何とか回避出来るのだろうか!?とハラハラするだけでも、楽しめる物語だと思いました。
とはいえ、あまりにもSF的部分を理解出来ないままに読了してしまったので、この作者の作品にもう少し慣れてきてから再読してみたいなぁと、思いました。