中国 無秩序の末路 報道で読み解く大国の難題 (角川oneテーマ21) [Kindle]

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  • 筆者は北京大学中文系に留学し、週刊誌の記者として中国各地を訪れたことがある。そのため、筆者が一般人より中国の実情を詳しく知っているはずだと思う。題名から見れば、悲観的で厳しすぎるが、筆者が中国好きなここと、中国の現状を厳しく指摘するのは、別だと思う。好きだからこそ、厳しくなることもあるからだ。
    本書は、ここ数年来、中国で実際に起こったとんでもない事件を数々で、報道までされたものを紹介し、解説を加えた新書である。本書は、「虚飾に踊らされる中国」、「根深い幹部汚職の実態」、「収まらない民衆の不安」、「軽んじられる人命」の四章に分かれられて、23の事件簿で構成される。具体的には、昨今中国で大きな騒ぎとなった23の社会・経済・政治の事件を内外の報道を中心に綿密に拾い集め、その社会的背景、政治的意義、中国国民の反応などを幅広く分析している。その上、「日本人の常識では理解しがたい」ところの奥に「潜んでいる」という「真実の中国」を明らかにすることが趣旨である。中国にも厳しい状況がいろいろある。多くのは日本で大きく報道されなかったので、「日本人の驚き呆れるような内容がたくさんあって、それらの奥に真実の中国が潜んでいる」と、筆者が書いた。私も同感だ。目を疑うようなタイトルばかりであるが、これらは中国社会で実際に起こり、メディアで報道された事件なので、どこから読んでも読め、どれを読んでも実に面白い。
    確かに、この本の題名を読めば、つい中国はいったいどうなってしまうか、これからどうなっていくか、などが心配になる。その上、ある種の恐ろしさを感じるようになる。庶民の私たちは、何もできずに、ただ「しょうがないね」とか言いながらため息をつく立場かもしれない。全体的に見れば、客観的な分析と中立的な立場が特徴で、政治・経済・社会問題など幅広いトピックから中国の実像を描いていると言える。この本を読み終わると、無秩序の原因とテロ行為の原点は貧富の差であるように思われる。

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著者プロフィール

1964年愛知県生まれ。北京大学中文系に留学した後、
週刊誌記者などを経てフリージャーナリストに。
94年『「龍の伝人」たち』(小学館)で、21世紀国際ノンフィクション大賞
(現・小学館ノンフィクション大賞)優秀賞を受賞。
新聞・雑誌への執筆、テレビコメンテーターとしても活躍。
2014年より拓殖大学海外事情研究所教授。
『反中亡国論』『中国がいつまでたっても崩壊しない7つの理由』
『「米中対立」のはざまで沈む日本の国難』(以上、ビジネス社)、
『感情的になる前に知らないと恥ずかしい中国・韓国・北朝鮮Q&A』(講談社)、
『トランプVS習近平 そして激変を勝ち抜く日本』『風水師が食い尽くす中国共産党』(以上、KADOKAWA)など著書多数。

「2023年 『それでも習近平政権が崩壊しない4つの理由』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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