死体は今日も泣いている~日本の「死因」はウソだらけ~ (光文社新書) [Kindle]
- 光文社 (2014年12月15日発売)
- Amazon.co.jp ・電子書籍 (215ページ)
感想・レビュー・書評
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久しぶりに読み返しましたが、素晴らしい本です。
精神科、救命救急科とやって来ましたが、死亡診断書や死体検案書を誰がどのタイミングでどう書くのか問題は昔も今もずっと付き纏っている感ありますし、この問題についてはシンプルに解決できないややこしさありますね。臨床医としても死因究明の制度はもう少し整えて欲しいです。揉める方向に書くなよという周囲からの無言の(稀に有言の)圧力がしばしばあったり現状ではきっちりやろうと思う方ほど色々としんどくなる感あります。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
著者は千葉大学と東京大学の法医学講座を兼務し、年間300件以上の司法解剖を行っているという。本書は日本における司法解剖などを取り巻く法制度と実情を解説すると共に、その多くの課題を指摘する。
新書というのはある分野の専門家が素人向けにわかりやすく解説する本が多いが、本書の場合、死因究明に関する日本の制度が問題点だらけで早急に改善すべきという著者の主張を広く知らしめるために書かれたような印象だ。
本来、死に至る病気をずっと患っていた場合などの例外を除けば、正確な死因は解剖しなければわからないはずなのに、警察官や主治医でもない医者が簡単に外見をチェックしただけで死因を決めてしまっている例が非常に多いという。本当は殺人なのに事故と判断されたり、事故なのに病死とされたりすることは、犯罪抑止や事故防止のためにもマイナスだ。
もちろん予算や人手の問題もあるだろう。著者に感化されただけかもしれないが、もう少しマシな状態になることを望む。 -
知らないことだらけ。大変興味深かった。
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私が初めて法医学者という存在を知ったのはこの本にも出てくるPコーンウェルの検死官シリーズでした。先進国の解剖現場とはこういうものなのか!と驚き、てっきり日本もそうなのだと思っていたのですが...他の監察医の本や法医学の本を読んで全く異なることを知り更に驚きました。この本では更に詳しく法医学の制度を解説してくださり、日本の死体の現状に愕然。人は必ず死ぬ。毎日誰かが死んでいる。だからといって死因を曖昧にしていいわけがない..
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著者は現千葉大法医学の教授。直接知っている身として、とても誠実で穏やかで、偉ぶらない素晴らしい先生。日本で初めて遺体への専用CT社を教室に備え、死因究明に身を捧げている。日本の法医学の立ち遅れの嘆き。未だにこんななの?という驚きも。これなら自分も入っていけるかなとも思ったり。
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タイトルからそれほど深くない内容を想像してしまうが、とんでもない。非常に重大な問題提起をしている。
つべこべ言わずに一読すべし。