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感想・レビュー・書評
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ものすごくよかった。
SFだけども普通の文学っぽいというか、こういうの好きだ。同時にものすごくおそろしく、悲しくて、気が沈んだけれども。
パンデミックで世界の人口の99%が死滅して文明が崩壊して、というストーリー。
あっというまに致死率のきわめて高いインフルエンザが蔓延し、あっというまに社会が機能しなくなって世界が崩壊するというのは、なんだか今日にも起こりそうに思えて本当に恐ろしかった。(お願い、だれかこんなの現実にはありえない、って言って! でも、生き残った人たちが残っているモノでなんとか電気や薬や最低限の食品をつくったり、社会的な秩序を回復したりって、できそうな気もするんだけど無理なのかな???そこがちょっとだけ疑問だった。)
パンデミック、とかいうと、グロテスクな場面があったりパニックが起きて怒涛の展開、みたいなものを予想するけれど、まったくそんなことはなく、パンデミックが起きるずっと前の、舞台俳優とその妻たちの話や、パンデミックから数十年後の、旅する劇団や空港に住みついた人々の話、など、さまざまな人々の物語が、いたって穏やかに静かに語られる。文章がすごく文学的で抒情的な感じで、ものがなしい。この静かな筆致がすごくよかった。
その人々も実はなんらかのつながりがあって、そのつながりがあとからわかってくるのもよくて、胸に迫るというか。
文明が崩壊したあと、あたりまえにあった電気や電子機器、電灯やパソコンや電話や飛行機がどれほど美しく見えるか。そういう描写もすばらしかった。
今、環境汚染だとか情報過多だとかなんだとか、文明を悪くいうようなこともあるけれど、これを読むと、今の文明社会がとてもとても美しくて、かけがえのないものに思えてくる。
あと、「ステーション・イレブン」という登場人物のひとりが描いていたマンガも、絵が目に浮かぶようで美しい。
ラストは、世界が再生される希望が見える。それもとてもよかった。 -
面白かった。
キングとはまた違う、終末世界。
人々の記憶が行き来する。
タイラーがどうしてああなったか、エリザベスどうなったか。
その辺が知りたかった。
ジーヴァンが感じた世界が、なぜか一番身近に思えた。
都市が雪の中沈黙していく。