脳の疲れをとれば、病気は治る! 「脳疲労」時代の健康革命 (PHP文庫) [Kindle]

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  • PHP研究所
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  • ストレスでカラダの調子が悪くなることは、誰でも知っている。
    しかし、そのメカニズムを科学的に解明することは、かなり難しい。
    この著作では、「脳疲労」という藤野医師が考案した用語を使って、
    その解明を試み、またBOOCSという独自の方法を使って、
    脳疲労への対処療法(主に肥満改善)を試みている。

    脳疲労というのは、大脳新皮質と、大脳旧皮質の情報(ストレス)をめぐる、
    バランスの乱れと定義している。
    大脳新皮質は、外部から受ける、さまざまな情報の処理、分析、判断を行う機能がある。
    そして大脳旧皮質は、本能や情動という生命の基本を維持する機能がある。

    大脳新皮質と旧皮質は、相互に関係しあっている(情報の交換と言っていい)。
    しかし、情報(ストレス)が過多になると、相互のバランスが崩れる。
    それは例えるなら、理性的な新皮質が、「あれをやるように!」とカラダへ支持しても、
    本能を司る旧皮質が、「もう無理だ、やりたくない!」という状態になるからだ。
    この状態を、「脳疲労」という。

    そして、脳疲労が発生した場合、五感異常が現れる。
    視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚の機能低下である。
    藤野医師は、この発生メカニズムを研究している。
    神経細胞間の接続部であるシナプスの情報伝達に必要な神経伝達物質の減少だという
    仮説を提起しているが、まだ、科学的には証明されていない。

    脳疲労が、肥満やうつ病を引き起こすという仮説は、個人的には腑に落ちる。
    以前、NHKが特集した『キラーストレス』にも、ストレスが脳に及ぼす影響を、
    扁桃体の興奮が、自律神経やホルモンの分泌、情報伝達の異常を引き起こし、
    身体に様々な負の影響を引きおこすと指摘しているからだ。

    私の場合は、脳疲労の事を知りたいというよりは、
    なぜ、勉強でも、仕事でも、集中力がずっと続かないのか、
    また、集中力を維持、向上するためには、
    どうすればいいかという問題提起があって、この本を手にした。

    この本を読んで、仮に上記の解決策を考えると、
    集中力の持続を情報(ストレス)の過剰と考えると、
    ずっと集中することはできないとわかる。
    必ず五感異常が現れるからだ。
    その状態で、頑張っても、何も良いことはない。
    そして、再度、集中するには、脳疲労を取り除く必要があるとわかる。
    よって、休憩やリフレッシュは、再度、集中力を発揮する上で、
    不可欠なものであると、はっきりわかるようになった。

    ぶっつづけで、何時間も勉強したり、休まず働けば、必ず脳疲労を起こす。
    そこで、無理をして、脳を酷使すると、五感異常がさらにすすむ。
    その最悪のケースが、うつ病であったりする(うつ病の原因は、その他にも多々ある)。
    やはり、休息は大事で、自分の状態を客観的に認識するのは大事で、
    無理はダメだなと、当たり前のことが、大切だとわかった。

    こういった知見は、もっと広く認知されていいと思う。
    ただ、立証されていないだけに、臨床行為による改善事例では、パンチが弱いからなのだろうか。
    日本では、ここ最近うつ病の患者数は10年前の倍ふくれあがり、また過労死の事例も多数みられる。
    その原因の一つがストレス過多なら、働くという行為のある一面が、
    人間を壊し、死に追いやるものだということだ。
    それを、防止するために労働基準法というものがあると思うが、
    現状をみると、あるが、機能していないように思える。
    日本では過剰労働が常態化していて、その防止策を残業時間の短縮として、
    手を打っているが、「脳疲労」の状態が既に数値化できるのなら、
    その指標を元に、防止策を練った方が、合理的な方法だと思う。

  • 脳疲労についての本。
    このところ、仕事が忙しく明らかに脳が疲れてるな、食欲も出てきて、また太りはじめたな。
    そう感じたときに購入した本。
    中盤、論文のような説明的な文章に集中力を削がれますが、全体的に読みやすかった。
    特に後半の脳疲労と心の(?)状態についての件は、とても納得した。

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著者プロフィール

昭和39年、九州大学医学部卒業。九州大学名誉教授。医学博士。循環器専門医。日本心電図学会、日本画像医学会各評議員、生理人類学会理事。
「BOOCS」理論を提唱し、現在2万人以上が成果を実証済み。

「2003年 『新版 ブックスダイエット』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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