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感想・レビュー・書評
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云わずと知れた著者の代表作のひとつ。
2003年に放映されたテレビドラマ「白い巨塔」(唐沢寿明主演)の再放送を観るうち、その原作を未読だったことに気付き、再放送がまだ終わらぬ前に文庫本全5冊を取り寄せ、一日半で一気読みしてしまった。
文庫本全5巻にもなる大作をこんなにも集中して一気に読んでしまったのも久しぶり。そう、そのくらい面白かった!
さすがは初版刊行から約60年を経たこれまでに、劇場版映画化に加え、計5度もテレビドラマ化された超人気物語。何がスゴイって、とても覚えきれないほどに大勢の人物が登場するのに、その一人一人の性格や人生までもを実に克明かつ生き生きと表現せしめる筆力。そして、さすがは新聞記者歴15年の経験が窺える、事前の周到な取材と予習に裏付けられた圧倒的な知識・情報とリアリティ。フィクションだとは分かっていても、なんだかまるで全て事実に基づくノンフィクション・ドキュメンタリを読んでいるかのような迫力と説得力は類を見ない。
また、並行して展開中のテレビドラマと見比べると、テレビの脚本が驚くほど原作に忠実なことが良くワカル。(これは現在再放送中の2003年版のみならず、同じく今なお鮮明に記憶する田宮二郎主演の1978年版でも同じこと)
これは思うに、テレビドラマの脚本家らによる余計な脚色や演出が無くとも、原作に書かれた通りのセリフや展開をそのままテレビや映画に変換しても視聴者の理解や感動に繋がることを意味しているように思う。
小説に描かれた舞台は昭和30年代後半。つまり今より60年前後も前のことなので、医療界や医療行政、大学病院の実態等は、さすがに今とは大きく異なる。しかし逆に、その違いや背景に目を向けながら読むのもまた一興。
最後の映像化は2019年版テレビドラマ(岡田准一主演)。それから丸5年が経とうとしている。
どうだろう。気鋭のプロデューサー、脚本家による6度目のテレビドラマも観てみたい。阿部寛、もしくは堤真一あたりの財前五郎もいいのでは? -
何度も映像化された、山崎豊子のあまりに有名な長編小説。国立浪速大学第一外科教授財前五郎の、栄光と転落の激しい人生。医師として決して許せないその男の敗北を見たいがために、とにかく夢中で読み進めました。