人工知能は人間を超えるか (角川EPUB選書) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 序盤は人工知能の概要・歴史について記されている。
    それらについてざっくりと解説されているため、人工知能につい専門的な勉強を行ったことのない読者には人工知能の全体像をつかむのにいいかもしれない。
    そして後半にかけては、ディープラーニングの登場により特徴表現の獲得を可能にした人工知能が今後どのような方向に向かっていくのかが記されている。
    その中で大事なことは、人工知能を生かすも殺すも自分たちの意思次第である。これらの分野について専門的な勉強をして来なかったからといって、人工知能と向き合っていかないことは危険である。一人一人が、人工知能をどう活かしていけば良いのか、それによってどう社会を良くしていけばいいのかを考える義務が今日にはあると考える。

  • 再読。
    「我々はなぜ世界をこのように認識し、思考し、行動することができるのか。なぜ新しいことを次々考え、学ぶことができるのか。その根本原理はなんなのか」未だわかっていない。

    人工知能に懐疑的な人は科学者の中にも多い(多分宗教的影響) 

    特徴量を生成していく段階で思考する必要があり、その中で自分自身の状態を再帰的に認識すること、つまり自分が考えていることを自分でわかっているという入れ子状態が無限に続くこと、その際に「意識」と呼んでもいいような状態が出現するのではないか。

    ミンスキーが示したニューラルネットの限界。
    3層のニューラルネットでは線形分離可能なパターンしか分離できず、XOR関数すら実現できないこと。

    シンボルクラウディング問題。スティーブン・ハルナッド、記号(文字列、言葉)をそれが意味するものと結び付けられるかどうか問う。

    学習の根幹を成すのは「分ける」という作業。回帰も。(元の位置に戻ること。)
    教師なし学習の場合には「共通項を持つクラスに分ける」「頻出パターンを見つける」「共通パターンやルールを見つける」。

    機械学習の問題点:特徴量に何を選ぶかで結果が大きく変わる。(特徴量設計)

    ディープラーニングはこの特徴量を自ら獲得して分類するという技術なのね。データ間の相関関係を見つけることで特徴表現を自動的に見つけられる。データの中から特徴量や概念を見つけ、その塊を使ってもっと大きなアイデアの塊を見つけるだけ。(抽象化みたいな感じか)

    ロバスト性を高めるためにこそ、入力信号にノイズを入れる。ノイズを加えても加えても出てくる概念はちょっとやそっとのことではぐらつかないから。

  • 知能に加えて、生命を持ち、それを保存し、増やしたいと言うプログラムが実行し無ければ、人工知能が意思を持って、人間を征服する事はあり得ない。 なるほど、征服を望む意思が人間にあって、それを人工知能に施さなければ、悲観論は杞憂だという事か。 人工知能によって、出来なかった事、出来ている事、実現され様としている事が整理されていてよく分かる。

  • 「人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの」松尾豊

    人工知能ネタが好きなので買ってみました(^-^)

    ソフトバンクのpepper君が誕生したり、自動運転の車が開発されたり、ここ数年は人工知能ブームです。
    同時に、人工知能の発達により、いつの日か人工知能が人間を超えるときがくるのではないか、という不安や、今ある仕事がなくなってしまうのではないか、という心配もでてきています。

    やはり子を持つ親としては、大人になった我が子が無職でニッチもサッチもいかない状態になるのは避けたい。
    そんな思いから細々と知識を得ているというワケです。

    この本の前半では人工知能の歴史と、これまでの人工知能がどういう仕組みで作られていたのか説明しており、後半では、これからどうなるのか、どういう心構えでいればよいか、の作者なりの考えが記載されています。
    仕組みの部分は、多分かなりわかりやすく書いてくれてるんだと思うんだけど、文系脳の私には超難しかった〜〜。
    ここらへんはもう適当に雰囲気だけつかんだ感じです。


    人工知能の本を読むと、改めて「人間ってすごいなぁ」と思いしらされます。
    人間の子供が当たり前にできていることもまだ人工知能はできないことが多いんですよね。人類スゲェ。

    人工知能の発達やロジックは、幼子が知識や経験を習得していく姿と共通する部分もあります。(人を真似して作ってるんだから当たり前と言えば当たり前ですが。)
    なので、こういう本を読んだあと、自分の子供を眺めていると、
    「あ〜、この人は今、脳内探索木をひとつひとつ試しているところなんだなぁ」と観察しながら妄想してみたりして、なかなか楽しいです。
    大人にとっては無駄なことをしているようにしかみえないの、で「こうやるんだよ」とか「それは違うよ」と答えを与えてしまいたくなるんですが、それは彼が自分で学ぶことにらならないんだなぁと思うようになります。

    人工知能の概要を学ぶことで、人の学習方法について改めて学ぶことができたような気がします。


    以下、印象に残った箇所。
    -------------引用-------------
    2 0 1 4年 、英国デロイト社は 、英国の仕事のうち 3 5 %が 、今後 2 0年間でロボットに置き換えられる可能性があるという報告を発表した 。年収 3万ポンド (約 5 5 0万円 )未満の人は 、年収 1 0万ポンド ( 1 8 0 0万円 )以上の人と比べて 、機械に仕事を奪われる確率が 5倍以上高いという 。さらに 、オックスフォ ード大学の研究報告では 、今後 1 0 ~ 2 0年ほどで 、 I T化の影響によって米国の 7 0 2の職業のうち 、約半分が失われる可能性があると述べている。
    --------------------------------
    やはり、今の職はかなり減るのですねー。車の運転とか、工場作業とかはヤバイんだろうなぁ。
    てか、今の私の仕事だってかなり危ういような気が。。。


    --------------引用--------
    日本でも目を引くプロジェクトが立ち上がっている 。ロボットは東大に入れるか 。 2 0 2 1年までに東大入試合格を目指す人工知能 「東ロボくん 」のプロジェクトである 。 2 0 1 4年 1 1月に行われた全国センタ ー模試の結果 、偏差値は前年の 4 5 ・ 1を上回る 4 7 ・ 3となり 、全国の私大の 8割に当たる 4 7 2大学で合格可能性が 8割以上の 「 A判定 」が出たと話題になった 。
    ---------------------
    東大合格を目指した東ロボくんというのがいて、東大合格目指して頑張っているそうなんですが、何にビックリって、偏差値47.3で、全国の私大の8割以上でA判定がでるということにビックリよ!
    偏差値47.3より上の私大って日本に2割しかないわけ?もう少し頑張れよ、日本の私大。。。。


    ------------引用-------------
    そもそも学習とは何か 。どうなれば学習したといえるのか 。学習の根幹をなすのは 「分ける 」という処理である 。ある事象について判断する 。それが何かを認識する 。うまく 「分ける 」ことができれば 、ものごとを理解することもできるし 、判断して行動することもできる 。 「分ける 」作業は 、すなわち 「イエスかノ ーで答える問題 」である 。
    -------------------------
    学習の根幹となるのは「分ける」という処理。
    なるほど。私たちは学ぶ時、脳内で分ける作業をしているのか。
    学習の根幹を意識したり考えたりしたことなかったけど、すごい本質な気がする。

    ----------------引用------------
    人間は特徴量をつかむことに長けている 。何か同じ対象を見ていると 、自然にそこに内在する特徴に気づき 、より簡単に理解することができる 。ある道の先人が 、驚くほどシンプルにものごとを語るのを聞いたことがあるかもしれない 。特徴をつかみさえすれば 、複雑に見える事象も整理され 、簡単に理解することができる 。
    -----------------------
    上の文章と関連してますが、人間は特徴をつかむことに長けていて、人工知能にとっては、この特徴をつかんで分類して理解するというのがとても難しいことだったらしいです。
    これが、ディープラーニングってやつでちょっとだけだけど人工知能でもできるようになってきました。
    こういうの読んでると、人間っていう生き物の特徴とか、自分たちが無意識で何をして学びを得ているのかというのが見えてきてとても面白い。



    ----------引用--------------
    おそらく 、生後すぐの赤ちゃんは 、目や耳から入ってくる情報の洪水の中から 、何と何が相関し 、何が独立な成分かという 「演算 」をすごいスピ ードで行っているはずである 。情報の洪水の中から 、予測しては答え合わせを繰り返すことでさまざまな特徴量を発見し 、やがて 「お母さん 」という概念を発見し 、まわりにある 「もの 」を見つけ 、それらの関係を学ぶ 。そうして少しずつ世界を学習していく 。
    ----------------------------
    人間は赤ちゃんでも特徴を捉え発見して様々な概念を学んでいるんですよ。そう考えると子供の無意味な行動にも全て学習のための必要な行動に思えてきて、そこを大人がむやみに介入するのはよくないことな気がしてきます。
    大人が正解をすぐに与えてしまうのは彼らがトライ&エラーで自ら学ぼうとしていることを奪っているのかもしれません。
    子供に色を教えたり、数を教えていると、これらの概念をどう伝えればいいのか日々試行錯誤しています。難しいけど面白い。



    無駄に不安がる前に、まずは人工知能と共に歩む未来をできるだけ正確に知ることが大事なのかな、と思うので、興味がある方は是非読んでみてくださいな。
    あと、中長期的に自分がどういうキャリアを築いていけばいいのか考えたい人や、子供が大きくなったときにどういう仕事が残ってどんな仕事がなくなるのか知りたいという人にもヒントをくれると思います。

  • わかり易くて最後まで読み切った。
    今読んでおくとちょうど良さそう

  • 人工知能研究の今を知ることができる。ディープラーニングが持てはやされていることは知っていたが、その理由を本書で知ることができた。人工知能研究のこれまでとこれからの予測をもって、産業に与える影響を知ることができた。
    我が日本国が外国に遅れを取らず、情報産業を独占されないために投資の必要な分野であることを知れたことが一番大きい。

  • 最近流行ってるディープラーニングって何?という気持ちで気軽に読み始めたが、人工知能研究の歴史から始まる恐ろしい熱量の内容に圧倒された。人工知能に少しでも興味がある人にはぜひお勧めしたい一冊。

  • 一般向けの啓蒙書ですが、技術的な到達点と意味合いを正確に知ってほしい、という想いのこもった非常に面白い本でした。

    過去二度の人工知能ブームと今回のブームの違いを、ディープラーニングによる特徴量の自動抽出(=概念の獲得)に集約させて説明するスタンスで、同時に二度のブームから脈々と続いてる研究のテーマや流れについても解説しています。

    一般の人が思い描くような人工知能からするとまだまだ乗り越えるべき課題はあるが、汎用的な特徴量の学習手法が開発されることによって、ひとつの、しかし非常に大きな山を乗り越えた、という主張はよく伝わりました。

    一方で、本書にもありましたが「ディープラーニングでやってることは主成分分析と似たようなこと」という記述内容も印象に残りました。なぜディープラーニングで得られた特徴量表現だけが取り立てて「概念」としてシンボルグラウンディングされたのでしょうか。少し飛躍を感じなくもなかったです。

    しかし、これからを考えると楽しいですね。概念が獲得できるとして、その多様性はどうなるのか。人間社会のように多様な概念の相互作用はどうなるのか。現時点では特徴量表現と概念の対応付けは人間の(社会の?生命の?)仕事になってますが、そこはどう乗り越えるのか。

    今何をすべきか考えていきたいですね。

  • 2015年に書かれたものだが、今まさに生成AIとして、本書で書かれた未来が前倒しで大きな変化となって起きている。
    近著も読んでみよう。

  • 特徴表現の獲得が、ディープラーニングという特徴表現学習の方法によって、一部解かれつつある

    高い 認識能力、予測能力、行動能力❗️、
    概念獲得能力、言語能力
    を持つ知能

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著者プロフィール

1953 年、新潟県五泉市生まれ。1978 年東京教育大学教育学部芸術学科(彫塑専攻)卒。1989 年、毎日新聞社主催・毎日郷土提言賞富山県優秀賞受賞。
著書に『新潟街角の芸術̶̶野外彫刻の散歩道』(新潟日報事業社,1987)、『富山の野外彫刻』(桂書房,1991)

「2015年 『パブリックアートの展開と到達点』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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