人工知能は人間を超えるか (角川EPUB選書) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • <Point>
    Deep LearningがDataから特徴学習という人間しかできなかったことができるようになったこと(50年来のBreak Through)。
    人間に求められる仕事は希少性ある経験(誰しもできないこと)から大局的な判断を行うこと。精度を高めるだけのDataが集められないとComputerが行えないから。

  • 人工知能第一人者の松尾さんが書いているだけあって、いい加減なことは書いてありません。

    全て事実に基づいていますし、将来の見通しにも信頼性があります。

    人工知能全般について正しい知識を身に着けたい人はぜひ購入してみてください。

  • Kindle版にて読了。

    ここのところ世間を賑わせている人工知能(AI)。
    著者の解説によれば、現在は第三次AIブームだそうだ。
    第一次ブームは1950〜60年代、コンピュータで「推論・探索」をする研究が進んだ。
    第二次ブームは1980年代、コンピュータに「知識」を入れることが試みられた。
    そして、第三次ブーム、ビッグデータの時代に広がった機械学習と、技術的に大きなブレークスルーであるディープラーニング(特徴表現学習)が花盛りである、と。

    第二次ブームでは、機械が「知識」を習得することの難しさが壁になった。
    人間なら簡単に操ることのできる知識に関わる作業をコンピュータにやらせるのは想像以上に難しいらしい。
    たとえば、以下のような難問がある。
    フレーム問題:あるタスクを実行するのに「関係ある知識だけを取り出してそれを使う」という、人間ならごく当たり前にやっている作業を人工知能に如何にして実行させるかという問題。
    シンボルグラウンディング問題:人工知能が、記号(文字列、言葉)とそれが「意味」するものを結びつけることができない問題。

    「知識」をたくさん投入しても、基本的に入力した知識以上のことはできない、というのが第二次人工知能ブームの限界であった。
    こうした閉塞感を打破する技術が「機械学習」であり、そのキーファクターとなるのが「特徴量」。

    特徴量というのは 、機械学習の入力に使う変数のことで、その値が対象の特徴を定量的に表す。
    この特徴量に何を選ぶかで 、予測精度が大きく変化する、と。

    ただし、特徴量を記述するのはあくまで人間であった。
    これに革新をもたらすのが「ディープラーニング」である。

    <div style="padding-left:20px"><font color="navy">ディープラーニングは、データをもとに、コンピュータが自ら特徴量をつくり出す。人間が特徴量を設計するのではなく、コンピュータが自ら高次の特徴量を獲得し、それをもとに画像を分類できるようになる。ディープラーニングによって、これまで人間が介在しなければならなかった領域に、ついに人工知能が一歩踏み込んだのだ。</font></div>
    <div style="padding-left:20px"><font color="navy">AIを実現するために、これまでいろいろな研究が行われてきて、そのたびにさまざまなトピックが取り上げられてきたが、結局、「特徴表現をどう獲得するか」というのが最大の関門で、その山を越えられなかった。ところがいま、ビッグデータと機械学習の間に抜け道ができた。それがディープラーニングで、ここを抜けていくと、その先にとても肥沃な世界が広がっているということである。社会的なインパクトも大きい。この先にまだいろいろな山があるのかもしれない。しかし、人工知能は長い停滞の時を超えて動き出したのだ。</font></div>

    素人でもわかりにくい概念ではないけど、なんとなくピンとこないような気もする。
    個人的には、以下のような例示がイメージしやすかった。

    <div style="padding-left:20px"><font color="navy">自動車でも飛行機や電車でも、操縦士・運転士の大きな仕事のひとつは「おかしなことが起こっていないか」という「異常検知」である。異常検知というタスクは、高次の特徴量を生成し、そこから「通常起こるべきこと」を想定し、それと異なっていれば何かおかしいと感じるということだから、特徴表現学習の得意とするところだ。この仕事をコンピュ ータができるようになると、運転を人工知能が行うことも、遠隔で操作することも、いまよりずっと簡単になる。</font></div>

    なるほど、こういう視点で考えれば、人工知能の活かし方についてのアイデアも湧くかもしれない。

  • 人工知能の現在位置。

    できることとできないこと、得意なことと不得意なこと。

    ◯自らを維持し 、複製できるような生命ができて初めて 、自らを保存したいという欲求 、自らの複製を増やしたいという欲求が出てくる 。それが 「征服したい 」というような意思につながる 。生命の話を抜きにして 、人工知能が勝手に意思を持ち始めるかもと危惧するのは滑稽である 。

    ◯シンギュラリティで議論されているような 「真に自己を設計できる人工知能 」の実現は遠く 、現在のところ 、その糸口さえもつかめていない 。

    ※詳細kindle メモ

  • 人工知能の歴史的な流れについて書かれている。いま当たり前のDLやMLにも過去があり、それらの発展が過去のどんな壁を乗り越えたのか知れる。
    DLが特徴表現ができることで、知識の抽象化ができるようになった、というのが印象に残った。

  • 人工知能に関連する書籍はこれで5冊目ぐらい。人工知能を実現する技術(?)として取り入られている教師あり機械学習やディープラーニングといった何となく知ったつもりになっていたところ、本書を読んでそれなりに理屈を理解できたように思う。いま巷で耳にするAIや人工知能が何なのか、大枠や概観に触れるにはもってこいの本だと思う。

  • ハーバードビジネスレビューの人工知能特集の寄稿者のお一人でもあるので印象に残っていたところ、中村さんのブログで見かけた。一通り読んでおいた方がいい気がするな〜。

    やっぱり読みたくなって購入。かなり読みやすくて一気に読める(の割りにその日のうちには読めなかったけど)。とても面白かったし、なにがこれまでの課題だったのか、ディープラーニングができるようになった意味がなんとなく分かった。もう一度DHRを読もう。

  • 読了

    最後はつまらんくてななめに

    人並に今の人工知能のベーシックな知識くらいは得ておきたいと思って読んでるとこ

    今の人工知能については、イメージだけで話す人が多いので、騙されないようにするためにも基礎知識は欲しい

    しかし、ディープラーニングの仕組みのとこは、概念での説明だけど、ブルッときた
    久々にブルブルッとくる知的興奮を覚えた

    人間の脳には、常に、全身の神経系から膨大な量の情報が入ってくる
    五感は実は常に動いてるし、全身の皮膚から圧力や温度の情報が、眼からは注視点に限らず、全視覚細胞からの情報が、味覚細胞や嗅覚細胞も、その何億という数だけの情報を捉えて、膨大な電気信号を脳に絶え間なく供給し続けてる

    でも、脳は、そのほとんどを捨てる
    しかも、的確に必要なものだけ残して、要らないものは捨てる
    いるかどうか意識が判断する前にいらないものは捨てる
    意識にのぼってくるのは、ほんのわずかな情報

    なのに、そのわずかな情報で意識は世界を構築している!!

    これは脳の凄いところで、その捨てる作業のために、意識と現実には、0.5秒くらいの時間差が出来るんだけど、その0.5秒も補正してるので、意識されない

    0.5秒は置いておいても、膨大な情報から世界を構築するには、むしろ、要らない情報を捨てる必要がある
    等価に評価するのではなく、優劣をつけ、どうでもいいものは情け容赦なく、じゃぶじゃぶ捨てる

    つまり、この捨てるものと残すものの選定のところに、意識の成り立ちがある

    そんなことはこの本には書いてないので、別の本を読んで欲しいけど、前提として。

    で、ディープラーニングは、この情報の捨て方、残し方を最適化する、というのを繰り返して、膨大な情報からものすごく抽象化された概念を作る

    何を捨てて、何を残したら、情報が失われないか、というのを、何回も繰り返して、情報を失わずに情報を圧縮する方法を見つける。
    その圧縮された情報の何を残して何を捨てたら、情報が減らないかを、何回も繰り返して明らかにする。んで、更にその圧縮された情報を、、、、というように繰り返していくと、ものすごく抽象化された概念が取り出される

    という、なんと、これはまさにさっきあげた、脳が情報を正しく捨てる仕組みとそっくりじゃないか!!と思って、身震いしたのだ

    ディープラーニングに出来るのは、これしきのことである
    シンギュラリティはまだ通そうだ

    でも、そのこれしきのことのまさにディープさに痺れる

    夢のような技術じゃなく、現実的な仕組みとして理解できたことがとても良かった

    まだ読み終わってないけど

  • 表紙の絵に若干引いて読むのをためらっていたが、ディープラーニングについて知りたければこの本を避けては通れません。内容は技術には深く突っ込んではいないものの、表紙から想像できないほどハードです。これまでなんどもブームに踊らされてきた人工知能研究者のAIに対する愛のようなものを感じました。

  •  人工知能や機械学習の著書を読むと、だいたい本書が参考図書として登場する。確かに、わかりやすかったし、要点がよくまとまっていると感じた。


    ・私の考えでは、特徴量を生成していく段階で試行する必要があり、その中で自分自身の状態を再帰的に認識すること、つまり自分が考えているということを自分でわかっているという「入れ子構造」が無限に続くこと、その際、それを「意識」と呼んでもいいような状態が出現するのではないかと思う。

    ・私の解釈でざっくり言うと、「人間がきちんと考えて知識を記述していくためにどうしたらよいか」を考えるのが「ヘビーウェイト・オントロジー」派と呼ばれる立場であり、「コンピュータにデータを読み込ませて自動で概念間の関係性を見つけよう」というのが「ライトウェイト・オントロジー」派である。

    ・ライトウェイト・オントロジーのひとつの究極の形ともいえるのが、IBMが開発した人工知能「ワトソン」である。

    ・シマウマというシンボル(記号)と、それを意味するものがグラウンドして(結び付いて)いないことが問題なのだ。これをシンボルグラウンディング問題という。

    ・そもそも学習とは何か。どうなれば学習といえるのか。学習の根幹をなすのは、「分ける」という処理である。ある事象について判断する。それが何かを認識する。うまく「分ける」ことができれば、ものごとを理解することもできるし、判断して行動することもできる。「分ける」作業は、すなわち「イエスかノーで答える問題」である。

    ・特徴量をどうつくるかが機械学習における本質的な問題
     人間は特徴量をつかむことに長けている。何か同じ対象を見ていると、自然にそこに内在する特徴に気づき、より簡単に理解することができる。

    ・いままで人口知能が実現しなかったのは、「世界からどの特徴に注目して情報を取り出すべきか」に関して、人間の手を借りなければならなかったからだ。

    ・これまで人工知能がさまざまな問題に直面していたのは、概念(シニフィエ)を自ら獲得することができなかったからだ。

    ・私は、ディープラーニングを「人工知能研究における50年来のブレークスルー」と言っている。もう少し正確を期すなら、…人工知能の主要な成果はほとんど人工知能の黎明期、すなわち1956年からの最初の10年ないしは20年の間にできている。その後いくつかの大きな発明はあったものの、どちらかといえば、「マイナーチェンジ」であった。
     しかし、ディープラーニングに代表される「特徴表現学習」は、黎明期の革新的な発明・発見に匹敵するような大発明だ。特徴表現をコンピュータが自らつくり出すことは、それくらい大きな飛躍なのである。


    ・私の意見では、人工知能が人類を征服したり、人工知能をつくり出したりという可能性は、現時点ではない。夢物語である。いまディープラーニングで起こりつつあることは、「世界の特徴量を見つけ特徴表現を学習する」ことであり、これ自体は予測能力をあげる上できわめて重要である。ところが、このことと、人工知能が自らの意思を持ったり、人工知能を設計し直したりすることとは、天と地ほど距離が離れている。
     その理由を簡単に言うと、「人間=知能+生命」であるからだ。

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著者プロフィール

1953 年、新潟県五泉市生まれ。1978 年東京教育大学教育学部芸術学科(彫塑専攻)卒。1989 年、毎日新聞社主催・毎日郷土提言賞富山県優秀賞受賞。
著書に『新潟街角の芸術̶̶野外彫刻の散歩道』(新潟日報事業社,1987)、『富山の野外彫刻』(桂書房,1991)

「2015年 『パブリックアートの展開と到達点』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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