文体練習 [Kindle]

  • 朝日出版社
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感想・レビュー・書評

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  • たった一つの他愛もない文章が、99 種類の文体で表現されている。「よくこれを翻訳できたな」と単純に驚かされる。読書中はその修辞技法に感心させられたり、過剰で支離滅裂な表現に笑わせられたり、困惑させられたりと、不思議な感覚に陥る。訳者あとがきによれば、著者はシュルレアリスム運動にも参加していたとあり、なるほどと思った。「文体大喜利」として読んでも楽しい。
    個人的なお気に入りは、原型をとどめないほどに捏ねくり回してネタ切れかと思い始めた中盤に突如出現する「66. 短歌」。潔すぎる。原著はどうなってるんだろう。

  • たった8行の何気ない文章を
    99種類の書き方で表現する。
    ただそれだけの実験的な考察。
    広告にも展開可能な発想です。
    無理やり感のある文章もあるけれど
    これを翻訳できたことが奇跡なのかもしれない。
    翻訳者の方にも☆を!

  • 「S系統のバスの中、混雑する時間、ソフト帽をかぶった26歳ぐらいの男・・・」という、どうということのない8行ほどの文章が、100通りに書き分けられていく。最初はなるほどと思いながら読み進めていくうち、どんどん無理やり度が増していって、途中、飛躍しすぎて思わず笑ってしまったりするが、それを通り越すと意味がわからなくなり、やがて文字の羅列となり、とても不思議な感覚を味わえる。

    後半1/4ほどが訳者あとがきに充てられていて、翻訳の意図や工夫点、悪戦苦闘の経過が書かれているが、こちらのほうがまた面白い。翻訳と言えるのか?という逡巡を抱え悪戦苦闘しながらも実に楽しそうで、フランス語を通じて日本語の豊かさを実感したという感想に共感した。

  • 文を書くことに悩んだときに出会った本。
    何気ない日常の1シーンを、主観的、厳密、コメディー、いんちき関西弁など99のバリエーションで表現する珍しい切り口。わけのわからない表現もあるのは確かだが、言葉の味付け方法、これまで意識してこなかった表現の体系など、文章表現の奥深さを実感できる不思議な中毒性を持っている。

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著者プロフィール

一九〇三年ル・アーヴル生まれ。パリ大学で哲学を学び、シュルレアリスム運動に参加。離脱後、三三年に「ヌーヴォ・ロマン」の先駆的作品となる処女作『はまむぎ』を刊行。五九年に『地下鉄のザジ』がベストセラーとなり、翌年、映画化され世界的に注目を集める。その後も六〇年に発足した潜在的文学工房「ウリポ」に参加するなど新たな文学表現の探究を続けた。その他の小説に『きびしい冬』『わが友ピエロ』『文体練習』『聖グラングラン祭』など、詩集に『百兆の詩篇』などがある。一九七六年没。

「2021年 『地下鉄のザジ 新版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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