投資は「きれいごと」で成功する [Kindle]

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  • ダイヤモンド社
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感想・レビュー・書評

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  • どこまでも謙虚に、誰よりも強く想い、日々の小さな努力を積み重ねる

    私が楽観主義者であるとか、否定されればされるほど燃えるとか、そういうわけでありません。私だって否定されれば落ち込むし、罵られれば泣きたくなることもあります。

    どうして毎日売ったり買ったりするんですか?長期的に投資すれば利益が出ると言っているのに。

    私は投資や金融が本来持っている力を果たして正しく使えているのだろうか?社会への不信、そして自分への不信が私を蝕んでいました。

    転機となったのは一冊の本との出会いでした。坂本光司先生の「日本で一番大切にしたい会社」。何気なく手に取ったその本に書かれていたのは、社員の7割が障害者という日本理化学工業や社員を大切にする経営で48年間増収増益を続けた伊那食品工業といったいい会社の数々でした。それまでに抱いていた、経営とは利益を求めること、といった常識が次々と崩れ、とにかく驚きの連続だったのを今もありありと覚えています。

    投資には彼らのような会社を伝える力がある、金融はお金を通して彼らをつなぐ役割を果たすことができるはずだ、この想いを突き詰めた結果、投資はまごころという理念にたどり着きました。

    いい会社に投資するという考えの方が金銭的な投資の果実も大きくなるのです。

    これまで会社がいいことをしようとするとそのぶん儲けが減りました。会社は社会的な生き物にもかかわらず、社会に尽くすと逆の現象が生まれる、少し難しく言うと社会性と経済性には逆(負)の相関関係がありました。

    でも時代は変わりました。社会性を追求するとお客様からの信頼が生まれ、結果として儲かる時代になったのです。会社が提供する商品やサービスだけではなく、その姿勢や思想まで知りたいと思うお客様が増えているとも言えます。だから、社会性と経済性は今、徐々に両立し始めています。

    return =資産の形成✕社会の形成✕心の形成=幸せ

    人生は登った階段の数で決まる。目の前の階段を登り続けるしかない。登った数で自分の人生は豊かになると考えていました。

    結局、どんな優秀な人間でも、どんな運用会社でも完全な予測をすることはできません。むしろできないことをできないと言えることがプロなのではと思うようになったのです。

    経済学と経営学は対極にあるものだと考え始めました。極端な例ですが、掃除をしているうちに人が集まり、愛される会社になる。そしてそれが雇用や利益を生む。この流れをロジカルには説明することは難しいのですがどう考えても非合理的な彼らの活動からは正のスパイラルその中には金銭的な利益もが生まれているのです。

    マーケットとは逆のことをするのが投資です。特に資産の形成のためには、下がっている時に買い、上がっている時に売るのが最も儲かるのです。このために必要なのは信頼です。

    私は投資先の倒産は真のリスクではないと考えます。むしろ社会からいい会社がなくなることの方が真のリスクなのです。

    経営効率が悪く、利益率も低い、そんな会社は投資しても甘みが少ないため、投資家やファンドが見つからなくて困っています。日本にはそうした中小企業の方が圧倒的に多いにもかかわらずです。

    お金が大企業に集中するということは中小企業には回りづらくなることを意味します。ましては儲かりづらいソーシャルベンチャー(社会的課題を解決することを目指して立ち上げたベンチャー)にはもっと渡らなくなるでしょう。これでは良い社会が生まれるまでに時間がかかってしまいます。

    小さいことはリスクではない社会性のある事業をしていれば社会における存在価値は十分にあるのです。

    リスクを超えるのは投資先への思いであり、まごころです。そして、金融はまごころの循環です。まごころが無ければ疑いを産みますが、まごころがあれば共感が生まれるまごころがあって初めて人はリスクを越えられるのだと思います。

    安い時に買い、高い時に売る。運用の世界で利益を出すには、この方法しかありません。しかし、この言葉ほど誤解されているものもこの世にあまりないでしょう。

    リーマンショックで破綻したのは見えない関係性を前提とした金融だったのです。どれほど信頼できるものさしであっても、一度揺らげば襲ってくるのは不安だけです。

    たとえ下がっても、その銘柄を信じて待ち続ける覚悟があるから儲かるのです。

    人は目に見える関係しか信じられません。複雑な数式モデルではなく、信頼こそが安く買う投資の真髄なのです。

    このような経験から私は投資先を主観で選び始めました。すると一つ面白いことがわかりました。人は客観性が強くなればなるほど冷めるということです。

    投資は科学ではなく投資はまごころ。大切なのは投資先や投資家の温度ですが、それを高めるのに必要なのは主観だった。

    私は自分の資産を公開しています。アメリカではファンドマネージャーの資産公開が義務付けられています。でも日本では開示が義務付けられていません。だから私の声は日本では極めて非常識的です。

    人材の多様性
    感動サービス
    現場主義
    市場創造
    地域を大切に
    技術力
    only one
    経営理念
    グローバルニッチ
    モチベーション
    製販一貫体制
    社員を大切に
    変化し続ける力
    循環型社会創造

    逃げない(逃げられない)ことが新たな成長戦略を生み出したのです。

    いい会社は、本業を拡大解釈できます。従来日本には三方よしという発想がありました。顧客よし、社会よし、企業よし三者が良い関係になれば経営もうまくいくという考えです。

    本業を広く捉えると応援される会社になります。地域に感謝し、住民に感謝し、社会と自然に貢献する。平和な国にも感謝する。そんな会社に人は共感します。

    CSV 共通価値の創造
    全てのステークホルダーとの共通価値を見出せる会社かどうか

    いい会社にはずるいビジネスモデルがあります。どうやったら事業がうまく回るかを考え、その結果として多くの経営者はずる賢いやり方を考えます。誰でもできそうなんだけど、誰もしていないというような、ほんの些細な取り組みや工夫がビジネスモデルを強固なものにしている。まさに感覚的に、そして思わずずるいですねと言ってしまうビジネスモデルを指して、ずるいと言っています。

    ベンチャーこそずるさが必要
    ベンチャービジネスが生き残れるのもずるいビジネスモデルがあってこそ。なぜなら大手が踏み込めない領域で、誰もやったことがないやりたがらないことをするためには、相当な工夫が欠かせないからです。ベンチャーって言えば思いの強さや社会への貢献度ばかりが取り沙汰されますが、熱い思いと同じくらいズルさがないと生き残れません。

    ビジネスとして成立させることで社会的社会に良いものが残る仕組みを構築し、社会を大規模に巻き込んでいく。そのために必要なものこそずるいビジネスモデルなのです。

    金融というものが手で触られないものであるからこそ、あえて手触りのようなものを感じてもらえたら、そして、自身もそれを感じたい。そう思った結果、誰も真似できない仕組みができたのだと思っています。

    企業は使う人である経営者のセンスが問われる器なのです。だから私たちは、社会性と経済性の両方持つ企業こそが、これからの日本を支える企業だと考えを応援しています。

    投資先には、うちはめんどくさいがいいですか?と聞きます。なぜこんな面倒な関係を築こうとするのか。理由は一つ、これが金融本来の姿だからです。

    意思あるお金は社会を変えます。
    ご縁があれば繋がると考えます。
    つながりはソーシャル活動の原点でありそして投資先にとっての程よい緊張感にもなるのです。

    与信
    取引先に対する信用を供与するという金融機関で最も重要な業務をこなしているかのようです。

    金融の役割は社会の管理人、それも善良なる管理人であるべきだと考えています。

    私たちの事業の本質はお金を増やすことではなく、つながりを通じて、幸せを増やすことにあるのです。

    こんな幼稚な株式市場にこの大切な会社を上場させるわけにはいかない。(リストラなしの年輪経営)

    経済に投資するのではなく経営に投資する
    投資先と苦楽を共にする
    いい会社をふやしましょう

  • 「投資はまごころ」が「投資は科学」を上回る可能性を感じた。

  • 一社一社が社会に貢献している企業か?100年後の子供達にとって必要な企業か?をファンドマネージャーの新井さんが真剣に考えて、投資判断されていることに非常に好感を持ちました。「信頼」がキーワードでした。

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