鍵 [DVD]

監督 : 市川 崑 
出演 : 中村鴈治郎(二代目)  京 マチ子  叶 順子  仲代達矢 
  • KADOKAWA / 角川書店
2.88
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本棚登録 : 39
感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4988111290632

感想・レビュー・書評

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  • 再見です
    ラストが分かっているせいか、初見ほどのインパクトは減りました。再見して、初回は衝撃的な妻の方にばかり気を取られ、娘の敏子の心情を観察できていなかった事に気付きました。妻と実子である娘とのパチパチ感が火花のように凄まじい! ラストでお母さんを殺そうと母のティーカップにだけ毒を盛る件(くだり)が記憶に残っていなかった! 映画のラストは監督が考えたもので谷崎の原作にはないようです。原作の方は、剣持の死後、形ばかりの夫婦となる木村と敏子の元で郁子も木村との関係を続けていくのだろうかという日記で終わっているようです。(原作は日記形式で書かれてる)
    背景となる日本の情景が暗く彩られ、セリフの言い回しも何となく不自然でホラー感とサスペンス感を強調してあるように思われます。剣持の滑稽な並外れたエロっぽさに老いていく寂寥を感じました。京まちこ演じる郁子がびっこを引く猫を汚らしく扱うシーンはぐさりと胸を抉られます。母娘でありながら女として張り合うような心情も人の胸の裡に隠蔽された生々しさを抉り出してあるのでしょう。親子の情愛を一辺倒に美しく描いてない点は買います。上流階級を(内実はそうでもない)傍らで観聞きしているお手伝いのはなが、真っ当に描かれますが、果たして原作にも登場しているのだろうか?
    このラストを加えたことで、成功しているように感じました。

  • 原作1956年刊行。1959年公開。◇若い妻を娘の婚約者に寝取らせようと画策する初老の男。それと知りつつ背徳の関係に耽溺していく女、年上女の色香に魅惑されつつも、資金援助を期待し母娘間を泳ぐ若手医師。とまあ一癖二癖あるキャラと彼らの歪さに圧倒される。市川監督の芝居の付け方(50年代特有かも)は?だが、それを置いても魅了される逸品。また、寝取られ性癖や属性は現代特有でないことを本作が物語っている。◇それにしても、京マチ子という女優さんの凄味は筆舌に尽くしがたい。エロと魔性にエグ味を兼備する人を私は知らない。

  • 市川崑監督、同•長谷部慶治•和田夏十脚本、谷崎潤一郎原作、1959年作。京マチ子 叶順子 仲代達矢 中村鴈治郎 北林谷栄出演。

    <コメント>
    •前半は雰囲気だけは淫靡な映画、終盤、一気に殺人サスペンスに変わる。
    •したがって、何を言いたいのかわからない映画。敏子や はな がなぜ人殺しをしようと決めたのか。殺すほどのことか。話が繋がらないのである。
    •裸のシーンをすべて隠しているのも不自然。
    •退屈すぎて、後半は次に見る映画のことを考えて見ていた。

    <あらすじ(ネタバレ)>
    剣持(中村)は病院のインターンの木村(仲代)を娘の敏子(叶)の婿にしたい。しかし木村は敏子とも妻の郁子(京)とも関係をもっており、剣持はそれを知って性的興奮を感じていた。
    剣持を嫌っていた郁子は、剣持が倒れると木村を呼び抱き合う。敏子は郁子を殺そうと紅茶に農薬を入れたつもりが、それは女中のはな(北林)が磨き粉と中身を入れ替えていたたま失敗、はなはふしだらな3人を殺そうと、サラダに本当の農薬を入れて殺す。はなは警察に自供するが相手にされずに終わる。

  • 谷崎潤一郎の欲望を映像化させた、いやらしいけど見せないエロ。
    変態夫婦のメロドラマかと思いつつも、ラスト30分くらいから一気にサスペンスに変貌を遂げる。

    上品なように見えてえげつない、張りぼての家に住む張りぼての家族。
    皆の思惑はそれぞれ心の奥底の見えないところに鍵がかけられて、死ぬまで開けることはできない。
    もしも、あの世というものがないのなら、登場人物みんなのえげつない心の鍵は開けられることなく、皆幸せに終わるけど知ったら最後、再び人現に生まれ変わるのすら怖くなると思う。
    肉欲も、名誉欲も、金欲もだれかを騙したり貶めるために生まれたものなら悲劇が起こるのかもしれない。

    ちなみに確かに色っぽいのかもしれないが、郁子役である京マチ子がお風呂でも、寝てる時もはみ出したアイラインのはっきりメイクの不自然さにはラストまで慣れることが出来ず恐怖でしかなかったし、ハナ役の北林谷栄の得体の知れない老婆感が後半になるにつれて不気味さが高まって怖い市川崑ワールド。

    ダークファンタジーなのかブラックコメディなのか色んな要素が混じりあった仕上がりは上記のヴィジュアルイメージも含めてそれなりに楽しめた。

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