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感想・レビュー・書評
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東京生まれ東京育ち、父親の郷里長岡に疎開経験のある著者が語る幕末史。「それからの海舟」「幕末史」に続く、「反薩長史観」もの第三弾。
戊辰戦争の薩長軍のことを決して官軍とは認めず、西軍と呼ぶ。「自作自演の御旗を掲げて、何が官軍か、と言いたいですね。」というか著者の拘り、面白いし頷ける。そんな著者の手引きで、幕末史をお復習することができた。
「福沢は「勝は航海中ずっと船酔いで使いものにならなかった」という旨をのちに語ったりして、それが事実のように受けとられていますが、これはただの中傷です。勝は長崎海軍伝習所時代、嵐を乗り切って船を天草の港へ無事に避難させたりした経験もあり、船酔いしたとは考えにくいのです」、「勝が航海のはじめの頃、船室にこもりきりだったのは事実で、その理由は、出航前に風邪を引いて体調を崩したことと、幕府の命令に得心できず、一種のストライキを起こしていたからでした」←なるほど、福沢諭吉には狭量なところがあるみたいだし、単なる誹謗中傷と考えれば、勝海舟の情けない一面も払拭できるんだな。
本書で著者は、幕末史について、「この時代の最大の政治的変革は何か、それは人材の登用であった。そこが大事だと思うのです。 門閥制度から脱却して、実力主義、実績主義でどんどんこれはという人物を起用した。これをいちばん主張したのが横井小楠であり、勝海舟ではなかったかと思います。極論をすれば、組織の論理ではなく、すぐれた人材を登用すれば歴史は変わる、ということであったわけです」と総括している。
有意な人材を広く求めて登用し難局に当たる、ということが出来なかったのが戦前の軍部。官僚制が硬直すると柔軟性・ダイナミズムが失われてしまうことは、歴史が繰り返し証明していることでもあるし。幕末史から学べることは多いな。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
近代史観を変える気づきがあった
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日本が大きく変わる転換期「幕末」に何が起きたのかを、歴史探偵・半藤一利が語った本。
反薩長史観の視点から幕末期の日本と活躍した歴史人物について書かれています。