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感想・レビュー・書評
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著者はLINE株式会社の社長を務めた経歴。
「これはLINEみたいな新しくて若い組織しか通用しないかな~」との感想もありつつ、組織の理想型・あり姿を真正面から語る内容で面白くはありました。
自分は今、会社の経営企画的なタスクをしているので、その違いがとっても鮮明。どっちが正しいかは、時代や環境にも拠ると思います。
いずれにせよ、新しい視点を与えれてくれる本でした。
以下印象に残ったフレーズ集~。
・この世界は求める者と与える者のエコシステム。ビジネスとは、シンプルに「ユーザーが本当に求めているものを提供し続けること」。
・そのために会社・トップがやることは、高い技術と情熱を持つ社員がのびのびと能力を発揮できる環境を整える。そして彼らを徹底的にエンパワメントすること。
・未来が不確実だからこそ不安であり可能性は無限大にある。(⇒と考えられるといいねと)
・新しいプロダクトを生み出すクリエイティブな仕事と、成功したプロダクトを磨き上げるオペレーションの仕事を切り分けた方が良い。誰でも自分が生み出した成功には愛着がある、他人に渡すのが悔しい。でも、成功を捨て続け、新たな価値の創造に向かってもらう。(⇒三枝さんとか、全く逆の組織論も聞いた事がある。開発と販売は分離せず、一気通貫にやった方が良いと)
・率直に本音をオブラートに包むことなくモノを言う方が良い。意思疎通に齟齬が生まれない。誤解や勘違いにより後で仕事をやり直すムダもなくなる。相手の真意を探り合う手間ストレスも無くなる。ユーザーに喜んでもらものを作りたい、相手に成長してほしい、との真摯な思いがあれば大丈夫。一方そのような信頼関係の無い会社で率直にモノを言う文化を推進するのは危険。自分の正しさを守るために働く者同士が潰し合いを始めるから。(⇒オーノー!うちの会社では率直にモノを言うとバカを見る懸念を感じてしまうな、正直。そういった場合は危険、やめた方がいいと著者も言っている)
・人事評価はシンプルに360°評価のみ。複雑なシステムにしても、膨大な手間、時間かかり、評判が悪い。また複雑な人事制度ほど、「攻略」(良い評価をされるための)の方法が増える。フィードバックされた本人にも多角的な観点が有り過ぎて、評価されているのか/されていないのか、分かりにくい。
・戦略とは絞ること。(⇒これは三枝さんと同じだ。やっぱ戦略とは焦点を絞ることであり、総花的な方向に行かない方が良いみたい)
・ビジョンも計画もいらない。変化への対応を邪魔する。(⇒あ、新しい考え!変化が激しく速いIT業界との事情はあるかも。うちの会社は計画を大切にしている。)
・実行者と計画者は一緒の方が良い。事務方は要らない。(⇒新規事業開発とそのオペレーションは切り分けた方が良いが、こちらは一緒の方が良いと)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
シンプルに考える
著:森川亮
大切なのは「考える」こと。人が悩むのは、「表面的な価値」に惑わされているからである。だから、「何が本質か?」を考え尽くさなければならない。そして、最も大切なことを探り当てて、それ以外のものは捨て去る。シンプルに考えなければ、人は何も成し遂げることができない。
本書の構成は以下の6章から成る。
①ビジネスは「戦い」ではない
②自分の「感性」で生きる
③「成功」は捨て続ける
④「偉い人」はいらない
⑤余計なことは全部やめる
⑥イノベーションは目指さない
「シンプルに考える」シンプルだが非常に難しい。難しいことを簡単に説明する。入り組んだ要素を研ぎ澄ませ、光る本質を見つけ、それをわかりやすい言葉に落とし込み行動を促す。
ごてごての足し算ではなく、引いた末の原石。
シンプルに考えそれをリーダーとして提示するのは怖い。あれもこれもという方が、一見モレ・ヌケは少ないように見えるかもしれないが、ダブりやムダが多く、多くの資源が分散してしまう。
突き抜けて成功する企業を導くのは、著者のようなシンプルに表現しマネジメントする人なのかもしれない。環境や時代に合わせ、考えてシンプルな指針で共に歩みたい。 -
上司からの評価も、所属するチームのミッションも、競合の製品も無視して、シンプルに「ユーザーが求めているいいものを作る」そのことに集中する。
「ユーザーが求めているいいものを作る」ことが可能な環境を作る。
それがいかに重要かを考えされてくれる一冊。
「いいもの」をつくる為には、いちばんやってはいけないのは調整。
ずば抜けた結果を出すためには空気を読んではいけない。
成功を捨てて常に新しい価値を生み出すことに挑戦し続ける。
新規事業部でなくとも新規事業を生み出す声をあげて行動する。
クッション言葉は使わずにシンプルにものを言う。
評価等なくとも自分で気づいて成長する為の行動をする。
会社に教育を求めない。
後輩のモチベーションをわざわざ上げない。
「仕組み化」に捉われず、創造性は属人的なものだということを自覚する。
会議を増やそうとする人を除外する。
時間を作って情報共有することはやめる。
ユーザーが求めている目の前のニーズのみに注力する。
全ては、その行動は「ユーザーが求めているいいもの」を作ることに繋がるのかを軸に判断する。 -
こんまり師匠が読んでいたので、気になって。
シンプルかつ真理な良書。
成功し、尊敬する人は、やはり同じことを言っている。 -
自分のために働いてしまっていないか。グッときました。
「差別化してはいけない」という話は面白かったです。
普段、余計なことを考えすぎだなぁと反省。 -
著者は1967年生まれ、2000年にソニー入社、2003年にNHN株式会社に転職している。
新しいことをやるために、その本質を追求するために、それまでのステータスを捨ててチャレンジする姿勢はリスペクトすることができた。 -
森川さんのLINE時代の組織論を中心とした本。ティール型組織とかとはまたちょっと異なっていて、最適なスピード感のでるチームをいくつも形成していて、その集合体として企業体があるイメージと感じた。徹底的なカスタマーファーストでのスピード重視!
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「エッセンシャル思考」を読んでから気になったので読んでみた。
内容は「エッセンシャル思考」とはあまり関わりはないけど、まさにエッセンシャル思考を実践している経営者だと思った。
「ユーザーに価値を届ける」という軸から、「え?」と思うような話題についての考えをひたすら重ねていく内容。
「そんな考え方もあるのか」と視野を広げさせてくれる内容だった。 -
LINEに勤務していたが、改めて森川さんの考えはおもしろいと思う
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気になるセンテンス
028 ビジネスとは、求める人と与える人のエコシステム(生態系)
大切なのは、人々が求める能力を感じ取る能力と、それを具体的なカタチにする技術を磨き続けること
ビジネスをこれ以上にシンプルに表現するものは確かにないのですが、そこで大切なことである能力、技術をどうやるかでみなどんどん複雑に、より難しく考えてしまうのですね。
032 ビジネスの本質は音楽に近い
このひとにとってはそうだったのでしょう。結局ビジネスとはそのひとに一番いい影響を与えたものに置き換えられる存在となるというのが大切なのですね。それは結果の形としては、ビジネスがあるから「音楽に向かえる」とか、ビジネスやっていれば「音楽は我慢できる」とか、それぞれに置き換えるといってもパターンがあるような気がします。
037 経営とは管理であるという「固定観念」を捨てる
いまとなってこれは全くその通りだと思います。振り返ってみるとそれを実感するために最初の転職をしたのだと思いますし、それでもまだ甘々だと思ったからこそ、管理マンとしてはより厳しい世界へ進んだのだと思っています。
045 ほんとうに優秀な人が求めているのは、お金でもなければ「地位」でもなく、業界トップの「すごい人」と一緒に働くことだからです。
贅沢な時代にほんとうになりましたね。しかし、こういう人たちの数は今後も増えていけるのか、日本。アジア諸国の急速な発展をみるに日本人のこの贅沢がいつまで続くのか、と別の意味で不安に思っています。
059 「幸せ」とは誰かに認められたいと願っている。
ここまではまったく同意ですが、それが何を通じてなのか、によって仕事への打ち込み方が変わってきてしまうのも事実だと思います。上記の「音楽」で絡めるならば、別に仕事はあるけれど、趣味なのかセミプロなのか、プロなのかというレベルの友人もいて、彼の幸せはそこにあったりします。
079 確信が持てるまで考え抜く
これが上に立つものとそうでないものとの大きな違いなのではないですかね。いまはネットなどで、いくらでも悪魔の「簡単解」が出てきますからね。しかもありきたりで面白さのない解が。
091 重要なのは、クリエイティブな能力を発揮してヒット商品を生み出した後は、オペレーション部分に引き継いでもらうということ(成功を捨て続ける)
この感覚はまさにこのiT業界にきて学んでいることですが、難しいけれど大事なことなのですね。「新しい価値」を生み出すとは、まさにそういうことなのですね。
122 意思決定はできるだけ現場で行った方がいい
軍隊での昨今の統制を引き合いにだしていますが、おそらく第二次大戦のときももう少し、現場に指揮権をあたえていれば犠牲はすくなかったのかも、というのは戦争映画でのうろ覚えですが感じますね。 いま議論している憲法9条議論なんて、まさに現場の自衛官がどう思っているのでしょう。
135 ビジョンを求めてしまうと将来への危機感が失われる
つねに将来への不安を思うときのもやもやはこれだったのだと、言葉にされると明快ですね。この著者はやはりすごいと思います。
162 会議を増やす人を排除する
かなり思い切った提言ですが、会議も組織もすくなければすくないに越したことはないと私も思います。それをいじっただけで成功、責任を逃れたひとを私の経験からもたくさんみてきています。
175 ベンチマークをした商品のなかで、ユーザーにとって最も重要な価値にフォーカスすし、それをとことん磨き上げる。そしてはじめて真の差別化をうむ
まさにこれですね、だからこそいちばんうちの昇進の重要な価値を売ってきた人間にさらに悩んで、苦しんでもらって、真の差別化を考えてもらいたいのです。 いまの商品をとにかく売りまくりましょう。
191 ユーザーは「本当の答えを教えてくれない」のだから、深く掘り下げて「本当に求めているものは何か」を自分の頭で考え抜くこと
この視点、やはり軽く表面的ではありませんか。 考え抜く、やってみるべきですね。かんがえてみれば前の会社の代表もこればかりを考えていたような気がします、最初は証券のネット取引に関して。