森が消えれば海も死ぬ 第2版 陸と海を結ぶ生態学 (ブルーバックス) [Kindle]

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  • 豊かな海を取り戻す鍵は「鉄」だという。酸素があると海中で鉄はイオンとして存在できない。腐植土から供給されるフルボ酸鉄があって初めて、植物プランクトンは窒素やリンといたった栄養素を取り込むことができる。これを解き明かしたのが筆者。こうして、森をはぐくむことが海の恵みをもたらすと科学的に解明された。

    森や湿地、干潟が豊かな海と分かちがたい関係にあることが示されている。大規模な干潟なら10万人ぐらいの下水を浄化できるという。湿地や干潟を埋め立てて下水処理場を別途作るというのは、処理場がないよりマシとはいえ、だいぶ遠回りをしていることになる(100万人とかになると干潟ではとうてい浄化できないのでやむを得ない面もあるが)。

    干潟や湿地は今でも容易に失われるので、本書の知見が広まってほしいので☆は5こにした。

    しかし、「コンクリートから人へ」と簡単に言われると、土木の技術者はいかにコンクリートを人のために使うかを考えているので、手放しでは肯定できない。河川の近自然工法も土木の知見がないと実現は難しい。

    温暖化問題も、CO2が大気中にあるものより海中に溶け込んでいる量が10倍もあるということが書かれている。海が大量のCO2を吸収してなお、大気中の濃度が増えている。怖いのは海が限界点を超えることだ。そして、気体が水に溶ける量は温度が高いほど減っていくから、温暖化は海のキャパシティを減らす方向に作用する。要するにCO2の濃度上昇による気候変動はあるとき破局的に訪れる恐れがある。

    環境問題は他人事ではなく、誰もが、今すぐ何かをしないといけない。

  • 漁業復興のための植林活動の契機となった本だが、主張は単純でアジテーション的。この結論に至るまでの研究は大変だったのだろうと推察するが、読んで面白くはなかった。正しいことだとは思う。

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