- Amazon.co.jp ・電子書籍 (393ページ)
感想・レビュー・書評
-
さすが雑誌記者、筆者の取材、そして実際に勝新と懇意であった経験談も交えた語り口による評伝であり、大変面白い。晩年限定とはいえ、かなり勝新の人となりに迫ったのではないか。
いずれにしても勝新は、笑って済まされないレベルで人に迷惑をかけ続けた人だったんだなあと。他書では勝新相手となると受け入れてしまう、許してしまう、仕方ない、でも大好き、そんな文脈ばかりだが、この人は本当に迷惑。昭和のスーパースターはそんなものとはいえ、人の人生を変えすぎ。
自分は1ファンなので、別に迷惑は被っていないし、好きか嫌いかで言えば当然大好きだが。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
まずタイトルが良い。
「偶然完全」というのは勝の造語で、偶然の出会いから完全な関係性が生まれる、それは人間関係のことだけではなく、芝居に対してもそうである由。
東映の同期であり梨園に出自を持つ市川雷蔵が、しっかりと台本を読み込み「てにをは」まで忠実に守るのに対し、勝は即興性を重視し、あくまでも自然であることにこだわる。
それは海の向こうで勝と同世代であるヌーヴェルヴァーグの映画監督たちと同じような感覚を覚えるが、勝の複雑さは、憧れも含めた欧州的な芸術指向を持ちながら米国的な大衆のスターでもあったところだろう。勅使河原宏への接近と黒澤明との確執も、そのような二面性を感じさせる。
勝プロダクションの倒産や薬物騒動など、ワイドショー的な話題の詳細も描かれているし、放送当時「なにを言っているのかわからない」と苦情が殺到したというテレビドラマ「警視-K」についても紙面は割かれている。
ちなみに「警視庁-K」、YouTubeですこし見たが、本当になにを言っているのかわからない。 -
大麻をパンツに隠して捕まり、もうパンツは履かないとおどけた会見を憶えているが、座頭市や影武者の降板以外はあまり知らなかった。
もっと映画を撮れたとしたら、どんな作品が残ったのだろうか?
イタズラを仕掛けてどんな顔をするかを観察するのが好きだった勝さんとっては、その人生そのものが作品だったと言えなくもない。 -
「悪名」からファンになった。あの演技力は何処からくるのか?それを知りたくて本書を読んでさらに好きになり、人を楽しませる術がかなり参考になった。
#勝新太郎 #悪名 #銀幕スター #映画 #大映