女には向かない職業 女探偵コーデリア・グレイ (ハヤカワ・ミステリ文庫) [Kindle]

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  • P.D.ジェイムズは、イギリスの女流作家。1920年生まれで2014年11月に亡くなられているので、長生きをされた作家だ。彼女の書いた小説も、ミステリー・ハードボイルドに分類される。有名なのは、ダルグリッシュ警部のシリーズ、そして、この「女には向かない職業」の主人公である、コーデリア・グレイのシリーズ(といっても2作品だけのようであるが)だ。
    コーデリア・グレイは女性探偵だ。女性探偵が主人公になるシリーズは、いくつか思い出される。「アリバイのA」からアルファベットを含む題名が続く、スー・グラフトンが書く、女性探偵キンジー・ミルホーンが主人公のシリーズ。サラ・パレツキー描く、ウォーショースキーを主人公とするシリーズ。日本でも、桐野夏生が、村野ミロを主人公とするシリーズを書いていた。その中では、私はこのコーデリア・グレイが一番好きだった。ミロは置いておいて、スー・グラフトン、サラ・パレツキーは、アメリカの女性作家だ。彼女たちが描く、女性探偵たちは、男に負けまい、男に馬鹿にされまいと肩肘を張っているし、事がうまくいかない時には、自己憐憫にひたるようなところがあった。私はどちらのシリーズも、愛読者であったが、時々、両女性主人公に感情移入できない場面もあった。それに比べると、コーデリア・グレイは、マイルドで癖のない人物設定で、好感も持てた。
    しかし、それにしても、「女には向かない職業」は、1972年の作品であり、書かれてから50年が経過している。イギリスで、マーガレット・サッチャーが、初の女性首相に就任したのは、1979年のことである。イギリスの首相も、それまでは、「女には向かない職業」であったのだが、サッチャーはそれを変えた。50年の間には、探偵も「女には向かない職業」ではなくなっているかもしれない。

  • タイトルに惹かれて手に取ったのは何十年前のことだろう。
    残念ながら内容は全くおぼえてない。

  • PDジェィムスの代表傑作、派手などんでん返しはないが、主人公の新米女性探偵家コーデリアと元刑事の先輩パートナーの関係をリア王に準え、終盤物語は緊張感のある展開をする。描写の細やかさに慣れれば、一気に読み進める英国版本格的サスペンス。

  • 突如相方を失った新米探偵のコーデリアに依頼が舞い込む。自殺した息子マークの死の理由を探ってくれとの父親からの依頼だった。マークは大学を急に退学し庭師として働いていたが、住込んでいたコテージで首を吊って死んだのだった。マークの父親も友人も勤め先の住人も怪しげで、話を聞いても真実を言ってるのか分からない。年若でも普通ではない育ち方をしてきたコーデリアは、冷静に真摯に仕事に取組む。失った相方の元上司ダルグリッシュ警視を思いながら。
    マークの死が殺人であることは想像がついたが、犯人のあまりの冷酷さにドン引きする。コーデリアとダルグリッシュの最後の会話に救われた思いがした。

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