神なるオオカミ 上 [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 素晴らしい小説。
    生態系小説とでもいうべきなのだろうか。中国の現代小説ってスケール感が広大かつ独特で好きなのだけど、それがこういう形も取りうるとは。超絶リアリリティ小説なのにまるでマジック・リアリズムみたいになっている。

    ただ、末尾の狼性と羊性の民族論みたいなのは余分だな。
    小説中で登場人物に語らせておく分には「なるほどねえ」って感じで読んでたけど、正面切って論じられると、論としての粗のほうが強く出てしまう。
    そして意地悪になってしまう。「漢民族の羊性とか、狼ではなくて犬だというのならば、文化大革命と毛沢東という、この小説の舞台そのものについては、その概念で考察しないかよ、陳陳さんよ。当時は無理かもしれないけど2003年なら、それを考えなければ嘘ではないのか?」と突っ込みたくなる。

    でも、そのツッコミ分のマイナスを換算しても、傑出したとても良い小説。良いものを読みました。

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