人類進化の700万年 書き換えられる「ヒトの起源」 (講談社現代新書) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 『「キリンの首は高い所にある木の実を食べるため(A)」に進化したわけではなく、「たまたま長い首を持ったキリンが高い所にある木の実を食べて(B)」繁栄した。』という文章を読んでハッとした。Aの可能性しか考えたことが無かった。青天の霹靂。

  • 化石やDNAからヒトの起源を探る研究は定説が覆されたり、いまだ仮説に過ぎなかったりすることが多い。その変遷を辿りながら、「現状でここまで分かっていてここから先は分からない」とか、「現在は仮説Aと仮説Bで論争している」といった学問的な状況を説明しているのが本書の特徴である。2005年の発刊から年月が経ってはいるが、そこまで大きな齟齬はないはずである。
    大雑把な分類として、「猿人-原人-旧人-新人」という言い方がある。原人は脳が大型化したがその要因は肉食にあると言う。肉食でエネルギーを効率よく摂取できるようになったために、脳が大型化した。なぜなら、脳は多くのエネルギーを必要とするからである。
    人類の起源は700万年前のアフリカにある。そして、現生人類の起源は20万年前のアフリカにある。にわかに信じ難いが、現在の人類は20万年前のアフリカの「グレートマザー」の子孫だという。人類みな兄弟。

  • 最新の研究で明らかになった人類の進化について書かれた本。

    人類の進化について、解明が進んでいる一方で判明しないこともあります。人類の進化に関する最新の研究成果が、わかりやすく書かれています。人類史や人類の進化を知りたい人は最初に本書を読むことをオススメします。

  • 面白かった。知的好奇心を刺激する脳内物質がドバドバ出る。これぞ科学本の醍醐味。
    この本が出版された2005年から更に人類史の研究は進んでいることだろう。それまでの通説を覆すような化石も発見されたに違いない。
    (例えばデミソワ人についての記述が全くなかったからあれはきっと2005年以降の発見なのだろう。)
    最新情勢も是非キャッチアップしてみたい。

  • 新聞記者が人類史の研究結果についてまとめたもの。非専門家であるので、ある意味初心者には分かりやすい作りとなっている。しかしだからこそ最新の研究結果であるからこそ意味のある本という感じが否めない。現在(2018年12月)からしてみればもう10年以上前の話となるので、今更読む価値は低い。

  • 記者さんなので分かりやすい語り口で人類の進化の歴史を解きほぐす。

  •  本書を読んで最も良かったと言える点は、ネアンデルタール人とか北京原人とかアウストラロピテクスとか、私が子供の頃(昭和50年代とか1980年代)に覚えた知識はすでに多くが否定されており、更新する必要があることを思い知らされたことだ。

     例えばネアンデルタール人の学名は「ホモ・サピエンス・ネアンデルターレンシス」だと覚えていたが、これはネアンデルタール人が現生人類の祖先と考えられていた時代の命名で、彼らが我々とは別の人類で絶滅種とされる現在では「ホモ・ネアンデルターレンシス」が正しい。しかしもちろん、これだって将来変わる可能性があるのだ。

     まさに本書を読んでいる最中にも、700万年以上前の人類と思われる化石がヨーロッパで見つかったというニュースに接した。これまでの調査結果から考えるとさすがにそれは無いんじゃないかと思うが、旧来の定説が覆されるかもしれない。人類学はまだまだ不安定で、これからの学問なのだと感じられる。

     また、本書の最終章で触れられているように、人類に関する研究は私たち自身のルーツに関するものであるが故に、どうしても「こうであってほしい」という願望や思い込みが分析に入り込み、客観性が損なわれがちだ。アフリカに対する偏見がつい20~30年前まで学術界に残っていたというのも、残念ではあるが意外ではない。まだまだこの分野は変遷していくのだろう。

     ところで人類学者というのは、数本の歯や手足の骨の化石だけでひとつの種の存在を提唱し命名するものなのか。同じ理系でも、実験による検証ができる分野とそうでない分野では常識が全く違うようだ。

  • 最近の人類史まとめというかんじで読みやすく勉強になった。あっさりしすぎている感じもある。

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著者プロフィール

神戸大学名誉教授

「2023年 『入門刑事手続法〔第9版〕』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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