怖い絵 (角川文庫) [Kindle]

著者 :
  • KADOKAWA
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感想・レビュー・書評

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  • 元々大学生の頃に著者の別の作品を読んでいて
    久しぶりにもう一度読みたいなと探していたら
    別シリーズの怖い絵シリーズがあり読んでみた。

     電子書籍版で読んだので絵をもう一度見たい時に戻るのが少し煩わしさがあるのが欠点かな。
     内容に関してはやはり絵に隠された背景や作者の考察が入ると、この絵には実はこんなことが隠されていたのかもしれないと考えながら読むのは面白かった。あとがきに謎解きならぬ「絵解き」というワードが出てくるが、その通りだと思う
    特に個人的にはクノップスの「見捨てられた街」が
    とても印象に残っている。寂しさの中にどこかで見たような懐かしさを感じてしまった。
     絵画に興味がある、なしに関係なく楽しめる作品。

  • 絵画だけでなく、歴史背景についても学べてとてもためになる。何より面白い!気づいたら読み終わってる!

  • 絵が好きなので手に取った本でしたが、書かれている解釈がちょっと消化できず…2回目読んだらわかるのかな?
    絵画の描かれた時代背景や作家の生い立ちなどを絡めて説明されていて、その部分はなるほどと思いました。見る視点が増えたというか。
    今後絵画を見るときは、時代背景を少し勉強してから行ったら面白いな、と思いました。

  • この本を知ったのは、だいぶ前で、図書館で偶然見かけたのでした。ホラー好きの僕は「きっと怖い絵がたくさん出ているのだろうな」と思ってパラパラっとめくってみたのですが、あまり怖くありません。「なんだ、怖くないじゃん」と思って書棚に戻しました。
    ところがアマゾンやブクログでの書評がすごくいいので、読んでみることにしました。読んでみて驚きました。怖いのは画面でなく、奥にある闇だったのです。10ページ前後の中野京子さんの解説を読むと、絵の見方が全く変わってきます。たとえばこの表紙の絵。なんてことのない絵に見えますが、この絵も実に怖いです。専門書の解説というのは概してわかりにくいものですが、この作者の文章はとても読みやすく、絵の素人でも、よくわかります。いちばん心に残ったのは「絞首台の上のかささぎ」という絵ですかね。これも解説を読む前は、ただの風景画にしか見えませんでした。

  • ===qte===
    ドイツ文学者 中野京子(1) 「怖い絵」展グッズの布製ブックカバー
    2023/4/10付日本経済新聞 夕刊
    拙著「怖い絵」をもとにした美術展を監修することになった時、最初は及び腰だった。来場者が少なくて主催者側に迷惑をかけるに違いない、と自信のかけらもなかったのだ。


    そもそも私の本は、意味のある絵は意味を知って見た方が面白い、なぜなら一枚の絵の背後には分厚い歴史、神話、宗教、文化、風俗、発注者や画家の思惑などが隠されており、だからこそ画面にとりたてて怖いものが描かれていなくとも、実は……というのがコンセプトである。文章ならまだしも、それを美術展という場でどうしたら十分に理解してもらえるだろうか。

    いや、それより何より、私の本のことなど何も知らなければ、「怖い絵展」と聞いただけでスプラッターやホラー作品と思い込み、気持ちが悪いと敬遠されたり、逆に期待外れとがっかりされたりするのではあるまいか。不安は募るばかり。

    ところが蓋を開けてみれば(2017年)、会場の狭さ、会期の短さにもかかわらず、68万人を超える来場者を迎えることができ、待ち時間も最長で3時間半という盛況になった。目玉作品であるドラローシュの「レディ・ジェーン・グレイの処刑」の前で涙ぐむ人を目の当たりにした時は、ああ、開催して良かったと心底思った。

    西洋絵画についての本は出していても、美術展の内幕をほとんど何も知らなかった私なので、企画会議から始まって会場の動線問題、図録作成、グッズ会社や広報との打ち合わせを経て、多くの関係者さんと一丸で成功を目指す過程の、何もかもが驚くほど新鮮だった。

    図録やグッズの作成の過程も新鮮だった
    図録やグッズの作成の過程も新鮮だった

    そうした怒涛(どとう)の日々の記念の一つとして、今も時々使っているのが、アートショップで販売された布製ブックカバーだ。出展作のウォーターハウス「オデュッセウスに杯を差し出すキルケー」が表紙に使われている。

    この絵は入場してすぐの壁に掲げたのだが、それは怖い絵展が一級の物語絵画をそろえた美術展だということを、まず感じてもらいたかったからだ。そこまでは良かったのだが、思わぬ誤算もあった。「キルケー」のすぐ隣にはドレイパー「オデュッセウスとセイレーン」、モッサ「飽食のセイレーン」と、関連する魅力的な作品も並べたため、皆がじっくり鑑賞しすぎて入口が大渋滞になってしまったのだ。

    とはいえそれも今となっては懐かしい思い出だ。

    なかの・きょうこ 北海道生まれ。作家、ドイツ文学者。西洋文化史や芸術の知識をもとに、執筆活動や講演を行う。著書に「怖い絵」シリーズ、「名画の謎」シリーズ、「フェルメールとオランダ黄金時代」「災厄の絵画史」など。

    ===unqte===

  • 西洋絵画に詳しくない人でも楽しめる一冊。
    その絵が描かれた時代や画家のパーソナルな部分を知ることで、違った見方ができるようになり、芸術の奥深さを感じた。ちょっと人に話したくなるような内容が盛り沢山で面白かった。

  • 以前本書の著者である中野京子氏があるテレビ番組に出演されていた際に、「怖い絵」の存在を知りました。内容として、西洋絵画を鑑賞する際に画面に映し出されることのない、この絵画が描かれた歴史的背景、絵のモデルとなった人物の人生や作者がその絵を描くことになった背景を知ることによってはじめて感じる恐怖を楽しむものとなっています。本書を読むことで、今まで知っていた絵画のイメージが一変するだけでなく、絵画を鑑賞する上での視点が大きく変化し、より一層鑑賞を楽しめるようになると思います。シリーズ化されており全3巻に加え「新怖い絵」も刊行されているため、興味のある方はシリーズを全て読んで見られてください。
    学生アルバイトスタッフU.H.

    熊本学園大学付属図書館OPAC

    https://lib-opac.kumagaku.ac.jp/opac/volume/1082380?current=4&q=%E6%80%96%E3%81%84%E7%B5%B5&total=4&trans_url=%2Fopac%2Fsearch%3Fcount%3D10%26defaultpage%3D1%26defaulttarget%3Dlocal%26order%3Drecommended_d%26q%3D%25E6%2580%2596%25E3%2581%2584%25E7%25B5%25B5%26q_op%3Dand%26searchmode%3Dcomplex%26type%255B%255D%3Dbook%26type%255B%255D%3Dmagazine_title%26type%255B%255D%3Dmagazine%26type%255B%255D%3Dpaper

  • 2020.5.13

  • 面白かった。
    その絵が描かれた時代背景、作者の背景を知らなければ
    「ふーん」で見落としてしまいがちなことが
    たくさん書いてあって勉強になった。
    特に、日本人には馴染みの薄いキリスト教やヨーロッパの歴史において
    その物語や(竹の中に女の子が描かれていればかぐや姫ね、的なやつ)物や色に込められた暗示などは当然わからないので
    その絵自体ではなく、ヨーロッパの絵画を見るにあたっての
    知識になりそう。

    色々多すぎて忘れそうだし、怖い絵2、3、更に…と続くので
    続きを読むかどうかは考え中(頭パンクしそう)

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著者プロフィール

早稲田大学、明治大学、洗足学園大学で非常勤講師。専攻は19世紀ドイツ文学、オペラ、バロック美術。日本ペンクラブ会員。著書に『情熱の女流「昆虫画家」——メーリアン』(講談社)、『恋に死す』(清流出版社)、『かくも罪深きオペラ』『紙幣は語る』(洋泉社)、『オペラで楽しむ名作文学』(さえら書房)など。訳書に『巨匠のデッサンシリーズ——ゴヤ』(岩崎美術社)、『訴えてやる!——ドイツ隣人間訴訟戦争』(未来社)など。

「2003年 『オペラの18世紀』 で使われていた紹介文から引用しています。」

中野京子の作品

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