万国菓子舗 お気に召すまま ~お菓子、なんでも承ります。~ (マイナビ出版ファン文庫) [Kindle]
- マイナビ出版 (2016年3月17日発売)
- Amazon.co.jp ・電子書籍 (259ページ)
感想・レビュー・書評
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Kindle Unlimitedで読了
同じ作者様の、『五百津刺繍工房の日常』からの流れで読了。飛び込んできたお客の注文に、必ず応じてくれるお菓子屋さんの青年と、バイトの女の子の、スイーツお仕事小説。正直非常にがっかりした。美味しいお菓子が出てきて、美青年パティシエで、万人に好まれそうな平凡だけど明るいバイト少女がいる。道具立ては悪くない。人気シリーズのようで、たくさん続編が出ているし。
しかし、一応主人公であるバイトの久美は、なんでこの店に勤めているのか、経緯もなかなか語られない。どんな店かも、描写はごく少ない。パティシエの男性の経緯も、最初だけはきちんと説明したらいいものを。
お菓子を通じて喜ぶ客たちの様は、普通なのだけど。お菓子作ってる最中の描写は、料理本のレシピをただ書いてるだけ。知識がないのなら、想像でいくらでも美味しそうに書けるだろうに。(それが小説というものだ)
途中で店主の友人らしい人物が出てくるけれど、それも説明全くなし。どんな関係で何をしてるのか。なんでここに出てきたのか?数話飛んで次にはいきなり久美を口説いてるし、は?となった。説明ばかり読まされるのは退屈ですと、指南書にあったとしても、やはりきちんと必要な情報はあったほうがいい。
店主と久美の関係も、いずれ常道としては恋愛になるのかもしれないが、店主側が久美をどう意識しているのかは、毎回同じ描写しかないから、はっきりしない。久美も気がないのかと思えば、いきなり意識しまくるわ、次の話ではひっぱたくわ…。どんな気持ちの移り変わりがあったのかは、書かれていない。
思いついた場面と思いついた設定を、好きな順に書いている、といったていである。それは草稿ならいいだろうし、アイディア帳の走り書きならいい。でも商業でお金を取るなら、そういうところは破綻がないように書くべきだ。作者様の頭の中では了解事項でも、読者は書かれているものを基本情報に想像を膨らますのだ。基本情報の欠けたお話は、作者様と読み手の、共通の了解事項を欠損させる。枚数がというのなら、その中できちんと書くべきだ。
素材はすごくいい。肝心な場面だけ切れっ端でもいいから、クライマックスから読みたいから、整っていなくてもいいというのならいいのだろうか。商業出版で出すなら、作家様にいいアドバイスをするスタッフさんはつかなかったということなのか。前作のほうが粗はあったけれど、まだずっと読めた。注意もお受けにならず、出版に至って、一生懸命連作を書いておられるのなら、あたらいい舞台を思いつき、書こうとなさる気概はあるのに、お気の毒だ。九州のと思われる方言も、いきなり出てくる。ちゃんと九州のここにあって、と設定して、お店の説明をしてあげれば、ご当地小説としても楽しめたのだろうに。
少なくとも、いろいろ勉強にはなった。でも……また読むかと聞かれれば、お答えはしかねる。私の感性がおかしいのか、でも読むには苦しいし……。というところだ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
平和なお菓子屋さんの日常。ほっこりしたいときにいいかも。
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一話が短く、平和なので疲れたときに効く気がします。
そして美味しそう。