クロノス HDニューマスター版 [DVD]

監督 : ギレルモ・デル・トロ 
出演 : フェデリコ・ルッピ  ロン・パールマン  タマラ・サナス 
  • TCエンタテインメント
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4562474172509

感想・レビュー・書評

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  • CRONOS
    1992年 メキシコ 92分
    監督:ギレルモ・デル・トロ
    出演:フェデリコ・ルッピ/ロン・パールマン/クラウディオ・ブルック/タマラ・サナス

    16世紀、錬金術師のウベルト・フルカネリという男は、メキシコに渡り、永遠の生命のカギとなる「クロノス」というものを造る。400年後、心臓を貫かれたその錬金術師らしき男の死が確認された。さらに時は流れ、愛妻メルセデスと幼い孫娘アウロラ(タマラ・サナス)と暮らしながら古物商を営む老人ヘスス(フェデリコ・ルッピ)の店に不審な客が現れ天使像を確認して去っていく。ヘススがその天使像を調べてみると、像の底の部分から黄金のスカラベを発見。スカラベはネジを巻くと突然六本の脚を出しヘススの手に噛みつく。

    翌日、最初の不審客の雇い主アンヘル(ロン・パールマン)が天使像を買い求めに来る。彼は大金持ちの叔父グァルディア(クラウディオ・ブルック)の命令で、かつて錬金術師ウベルト・フルカネリの死後、彼が「クロノス」を隠したまま売り出されてしまった天使像を探していた。ヘススから買い求めた天使像からすでにそれが取り出されていたことを知ったアンヘルは、ヘススからクロノスを奪おうとするが…。

    ギレルモ・デル・トロ監督の初長編作品。基本的には吸血鬼ものということで良いのだろうか。スカラベが虫型の精巧な機械でさらにその中に吸血虫がいるという設定がいかにもこの監督らしい。天使像の目から虫がわらわら出てくる部分など、ホラーじゃなくても鳥肌もの。

    グァルディアのほうは錬金術師の遺した古文書を手に入れており、クロノスの使い道と効果を把握しているが実物がみつからない。ヘススのほうは、現物を手に入れてしまったけれど、それが何なのか使い道もわからないまま、なりゆきで吸血されてしまい、なんかわからないけどこの虫に血を吸われるとウットリしちゃう…って感じで、バスルームに籠って使用したり、まるで薬物中毒のように。やがてパーティー会場で暑くて鼻血出ちゃったという男性客をトイレまでつけていってなんとかその鼻血をなめとろうとするなど不審な挙動の数々をおこなうが本人は自覚していないぽい。

    そしてついに、激怒したアンヘルに殺されてしまうのだけれど、実は不老不死になっていたヘススおじいちゃんは、火葬場から脱走。理解あるおじいちゃん思いの孫娘アウロラは、吸血ゾンビになって戻ってきたおじいちゃんを子供部屋に匿ってくれる。どうやら吸血ゾンビ・ヘススは太陽の光にも弱いことが判明。自分に何が起こってるのかわけがわからないヘススはグァルディアの持つ古文書を奪おうと、彼の寝室に侵入するが…。

    基本的に、主人公がおじいちゃんゆえ、目の保養はありません。あと行動も共感できず感情移入できない。敵は、ダークファンタジー映画では常連の猿顔大男ロン・パールマンと、その叔父=死にたくないよぼよぼのおじいちゃんで、やっぱり目の保養はない。唯一の癒しは孫娘のアウロラちゃん。おじいちゃんを守って、大活躍。彼女の無邪気さがなければ、彩がなさすぎてかなりつまらない映画になってしまったんじゃなかろうか。

    クロノスとは、ギリシャ神話で時間の神の名であり、時間を超越する=不老不死の象徴と思われますが、もうひとつ、我が子に殺されるという予言を信じて、生まれてくる子を片っ端から飲みこんだという子殺しの神でもある(末っ子ゼウスに予言通り殺される)

    映画のラストで、血に飢えた吸血鬼ヘススは、孫娘をじっとみつめ葛藤する。しかし彼は、可愛い孫の血を吸ったりはできない。そしてクロノスを破壊し、永遠の命を捨てる。わりと人道的なオチ。彼は子殺しクロノスを否定し、自身の不死よりも、自分の血を継ぐ子孫の生存のほうを選ぶわけですね。

    ラスト以外で主人公ヘススをあまり好きになれなかったせいか、そこまで入り込んで見ることはできなかったけど、それなりに面白かった。

  • ギレルモ監督の初期の吸血鬼もの。
    悲しくて切ないモンスター。
    ギレルモ監督はいつもちょっと切ないんだよなぁ
    バッドエンドだけど本人にとっては愛されて終わる幸せな最期か?

    昔々、メキシコの総督に雇われた時計師がいた。
    彼は永遠の命を得る“クロノス”を作り出し400年生きた。
    ただしその肌は大理石のよう。
    人の生き血を吸わないとならなくなるらしい。

    場面が変わって現在。仲のいいお爺ちゃんと孫。
    お爺ちゃんは色っぽいおばちゃんと再婚。孫は懐いていなさそう。
    お爺ちゃんの経営する骨董品店で仲良く遊ぶ。
    そこに怪しい男が店を物色に表れ、売り物の天使の彫像をジロジロ見ている。
    不審に感じたお爺さんは、彫像をよく調べてみると、台座から昆虫の形をした黄金の細工物を発見。
    ネジを巻いてみると手のひらに足を食い込ませ、血塗れになってしまう。

    自宅に戻り手当てをするが喉の渇きを覚えて水をがぶ飲み。
    何故かもう一度クロノスを自分に取り付けたくなるお爺さん。
    クロノスを取り付けたあとは少し若返ったり生肉を食べたくなったりと、どうも様子がおかしい。
    孫はクロノスがお爺さんに良くないものなんじゃないかと感じ取り、心配でお爺さんからクロノスを隠そうとするがお爺さんにすぐに見つかってしまう。
    クロノスが何であるかを知る男クロウディオはお爺さんの骨董品店から彫像を購入したが狙いのクロノスが入っていなかったために甥っ子のアンヘルを使い骨董品店を荒らし、お爺さんを痛めつけ車に乗せたまま崖から突き落とし殺してしまう。

    クロノスが見つからないまま、お爺さんの心臓にトドメを刺さなかったことに怒り狂うクロウディオ。
    葬式に乗り込んでキチンと死んだか確認をしてこいという。
    お爺さんは死化粧をされ火葬されかけるが、すんでのところで逃れ、骨折し肌は腐ったまま家に戻るが、朝日を浴びると体が燃え出すようになってしまった。
    しかし、そんな変わり果てたお爺さんを孫は秘密基地に匿う。
    どうしてこんなことになってしまったのかを知るため、クロウディオの家に忍び込むお爺さんと孫。
    クロノスの秘密の書かれた書物を探し出すが、だいじなページはクロウディオが食べてしまっていた。
    クロウディオによると、クロノスによって体を変えられた者は心臓を貫かれない限り死なないが、クロノスを破壊すると死んでしまうとわかる。
    クロノスを差し出す代わりにどうしたらいいか教えるというクロウディオだが、お爺さんに襲いかかり心臓を刺そうとする。
    抵抗するお爺さん。孫が隙をついてクロウディオを殴り倒すが、クロウディオの流す血を我慢できずに飲んでしまうお爺さん。
    そこにアンヘルが現れる。
    目障りだった叔父のクロウディオが死にかけているのを喜びトドメを刺し、お爺さんのことも殺そうとするがなんとか撃退。
    お爺さんも体がボロボロになりながらも孫を守り切る。

    しかし、孫が流す血をどうしても飲みたくなるお爺さん。
    そんな自分に耐えられず、「私はヘスス・グリス」と唱えながらクロノスを粉々に破壊。
    化け物として生きるのではなく、人間であることを選んだ。
    朝日のさす家庭的な寝室の中で、で愛する孫と妻に看取られ死ぬ。END。

    お爺さんは不死を求めて悪いことをしたわけでもないのに、たまたまクロノスを手に入れてしまったために化け物になってしまって可哀想。
    孫もおかっぱで可愛らしい女の子でクロノスのせいで唯一の肉親を失ってしまう。
    善良な人間が不意に不幸に巻き込まれる形で切ない。
    ちょっとしんどい。

  • たまたま『シェイプオブウォーター』と連続で鑑賞。ギレルモさんの第1作、『クロノス』。ビデオ版や旧DVDは『クロノス/寄生吸血蟲』。すげータイトル笑。
    ホラー映画のようなタイトルだけど、ギレルモさんはやはりダークファンタジーの人なので、ホラー=怖い映画って感じではないですね。

    じゃあダークファンタジーって何?と考えると、やはり「独特の世界観が…」とかバカみたいなことしか言えない笑。元々18〜19世紀頃からゴシック小説、幻想怪奇小説があって、ユニバーサルやハマーフィルムが映画化して、他にラヴクラフトなんかもあって…という感じ。ダークファンタジーでもホラーで怖いものもあるし、そうではないものもあります。

    『クロノス』にはのちのギレルモ作品の要素がすごく詰まっている。ダークファンタジー的要素はクロノスのガジェットだけど、血を吸わせたら不老不死の吸血鬼になる…ってこれジョジョの石仮面と全く同じやないか!!笑

    これの源流を調べると、イタロホラーの巨匠、マリオバーヴァ監督の『血ぬられた墓標』(1960年)という映画らしい。あと同監督の『呪いの館』にも荒木先生は影響を受けて、スタンドができたみたい。マリオバーヴァはあと『エイリアン』の元ネタの『バンパイアの惑星』なんかも監督している。
    それと、石仮面に似てると昔から言われてたジムキャリーの『マスク』ですが、これ原作漫画で登場したのが1987年と、ジョジョと同時期。こちらはそのまま『The Mask』(1961年)という映画が元ネタなのかなと。
    だから色んな人たちが、この時代の映画を元ネタにしてるようですね。

    古い吸血鬼映画の翻案という点で、『シェイプオブウォーター』とやってることは全く同じ。しかも「彼」と同じく、『クロノス』でも主人公のおじいさんは一度死んで復活します。彼の名前はそのままへスス…Jesus。そういえば先日観たシドニールメット監督の『質屋』にもやはり同じくヘズス(Jesus)というキャラクターがいました。

    他に、ロンパールマンの役名はアンヘル(Angel)、孫娘はアウロラ(オーロラ、暁や光の女神)。これは『パンズラビリンス』の女の子がオフェリアだったように、直接的にそのキャラクターを提示している。あと緑色の服!
    それと、像の中からゴキブリが…というのは『ミミック』ですね。パンチョビリャの敵、ビクトリアノウエルタ。

    カトリック圏でキリストと吸血鬼を同一視するというのは、これはかなりヤバいことなのではないかと…。『シェイプオブウォーター』は「神」の見た目がもしああだったら?で、マイノリティの象徴だった。例えば神様が黒人だったら、WASPはどうするか?みたいな。
    あと、メキシコからすればクロノスと同じく、キリスト教って後から入ってきたものだよねとか、ギレルモさんみたいなオタクにとっての崇拝の対象は、吸血鬼や半魚人だよねとか、色々と思いました。

    映画としてはあんまり面白くないですが、ギレルモさんのやりたいことというのはすでにこの第1作で明確になってますね。

  • 『クロノスー寄生吸血蟲』
    ダーク・モダン・ファンタジック・ホラー。

    ・黄金のスカラベがジョジョの石仮面的働きをする。吸血鬼だし。
    ・血が欲しい、という描写をするのに、大理石の床を舐めるという、おぞましくも甘美な場面を用意する。
    ・すでに人間ではない者が、鏡に向かっておはようの練習をする……「寄生獣」じゃん!
    ・さすがデル・トロ! と思うところと、そうはいっても凡作だな、と思うところが交互に。

    ・「ヘルボーイ」には乗れなかったが、ジュネ「ロスト・チルドレン」、デル・トロ「パンズ・ラビリンス」には乗れた。つまりはデル・トロのコミック寄りよりも文芸寄りが好なのだろう、と判明した。
    ・監督のファンが見て損はないが、ファンとはいえど熱狂するほどではない。

    ・幼女(平手友梨奈っぽい表情)にはやっぱり赤い服がいいね(「赤い影」連想)。防水っぽい素材もまたよし。
    ・ロン・パールマンのやくざものそのものの白いダブルスーツもいいね。

    ・スーツを裏返しに着るのは死者という含みがあるのかな。

  • 妙に天使的存在の孫娘アウロラが気がかりな映画だった。祖父がいかに窮地に陥ろうと事態を見守っていた。
    本作がすごく面白かった点は、誰も得をしないというところ。けっきょく人は、どれだけ奇妙な事態に陥ったところで、プラスマイナスゼロに落ち着くのだとでも言いたげな映画だった。そしてそれはおそらく、十中八九真実だろう。

  • リマスター版とはいえ画に古さを感じますねぇ
    なんと言うか、ヘルレイザースの箱とか、ファンダムズの玉とか、あと虫型のタイプライターってなんだっけか…?そういったギミック付きの小道具がイカして見えるそんな年代の作品って感じ…ロンパールマンがこれだけ若いとなるとねぇ〜そらそうだ。名前がangel だったりjesus だったりそこから暗示させるものって何かな…
    正直、面白くもなんともない…デルトロ監督の初期作品という事で鑑賞して見たけど、つまんねえ作品(>人<;)

  • 確かにギレルモ監督の全てが詰まっている。が、なにぶん古い~。
    じいちゃん、若返ったからって何で嫁とデキちゃうんだよ。アウロラガッカリよ。

  • ギレルモ・デル・トロの長編デビュー作だそうで、とても監督らしい映画。おとぎ話のようで品が良い。女の子がミステリアスでいっそう可愛く見えるし、機械のデザインもときめく。ストーリーはシンプルだけどなかなか引き込まれる映像。ファンの方は彼の原点を知る上で是非観て下さい。

  • 主人公がJesusでロン・パールマンがAngela、そして時期はクリスマスというあたりはベタな設定ですが、ギレルモ・デル・トロ監督が処女作のときから、昆虫好き、歯車好き、少女好き、ロン・パールマン好きだということを知って大いに満足した作品でした。

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著者プロフィール

映画監督・脚本家・小説家。
1964年10月9日生まれ。メキシコ出身。
劇場長編監督デビュー『クロノス』(92)が各国の賞で高く評価され、97年の『ミミック』でハリウッド・デビューを果たした。『デビルズ・バックボーン』(01)、『ブレイド2』(02)を経て、念願だったマイク・ミニョーラの人気アメコミの映画化『ヘルボーイ』(04)を実現。映画はヒットを記録し、続編『ヘルボーイ/ゴールデン・アーミー』(08)はスタジオをユニバーサルに移して製作。その間にスペインで製作した『パンズ・ラビリンス』(06)は、アカデミー賞脚本賞にノミネートされたほか、カンヌ国際映画祭など各国で高い評価を受けて気鋭の監督として国際的に広く認知されるように。07年にはペドロ・アルモドバルらとメキシコで製作会社「チャチャチャ(Cha-Cha-Cha)」を設立。『ロード・オブ・ザ・リング』の前日談にあたる大作『ホビット』シリーズでは脚本を手掛けた。10年『パシフィック・リム』で、久々に監督に復帰。14年にはチャック・ホーガンとの共著で発表した初の小説「ストレイン」シリーズ(09年)のテレビドラマ化が実現。本作に続き、今後は『Pinocchio』『ヘルボーイ3』『パシフィック・リム2』などの話題作が予定されている。

「2016年 『ギレルモ・デル・トロ クリムゾン・ピーク アート・オブ・ダークネス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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