C言語におけるprintfの動作を通してkernel, glibcなど低レイヤの実装を見ていくことで、POSIX APIの実装がどこにあるのか、kernel ABIの違いやシステムコールの動作機序を垣間見ることができる良書でした。
例えばkernelについて詳細に見ていくような学習を横とすれば、この本では機能軸で各レイヤを見ていくことで、 縦の学習をすることができ、アプリレイヤから見たときの具体的な機能動作を一貫して理解でき、低レイヤへの入門としてとてもよかったと感じました。つまり、これを手掛かりに横に学習を広げることで興味のある部分を詳細に学習していくことができそうだと感じました。
ただ、自分はこの本以前に他の書籍を通じて8bit CPUをFPGA上で実装したり、x86系のCPUについて学習したことがあったため、各レジスタやスタック操作についての知識があったことは本書を理解する助けになった気がします。
またGDBによる動的解析と静的解析を組みあわた一般的な解析/コードリーディング手法を低レイヤで実践していく方法も知ることができました。