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感想・レビュー・書評
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1982年家庭用CDプレーヤーが発売された年は歌謡曲、アイドル全盛時代だった。ミリオンはあみんの「待つわ」で売り上げ20位以内には「ジェームス・ディーンのように」のJohnny のみが横文字だった。因みにマッチの2曲以外は全て唄える。サザンのチャコもこの年だ。マッチと松田聖子が3曲、中島みゆきが2曲ランクイン。
1988年日本人が最も多くのCDを買った年、GRAYの「誘惑」、SMAPの「夜空のムコウ」以下ミリオンは14枚。全て横文字でKiroroやkinki、B,zなどデュオはいてもソロと言えそうなのは「ピンクスパイダー」のhide with…くらい。L'Arcが4曲、SPEEDとkinkiが3曲ランクイン。JーPOPの時代だった。おそらく半分は今でも唄える。
さらに16年後の2014年ミリオンはAKBの5枚で46と48で13曲、ジャニーズが嵐、関ジャニ、Sexy Zoneで6曲、それ以外はEXILEのみ。名前を見ても全く知らない曲ばかり。CDはゴミと化した。しかしライブをやればサザンや中島みゆきだけでなく満員にできるアーティストは他にも多い。
日本の音楽業界のピークの年であった1998年にデビューしたのが本書の主人公達、宇多田ヒカル、椎名林檎、aikoー著者が年齢、性別を問わず日本のトップ3と評価する音楽家ーそして浜崎あゆみだ。この年にはKiroro、モー娘、MISIA、鈴木あみもデビューしている。当時は小室哲哉がB級アイドルを次々とプロデュースしアーティストに仕立て上げていた。著者は82年のアイドル全盛期からアーティストへの流れが1998年の奇蹟の鍵だったと見ている。
82年のアイドルは聖子ちゃんカットから始まった。その中から抜け出したのが自己プロデュース能力に長ける中森明菜と小泉今日子であり、アイドルがアーティストと呼ばれだしたのが工藤静香からだった。必ずしも自分で詩や曲を書いたり演奏するからアーティストと呼ばれる訳ではない。身もフタもない事実は、同性からの支持を受けるかどうかだ。それを一番うまくプロデュースしたのが小室哲哉であり、デビュー当時から自己をプロデュースしてきたのが主人公達だった。
宇多田ヒカルのデビューは一家により周到に準備されたものだった、主戦場はテレビではない。FMとクラブであり、あの印象的な「AUTOMATIC」のテレビスポットが流れたのはデビューから1ヶ月以上たちラジオでいい感じになってきたからレコード会社が慌てて打ったものだ。一家が東芝EMIにつけた条件は宇多田が自由に製作できる音楽環境を作り、彼女の作品に第三者が手を加えないことだった。宇多田は極端なレコーディングアーティストであり、これまでにステージに上がったのは僅か67回。その中の一つが椎名林檎と組んだ東芝EMIガールズで、このコンビの復活が本書で予言されていたと話題になっている。スタジオで育った宇多田は編曲に始まり全ての音を統括していくようになる。
人間活動に入り作品の発表を止めた宇多田に対し椎名林檎は「ヒカルちゃん、ずりいよ」と言いながらも日本のポップスシーンの席が空いちゃうからと作品を作り続けている。スタッフを抱える個人事務所を持ち、コンサートも贅沢に作るためという経済的事情もあるが「現状誰もやってないと感じるからやっているだけで、誰かがやっていればパタンと辞めます」と、そしてその危機感はオリンピックへ及ぶ。「大丈夫なのか東京」しかしリオの閉会式の見事な演出の理由でおそらくその危機は回避されただろう。「絶対に回避せねばならない方向性はどういうものか、毎日考えています」と言うのが何かは2014年のヒットチャートを見ればわかる。
1995年、椎名林檎も出たヤマハの10代のコンテストでグランプリを獲ったのがaikoだった。その後aikoは事務所もレコード会社も決まる前からラジオのDJに抜擢されローカル・スターとなっていた。翌年aikoはヤマハと軽い気持で契約するのだが、自主制作もライブもできない窮屈なものだった。契約が切れ、インディーズデビューの後今度は映画主題歌でメジャーデビューを果たすが、これまた小室哲哉の出来損ないのような曲に歌詞をつけるという制約の多いaikoにとってはどうでもいいようなものになった。セカンドシングルでようやく自己プロデュースによるセカンドデビューを果たしたaikoの頑固な世界はその後全く変わらない。「曲とか詩とかはね、ぶっちゃけ全部おんなじなんですよねこの人。」
そして今年、宇多田ヒカルが帰ってくる。それでもCDが売れないとすれば、とどめを刺されたことになる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
当時の様子がよくわかった。今(出版当時)との比較になるので、今がどんどん昔になっていくと、また比較内容も現在とずれてくるかなと思った。
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ロッキンオンジャパンという雑誌がある。もはや雑誌というよりイベント会社のようになってしまったが、それはとにかく、この雑誌ではいわゆるJ-POPというのは取り上げられない。特に本書で書かれているaikoや浜崎あゆみについては取り上げられない。
本書は、そのロキノンライターが宇多田ヒカル、椎名林檎、aiko、浜崎あゆみについて書いている。いかにもロキノンの匂いがする文章が鼻につくが、そうはいってもこの手の音楽ジャーナリズムが(あまり好きな言葉ではない)正面切ってこの4人について書いたまとまった文章というのもないので、そういう点では良かったと思う。
ただ、著者は1998年から現在まで脈々と続くストーリーを語るのだが、やはり彼女らをいまでも支持しているのは昔からのリスナーが多数だろうし、そう思うと、どうしても懐古的な気分にしかなれないところがある。悪いことではないけども。 -
宇多田ヒカル、椎名林檎、aiko、浜崎あゆみは同年デビューし、新たな音楽時代を切り開いたことが語られる。
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著者はあいみょんの出現をどう思ってるんだろうか
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1998年、自分は何をしていたのかなぁと思い出してみると、当時大学生で郊外のキャンパス近くの学生マンションに住んでいた。
その近くのツタヤで売っていた宇多田ヒカルのAutomaticを買ったのを覚えている。
筆者曰く、1998年は日本人が最もCDを買った年だそうだ。
最近は音楽を買う場合、ほとんどダウンロード、CDを買うことがあっても、Amazonで注文。リアル店舗で買うことは、めっきりなくなっている。
そういえば、10代のころは小遣いためてCD買ってたなぁ~と感慨深い思いをしながら読んだ。