- Amazon.co.jp ・電子書籍 (230ページ)
感想・レビュー・書評
-
小学館ノンフィクション大賞
週刊ポスト2016年2月12日号書評
週刊文春2016年3月10日号書評
毎日新聞2016年3月6日 著者インタビュー
朝日新聞2016年3月6日 書評 荻上チキ詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
読書家の友人が取り上げていた一冊をkindleで読了。何とも重苦しい。重苦しいが、これは紛れもなく良書だ。
名経営者と言われる小倉昌男は、晩年ほとんどの私財を障害者福祉に投じた。そこに漠然とした疑問を感じた著者が取材を重ね、謎を解くように丁寧な筆致で真実に近づいてゆく。
「宅急便」を立ち上げて名を馳せた顔を「公」とするならば、本書で迫るのは「私」の顔。「公」での苦労も生半可でなかったのは言うまでもないが、「私」の苦悩はその何倍にも重かった。その苦悩は家族に端を発するものであり、家族を愛しているからこそ逃げ場がないものだった。想像するだけで胸が痛む。
しかし、小倉は存命中それをほとんど明らかにせず、壮絶で孤独な人生を生き抜いた。障害者福祉に傾倒した理由についても、表面的な言葉でしか説明していない。端から説明するつもりなどなかったのだろう。しかし、残った家族が言葉を発し始め、著者の取材に応じて本書が出来上がった。天国の小倉は本書が出来上がったことより、冷静に言葉を発するに至った家族を見て、大きな安堵を感じているに違いない。 -
「だから 、障害者を持つ母親は 「この子は私がいなくなったらどうやって生きていけるんだろう 。この子が死ぬまで私は死ねない 。一日でもいいからこの子よりも長生きしたい 」と言ってみんな切実に悩んでますよ」