死の臓器 (文芸社文庫) [Kindle]

著者 :
  • 文芸社
3.44
  • (1)
  • (7)
  • (6)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 48
感想 : 5
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (312ページ)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 父に勧められて読んだ本。医療系ミステリ。だけど、いわゆる謎解き!と言うよりも社会派ミステリというか…問題提起というか。
    透析が必要な人に対して随分冷たい発言してた政治家もいたねー前ねー。
    人間身内のこととなれば一線越えちゃう、ってこともあれば、それに群がり金を吸い上げるだけ吸い上げたい人たちもいる。

    日野先生の素朴さ医師としての熱さが救い。

  • 移植かぁ。それが運命と思ってレシピエントにはならないかも、と思うが、家族が移植が必要と言われれば、順番待ちしてでも移植してもらってと言ってしまいそう。

  • 救いようがない人間たちが織りなす物語

    腎臓摘出手術の跡がある死体が樹海で見つかったのが事件が大事化するきっかけ。

    熊本の地方病院で盛んに行われている移植手術。担当医はDr.クマヒゲのクセを抜いたような聖人。親子3代医者。地域の人のため、まさに滅私奉公。ただ、患者の同意などを示す書類については杜撰すぎ。樹海で見つかった死体がこの医師と関係していると報道され大炎上。

    真相は地方議員の娘が中国で買った腎臓だった。ドナーが術後の体調不良に対する金銭的補助を要求してきて思わず殺しちゃった。地方議員は、娘の移植を断った熊本の医者の失脚を図るとともに、移植ビジネスで自分が利益を享受するため手練手管を使う。

    熊本の医師の誤報を飛ばした記者が取材を進めて捜査が進み、最後はすべてが明らかになる。

  • Kindle Unlimitedのリコメンドに出て来た作品。
    麻野涼という作家名に見覚えがあったような気がしたので
    事前に調べたところ、どうやら読書履歴無し。タイトルか
    らして大好物の医療ミステリーであることは間違いないし、
    加えて初めての作家。ちょっとドキドキしながら読み始めた。

    ワケアリのTVディレクターが、富士樹海のロケで女性の
    死体を発見。コレがちょっとしたスクープとなり、人生に
    明るい兆しが見えてくる。検死の結果、死体からは腎臓が
    抜き取られていることが確認されたが、身元は不明のママ。
    コレに一念発起したTVディレクターは、死体の身元につい
    ての独自捜査を始める。同じ頃、熊本の泌尿器科医は、警
    察から任意の取り調べを受けることに。容疑は身に覚えの
    無い「臓器売買」。この2つの事件が、とんでもない事実
    からリンクして行く・・・という感じ。

    これ、なかなかのヒット。
    臓器移植のチャンスを心待ちにする人工透析患者とその家
    族の現実が浮き彫りにされる、という社会派な切り口が功
    を奏し、そこで葛藤する医師の心情が痛いほど伝わってく
    る。さらに、透析を利用して良からぬことを企てる悪の勢
    力の暗躍もあるので、とにかく緊張感を切らずに楽しむこ
    とが出来た。

    ただ、ミステリーおよびハードボイルドの構成処理は、正
    直稚拙。真相が読めた、ということではなく、「え、それ
    がオチなの?」というラストの処理があまりに残念。

    もちろん全体的には上質な佳作であると思うし、今後の展
    開も期待できるストーリーなのは間違いない。取り敢えず、
    続編も読んでみるか・・・。

全5件中 1 - 5件を表示

著者プロフィール

1950年、埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、ブラジルへ移住。サンパウロのパウリスタ新聞社勤務を経て、1978年帰国。高橋幸春名義でノンフィクションを執筆。1987年、『カリブ海の「楽園」』で第6回潮ノンフィクション賞受賞。1991年、『蒼氓の大地』で第13回講談社ノンフィクション賞受賞。麻野涼名義で、社会問題をテーマにした骨太の小説を次々、発表。  著書に、高橋幸春名義で…『死刑判決は「シルエット・ロマンス」を聴きながら』(林眞須美 著、長冨俊和との共編、講談社、2006年)『日本一のわたしの母へ涙でありがとう』(東林出版社、1998年)『日系人その移民の歴史』(三一新書、1997年)『愛が引き裂かれたとき』(石飛仁との共著、解放出版社、1996年)『車椅子の挑戦者たち』(東林出版社、1996年)『絶望の移民史』(毎日新聞社、1995年)『パウラちゃんのニッポン日記』(国土社、1995年)『悔恨の島ミンダナオ』(講談社、1994年)『蒼氓の大地』(講談社文庫、1994年)『日系ブラジル移民史』(三一書房、1993年)『ドミニカ移民は棄民だった』(今野敏彦との共編、明石書店、1993年)『行こか戻ろか出稼ぎジャポン』(講談社、1992年)『蒼氓の大地』(講談社、1990年)『カリブ海の楽園』(潮出版社、1987年)、麻野涼名義で…『GENERIC』(徳間書店、2007年)『闇の墓碑銘』(徳間書店、2006年)『国籍不明 上』『国籍不明 下』(講談社、2003年)『天皇の船』(文藝春秋、2000年)などがある。

「2007年 『満州「被差別部落」移民』 で使われていた紹介文から引用しています。」

麻野涼の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
中山 七里
中山 七里
中山 七里
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×