量子物理学の発見 ヒッグス粒子の先までの物語 (文春e-book) [Kindle]
- 文藝春秋 (2016年9月23日発売)
- Amazon.co.jp ・電子書籍 (358ページ)
感想・レビュー・書評
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質量を生み出すヒッグス粒子を中心に、素粒子がら引き起こす弱い力の世界を発見の時系列に沿って優しく解説する。
著者のフェルミ研究所愛に溢れた一冊。ノーベル賞受賞した偉大な研究者とはいえ予算獲得のためのプレゼンを欠かさないところがすごい。曰く「経済発展の原動力」だと。
量子スピンや重ね合わせの状態は量子コンピュータの原理だし、そのための器具である粒子加速器から発される高濃度の粒子ビームは核融合炉の基幹部分になる。
ミレニアム以来隆盛を誇るソフトウェアに代表される新規サービスは、ある種既存の「物質や原理」の上で生産効率を上昇させてくれるが、物理科学の基礎研究は新たな「物質や原理」を開発・発見することで生産性そのものを上げるという関係なのだろう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
数式を極力出さずに解説。イメージで語ってくれるので分かった気になります。
後半はさすがに難しく、理解したとはとても言えないですが、面白く読ませていただきました。 -
素粒子物理学の世界を俯瞰して説明してくれる。話が深まると置いてけぼりだがアハ体験(フニオチ体験)もあって満足。ちょいちょいアメリカ的な自己評価高めな感じがおもしろかった。味わったが、飲み込むのは難しい(笑)
233ページの記述、間違ってないか?2002年に小柴昌俊教授がノーベル物理学賞を受賞したのと、ニュートリノ振動を発見した梶田隆章教授が混同されてるような。 -
ヒッグス粒子の発見に関して、そこに至るまでの量子力学、相対論等の解説もしつつ、実験物理学者がわかりやすく語る良い本。湯川秀樹の話も出てくるのが嬉しい。内容はなかなか高度でじっくり読まないとわからないという印象。