葛城事件 [DVD]

監督 : 赤堀雅秋 
出演 : 三浦友和  南果歩  新井浩文  若葉竜也  田中麗奈 
  • キングレコード
3.41
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本棚登録 : 187
感想 : 39
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4988003842239

感想・レビュー・書評

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  • 将来に悲観した若者が白昼堂々と大量殺人を犯す事件が、時折、世間をにぎわせる。そして、マスコミや専門家はそんな若者を犯行に駆り立てた原因を検索する。若者自身なのか、社会なのか、職場なのか、家庭環境なのか。

    本作品での殺人の原因はズバリ父親だ。三浦友和演じる葛城の家族に対する強圧的な態度が妻の精神を壊し、長男を弱い人間にしてしまい、次男を殺人に走らせる。が、父親はなぜ家庭が崩壊したのかわからない。自分は家族に対してベストを尽くしていると思い込んでいる。

    守っていたはずの家族がバラバラになってしまった葛城にとって、次に守るのは住んでいた一軒家。近隣から村八分になろうと、自宅の壁に落書きをされようと、彼はかたくなに家を守り続ける。

    葛城一族や田中麗奈演じる死刑反対活動家などの登場するすべての人間が壊れたまま、何の光明も見えないダークストーリー。大量殺人事件の加害者の裏側なんて、こんな救いようのない日常なのかもしれない。

  • CS放送の録画で。

    後味悪い映画は大好物なんだけど、凄い嫌な予感がして寝かしに寝かしてたんだけど、気合いを入れて見てみた。
    劇場で見損ねたのでとても有り難い。

    大元の芝居はモチーフにした事件が分かりやすく描かれていたらしいが、映画の方は近年起きた様々な大量殺人事件から着想を得て練り直しされた作品の模様。
    父母に長男次男の四人家族が少しの歯車の狂いからバラバラになっていく様を現在と過去と織り交ぜて描かれていた。

    暴君のように振る舞う父親に追い詰められて行く母親も、リストラの事実を嫁に言い出せずに塞ぎ込んでいく長男も、「俺はまだ本気出してないだけ」とばかりに現実から目を背けて引きこもっている次男も、全てのパートが息苦しくてしんどいことこの上ない。
    母、息子、それぞれに「この時の心中如何許りか」と胃の腑をギュと締め付けられるようなシーンが出てくるんだけど、その中でも全ての人間に関わる『暴君』が言動が実はわたしには一番刺さってしまって、エンディングではポロポロ泣いてしまったんですよね…。
    死刑囚となった次男と獄中結婚した死刑反対派の女性から「それでも人間か!?」と罵られるシーンでのやりとり、表情からある種のモンスターであるなと思うと同時に『家族』の前に『家』という物に囚われた前時代的な人間の哀れな末路という感じで、本当にしんどかった。

    どのくらいしんどかったかというと、ラストカットで荒れた部屋の中で父親が一人で食べてた物が暫くは食べたくないな…(しんどい気持ちを思い出すから)てなるくらいだったという所からお察し下さい。

    いやあ、凄いもの見たな。
    返って映画館で見なくて良かったかも……。

  • ★★★★★it was amazing
    『葛城事件』  赤堀雅秋監督
    カツラギジケン  アカホリマサアキ

    幸せな家庭を求める家族を不幸にしてしまうパパ、精神を病んでいくママ、
    リストラを機に孤立していくお兄ちゃん、無差別殺傷事件を起こし死刑囚となる弟

    赤堀雅秋interview
    社会派の作品を世に問うたのではなく、「こういった現実がわれわれの地続きにある」という想像力を喚起したいだけなんです。できれば、映画を観終わったあともずーっと、悶々としてもらいたい。

    暗い、重い、すごいとこ描いてくるなぁ、抉るように
    誰が悪いのか? パパ?ママ?弟?お兄ちゃん?麻婆豆腐?ひょっとして陳健一?
    こんなパパいるよ、こんな夫婦よくある、こんな兄ちゃんいる、弟だって
    人間なんて、そんな完璧じゃない・・だから怖い。
    ちょっとした歯車の狂い、この家族にまったく愛がなかったと言えるだろうか?
    愛し方がわからなかった?ちょっとしたボタンの掛け違え
    この家族の無様さ、滑稽さ、残酷さ、狂気・・・・どんな家族にも現れる可能性を秘めているかも
    誰もが抱えている、もろさが描かれているかもしれません。

    この歌を捧げます  https://youtu.be/IBW_1Wp2Pnw

  • とにかく狂ってるな。
    どいつもこいつも。
    そしてとにかく嫌い。
    どいつもこいつも。
    あの事件を題材にしたらしいが、それはまったく関係ない感じである。
    正直全然関係ないと思った。
    そんなことよりとにかく嫌いなヤツしか出てこないし、まあイラッとする。
    そして割と普通にいるよなあこういう家族。
    もしかしたら自分もこの一員に入るかもしれないなあと思うくらい普通にいる家族。
    たぶんこんな感じで狂っている家族はアチコチにいるだろうと、そこがまたイヤな感じである。
    それにしても役者ってのはよくもまあこんな人間を演じられるものだ。
    感心する。

  • 次男は、最終的に何であそこまで追い詰められたのか?? 中間までは、まだ母親と一緒にご飯を食べたりしてたのに、、もう少し 母親が協力てきに仕事探しを手伝うとか、仕事ができないのであれば、家事をやらすとかすれば良いのに。次男は、結局自分は、生きている価値もない 自分には何もできない、いつ死んでもいいとゆう投げやりな人生を過ごしていて、その結果が殺人犯。 幼い時にあんなに可愛いかった子が、なんでこうなる?
    家族環境って本当に大切だと思った。家族環境で人生決まるってゆってもおかしくない。 どんな貧乏でも家族愛がある家庭で育った子供は、絶対ああならないし。

    結局 次男は、人を殺したのも親父の人生をくちゃくちゃにするためだと思う。 お前の子供は、殺人犯で何の取り柄もない糞息子。こうなったのも全部お前ら親のせいだって気持ちでやったんだと思う。 兄ちゃんは、自殺しちゃったけど、あんなどうしようもない次男だけど、兄として、守ってやるべきだったよ。兄ちゃんも頼りならないし母親は、イカれてるし、最悪なメンツが揃った家族。

  • 附属池田小事件をベースに、多くの通り魔事件に触発された舞台を、映画化したそう。
    個人的には秋葉原の加藤を連想した。
    映画的なのは時間のシャッフルだが、ざっくりと田中麗奈が出てくるのが現在、それ以外が過去という理解をすれば理解しやすく、効果的。

    感想をひとことでいえば「うわー……嫌な映画すぎて笑うしかないわ……」だが、もう少し気持ちを分析してみれば。
    『冷たい熱帯魚』のような喝采を叫べるものでもなく、『ダンサー・イン・ザ・ダーク』のように同情的に思えるわけでもなく、『凶悪』のように巻き込まれたらいやだなーと思える系列でもなく、
    ただただ身近に感じられてしまうがゆえの厭さなのだ。
    はっきりいって登場人物が他人事に思えない。

    兄:現在の自分。過去もこうだったけれど。(兄嫁:妻)
    弟:過去にありえた自分。
    母:叔母を連想。
    父:義父。父。そして将来の自分もこうなるかも、というかすでにこういう要素はないとはいえない。

    地獄は他所にあるのではなく、自分の生活自体が地獄の入り口であり続けているのだ。

    このような設定や状況の巧みさを、役者陣の演技が確かに支えている。
    新井浩文はこういう役もできたのね。身体を動かせないぶん表情が語る。
    若葉竜也は初めて見たが、猫背で唐突に前傾姿勢で歩き去っていく不気味さ。
    極め付けは三浦友和。
    この人がみかんの木で○○○しようとするが、その「逡巡のなさ」にぎょっとする。
    そして戻ってきて蕎麦を食べるのだが、その何気なさにもぎょっとする。

  • 家族4人に、獄中結婚の女、どこかおかしい人ばかりで、ずっと好きな緊張感。
    父親、食べながら終わるのもいい。

  • 映画上映されていた時から見たいと思っていた映画です。


    でも近くでやってなかった・・・



    DVDで見て、やっぱりすごい衝撃を受けた作品でした。



    三浦友和演じる無差別殺人を起こした男の父親。

    もう目の鋭さがすごい。

    今までの三浦友和ではない姿、もう心の底から嫌いになると思います。



    息子が大きな犯罪を犯してしまっても

    「俺が一体何をした」と繰り返し開き直る父親。

    それは言い訳ではなく、本心から思っている言葉です。

    仕事をして、家を建て、家族を食わしてやっている。

    そういう見栄と虚構に満ちた男が築いた家族。

    すべてが崩壊に向かう中に、見る人は全く自分とは違う家族だと思うかもしれないけど

    それでも震える気持ちにきっと他人事と思えない気持ちがあるんだと思いました。



    この映画、ヤバイ。

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