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- / ISBN・EAN: 4934569647269
感想・レビュー・書評
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本木雅弘さん(私の中ではもっくん呼びだけど)のクズっぷりな演技と竹原ピストルさんの荒っぽい感じの演技も良かった
子供達も上手に演じていて可愛い
子供のいない私が言うのもなんだけど、大人って、子供を育てる事によって自分自身を成長させているのかな〜と思った
子供のいない大人の全員が幼いって事ではなく、子供がいる事によって知らなかったことを知り、子供を育ててるつもりだけど自分自身をも育ててるというか…なんにせよ、守るべきものが増えるのは大変だと思う 私の選択にはなかった世界
子育てしている皆さん、お疲れ様です尊敬します という感想が出てくる(たぶん映画の趣旨とは違ってるんだけど)
ただ、所々印象的な台詞はでてくるんだけど、この映画で描かれてる幸夫(クズな人間)が言っても、なんだか薄っぺらく感じるというか…この作品の中で成長というか幸夫の中での変化はあるんだろうけど、子供達と接して生まれ変わったな感は無かったように思う
まぁ人間なんてその辺をいったりきたりなのかもしれないけどさ…そういう意味では人間味のある作品なのかもしれない詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
美術デザイナー:三ツ松けいこ「脚本を超えたものを用意して挑みたい」 | 映画と働く 第10回 - 映画ナタリー
https://natalie.mu/eiga/column/441735 -
2016年 日本 124分
監督:西川美和
出演:本木雅弘/竹原ピストル/藤田健心/白鳥玉季/堀内敬子/池松壮亮/黒木華/山田真歩/深津絵里
http://nagai-iiwake.com/
売れっ子作家の衣笠幸夫(きぬがささちお)=モックンは、美容師の妻・夏子(深津絵里)にいつも髪を切ってもらっている。髪を切った翌日、学生時代からの親友ゆき(堀内敬子)と山形へ旅行に出かけた妻の乗ったバスが雪道で湖に転落、彼女らは亡くなるが、そのとき幸夫は妻の留守に乗じて愛人(黒木華)を部屋に連れ込んでいた。
西川美和は、人気原作等に頼らずオリジナル脚本で商業的成功も可能な上に素晴らしい映画を撮れる数少ない監督だけれど、本作でもその力量は圧巻。冒頭の、髪を切りながらの夫婦の会話だけで、幸夫の高慢で自意識過剰なわりに卑屈で自己肯定感が低く他者に攻撃的な性格と、そこそこ売れっ子作家である幸夫の立場、自立しながらも献身的な妻の幸夫へのあしらい方、すでに冷え切っている夫婦関係、でもまるで我侭息子と母のような二人の関係をあますところなく描いていて凄い。
とにかくこの幸夫のクズっぷりの表現エピソードが上手く、そしてそれを演じるモックンの上手さときたら!なまじイケメンで頭も良いだけにナルっぽく、でも外面だけはいいお調子者、しかし妻や編集者などにはネチネチとしつっこく嫌味や愚痴を言い、酔うと余計なことまで言ってしまう幸夫の性格が、好き嫌いは別にしてとにかくわかりやすく観客に伝わる。
一方、夏子と一緒に亡くなった親友ゆきの夫・陽一は直情的で単細胞で声の大きいトラック運転手。およそスマートとは言い難い男ながら、妻に対する愛情いっぱい、妻の死にストレートに悲しみを表現する純情一途な男。普通なら絶対に友達にはならないこの陽一と幸夫、そして陽一の子供たち(小6男子と幼稚園女子)の世話を幸夫が引き受けたことで、奇妙な疑似家族が構成されてゆく。
男としてかなりクズな感じの幸夫だけれど、思いがけず子供の相手は上手く、繊細な息子ちゃんとも、まだ頑是ない娘ちゃんとも、結構ちゃんと打ち解けられるし、ここだけ切り取るとかなり素敵なおじさんだ。その実、幸夫の無意識下には亡くなった妻に対する罪悪感のようなものがあり、若い担当編集者(池松壮亮)に指摘されたように、母を亡くした可哀想な子供たちに優しくすることで妻に対して贖罪する気持ちもあったのかもしれない。
しかしそれだけでなく、もっと複雑な葛藤があったのだと思う。自分のような人間の遺伝子を残したくない、妻だって俺の子供を産みたくなかたはずだ、と頑強に言い張る幸夫が、接してみれば案外子煩悩だったというこの自己矛盾。妻の死を泣けなかったのは、彼女への愛が冷めきっていたからではなく、生前妻に感謝することをせず愛人まで作っていた自分に嘆く資格などないという気持ちが強かったのもあるだろうし、ただただ認めたくない、現実を認識できない彼の弱さもあったのだろう。陽一を励まし、子供たちを慰めながら、実は自家撞着をおこしていたのは幸夫自身のほうで、そしてテレビカメラの前でそれを噴出させてしまった場面よりも、家族のだんらんの場面で悪酔いしてしまった場面のほうは本当にハラハラした。
実は幸夫と同じく、母親が死んだときにある理由で泣けなかったと言う陽一の息子の言葉が、実は逆に幸夫を救ったのではないかと思う。クズでゲスで最低だけど、どこか滑稽で憎めない幸夫を演じたモックンはもちろんのこと、出番は僅かながら相変わらず抜群の透明感で本心を読ませないまま逝ってしまった夏子を演じた深津絵里の存在感が素晴らしかったです。子役ちゃんたちも可愛かった。 -
人気作家の津村啓こと衣笠幸夫(きぬがささちお)(本木雅弘)は、妻(深津絵里)が旅先で不慮の事故に遭い、親友とともに亡くなったと知らせを受ける。その時不倫相手(黒木華)と密会していた幸夫は、世間に対して悲劇の主人公を装うことしかできない。
そんなある日、妻の親友の遺族―トラック運転手の夫・陽一(竹原ピストル)とその子供たちに出会った幸夫は、ふとした思いつきから幼い彼らの世話を買って出る。保育園に通う灯(あかり)と、妹の世話のため中学受験を諦めようとしていた兄の真平。子供を持たない幸夫は、誰かのために生きる幸せを初めて知り、虚しかった毎日が輝き出すのだが、科学館の実験教室をやっている鏑木(山田真歩)の家で陽一の子供を預かることになり、生き甲斐を奪われ新しい生活に踏み出した陽一に嫉妬したことから心にもないことを幸夫は言ってしまう。妻の死と向き合えない幸夫と陽一に、明日は来るのか?
西川美和が自作の小説を映画化した傑作ヒューマンドラマ映画。
広島カープの鉄人衣笠と同姓同名であることがコンプレックスでひねくれていたが陽一の子供の世話をしていく中で生き甲斐を取り戻していく衣笠を人間味たっぷりに演じた本木雅弘と自分の感情に正直な陽一を演じた竹原ピストルふたりの妻の死の向き合えないもどかしさ、子供から洗濯物の畳み方を幸夫が教わったり一緒に料理したり幸夫と子供の不器用ながらリアルな交流、妻の死を引きずり子供の悩みに向き合えない陽一の不器用さと自分の悩みに向き合えない父親に対する真平の苛立ち、妻が死ぬ前に「自分は夫を愛していない」とメールを作成したことに対しての怒りから妻を悼むことが出来ない幸夫のもどかしさ、「人は強いし弱い」「愛する人を簡単に離すな」人を愛することのもどかしさと素晴らしさを描いた傑作ヒューマンドラマ映画です。-
daiyuuki24さん
フォローをありがとうございます。
こちらからもフォローさせていただきます。
よろしく。
たくさんの映画をご覧にな...daiyuuki24さん
フォローをありがとうございます。
こちらからもフォローさせていただきます。
よろしく。
たくさんの映画をご覧になっているのですね。
参考にさせていただきます。
「永い言い訳」本木さんと深津さんのお芝居が良かったですね。
ピストルさんのちょっとダメ親父っぽい男にリアルさがあったなあ。2022/12/24 -
moboyokohamaさん フォローありがとうございます。本木雅弘さん、情け無い男の演技がリアル感あって、竹原ピストルさんはイメージ通りで...moboyokohamaさん フォローありがとうございます。本木雅弘さん、情け無い男の演技がリアル感あって、竹原ピストルさんはイメージ通りでした。2022/12/24
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「そうか~ こんな」映画だったのか」
「僕みたいに
愛していいはずの人が誰もいない人生になる」
はたして私はどうなのだろうか
妻も子供もいる、だけど陽一(竹原ピストル)のようにストレートな感情ではないように思う
どちらと言われれば幸夫(本木雅弘)よりのように思えてなりません
気持ちがわかるのですよ、全部じゃないけど
子供の時からあまり感情を表に出さずに今まできましたからね
笑いますよ大声で、でもたぶん装ってる、それか演じているとでも言いましょうかね
自分の本音を酒飲んだって言わないんです
たぶん尋問されたら直ぐしゃべっちゃうけどね
だって大したこと考えてないから
何でも我慢しちゃうんですよ人といると
それが家族でもです
だから時間があれば一人になってる
映画見たり山行ったりね
いまさら変えられないでしょ
その点で言えば幸夫君は凄いです
他人の家庭を見返りなしで助けているのだから
あれが妻に対しての謝罪というか自分への言い訳なのでしょうね
突然人がいなくなるって辛いです、歳を取っていたり長患いとかでなければそんなこと思わないものね
そればっかりは誰にもわかりわしませんね
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本木雅弘の独演会。愛嬌で、プラスワンとしての竹原ピストルかな。
この映画を見て、樹木希林さんはどう感想を言ったのだろうかな。
「大丈夫。そんなに真面目にならなくても、力ぬいて」とか。
俳優という職業意識を持って、俳優として人間を演じる。
自分という存在を解体して、新たなる演技者を構成する。
簡単に、映画を見ているけど、大変なことなんだね。
主人公の本木雅弘/衣笠サチオは、作家になる。そして作家であること。
そのことにこだわりながら、生活している。
「妻を信じられない。
自分の子供を欲しくない。
妻も同じように、子供嫌い」ということを真顔で語る。
妻の愛情のカケラさえもないというメッセージに、呆然とする。
友達と旅行に出かけるという妻を見送って、
違うガールフレンドを、自分の家で愛していると
そこに、妻の交通事故死の連絡がある。
状況としては、最低の状況。その中で、
妻に対しての思いをどう表現するのか?
素の自分と小説家として演じる自分の人格の違ったものが
ぶつかり合いながら、語り始める。
妻の友人も一緒になくなる。その友人の旦那さんは、トラック運転手。
その繋がりで、親しくなる。それから、
ミチオはトラック運転手の家族にはまり込み
小学生の息子と保育園の娘と奇妙な 擬似親子になる。
ミチオくんと呼ばれることに、違和感もない。
不思議と、安らぎを覚えたりする。
その均衡が破れた時に、やっと自分を取り戻すことができた。
瞬間的に感情を爆発させ、またそのことにさいなまされる。
今の時代の 現代人の悩みを 全部背負いこみながら、生きていく。
その生きていること自体に 「言い訳」をする。
そして、その言い訳は、死ぬまで 続けざるを得ない。
言い訳とは、背負った十字架のような存在。
素直になろうとする自分と 素直になれない他人の自分。 -
「一筋縄ではいけない人間の、ホントとウソを描いてきた」監督・西川美和の作品だけあって、一筋縄ではいかなかった。主演の本木雅弘はさすがだが、助演の竹原ピストルは、とてもいい味出していた。竹原ピストルいいねえ。あと子役の藤田健心くんは、もう立派な俳優だよ。大人との微妙な距離感をしっかり表してくれていてよかった。
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立川シネマシティで観た。
西川美和が自作の小説を自ら脚本化し、映画化した作品。
とてもよかった。西川美和の監督作品でいちばん好きかも。
私は彼女の映画では、世評高い『ゆれる』や『ディア・ドクター』があまり好きではなく、監督デビュー作の『蛇イチゴ』を偏愛している。この作品には、『蛇イチゴ』から経た14年分の成熟が感じられて、素晴らしい。
是枝裕和の弟子である西川が、これまででいちばん師の是枝に接近した映画という印象を受けた。
本作で竹原ピストルが演じる役(一世一代のハマリ役!)は、是枝の『そして父になる』でリリー・フランキーが演じた役と、もろにオーバーラップする。
また、本木雅弘演ずる主人公の小説家は、是枝の『海よりもまだ深く』の主人公である売れない小説家(小説で食えなくて探偵をしている)と、そのダメ男ぶりがやはりオーバーラップする。
子役2人の演技が絶品なのだが、子役の素の演技を引き出す演出力などは、まさに師匠譲りであろう。
しかし、是枝作品と比べると、西川作品ははるかに毒気が強い。苦いユーモアとアイロニー、愛の不毛が随所にちりばめられ、観客を「すんなりと感動させない」のだ。お子ちゃまにはけっして理解できない、大人のためのビターな映画。
まだ「従藍而青」とまではいかないが、いまや西川はたんなる弟子の域を超え、是枝にとって最大のライバルとなったのではないか。
それにしても、本作の本木雅弘、深津絵里が妻なのに黒木華を愛人にするとは、豪気な話である(私から見て)。 -
映画を見終わって、小説にこんなシーンや設定
あったっけ?と思う。
多分文字と映像では印象がだいぶ変わったのだろう。
駄目男の再生と妻への葬いを描く映画だが、
その描き方が斬新だ。
利己的に生きてきた本木さん演じる主人公がバスの事故で
妻に先立たれる。依存してはいたが向き合ってこなかった
妻が死んでも、涙を流すこともできない。
愛人にも去られ、新たな逃避先は、同じ事故で
母親を亡くした他人の子供の世話。
何かうまくいきそうなように見えたが、
そんなさなかに届く死後の妻からのメッセージ。
ひとかけらの愛もないほどに、冷めてしまった夫婦と
溢れんばかりの愛情深い家族。
どちらもいくらでもいそうな家族だ。
愛とは、依存なのだろうか?
支え合うを言い換えればそうかもしれない。
子供にとっての母のように、いるのが当たり前だった妻を
亡くし主人公は、明らかに苦しんでいる。
でも、同じようには悲しめないのだ。
長男が泣くことができなかったように・・・。
でも、平気だったわけでもない。
人の持つ弱さを肯定してくれているような、
人の持つ不安定さに寄り添うような、そんな映画でした。
誰だって完璧じゃないでしょう?と問われている気がするのです。 -
「もう愛してない。ひとかけらも。」
長年夫婦をしていると
こう思う瞬間が何度かある。
でも亡くしてしまって大切だと気づくんだろうな。
今一緒にいるこの時間を大切にしようと思った。 -
小説は未読。
この映画に神の視点は無く、主人公の幸夫が見た・聴いたことしか分からない。妻が死んでも泣けなかったって、そりゃそうだ。だって泣くには、何も知らなさ過ぎる。ただごっそりと滑り落ちた過去に対する不安感が全編に横たわっている。
幸夫はクズ男の見本のような人間。周りのことは見ようとしないのに、世間の評価に怯えている。(幸夫の行動を見ていると、自己嫌悪も一種のナルシシズムだと実感する。)生活の舵を、妻が良い方向に取ってくれることにも気付かない。
妻というシェルターに甘えて生きて、失くして、ポンと世間に放り出されて初めて、ほんとうの孤独の恐ろしさを感じる。先の人生の途方もない永さに尻込みする。
そんなとき夜のタクシーで、自分と近しい孤独を抱える真平に、その家族に、次のシェルターを見いだす。同じように突然家族を失い、その一人分、家族という箍が緩んでいたので、そこにするりと入り込めた。ほんとうの家族のように。
疑似家族に縋る幸夫の危うさは、薄氷を履むというには繊細すぎるけれど、泥濘の上のベニヤ板を歩いている感じ。落ちたらみっともなく泥まみれになるから、こわごわ歩いているような。それでも他者と触れ合い、世間という不特定多数ではない、「誰か」の中にいる自分を感じて、疑似家族に逃避以上の意味を感じていく。
いつまでも妻の死を引きずる陽一を叱責するシーンがあるけれど、陽一がしゃんとして、一家がまとまって行くほど、紛れ込んだ幸夫が異分子だと突きつけられる。その事が、恐ろしくてたまらなくなり、自分から破滅的に飛び出してしまう。
最後に真平と、事故を起こした陽一を迎えに行った帰路、真平は陽一のトラックに乗るけれど、幸夫は乗れない。辿る道は同じでも、ほんとうの意味では同じになれないことの象徴的なシーンだ。
行き道には確かに居た一人分の空席を感じて、帰り道はきっと寂しい。その孤独を埋めるものが、物書きとしての自分だと思い出してペンをとる。今書かなくてはいけない、と。
過去の墓標に、妻と陽一一家が笑う写真を掲げて、幸夫は物書きとして、自分の足で、破れかぶれでも生きていけるようになったのだと思う。 -
普通の人間のちょっぴり見られたくない部分を抉るのがうまい西川監督らしく、妻の死という哀しいテーマなのに、少し滑稽で、きれいごとにしないところがリアリティがあって好きでした。
自分の後ろめたさを隠すように妻に嫌味をい続けるとこや、妻を失うと自分のことが何もできないほどなのに、他人の家庭に一生懸命関わって自分の背負っているはずの十字架を少し軽くしてみたり、、後から色々なことに気がついてそれが手遅れだったり、、
西川監督はとことん男の弱い部分とか、嫌らしい部分をまるで胸のなかをメスで切り分けるかのように描き出すので、男性は観ていて少しソワソワしてしまうかもしれない。
人はみんな完璧に良い人にはなれなくて、小賢しかったり、ズルかったり、残酷だったりすることもあるけど、そんな自分の過去の行為に蓋が出来ないから、なんとなく他で良いことしたりして自分に対して言い訳をしているところがある。だから永い言い訳ってこの映画の幸雄くんだけじゃなくて、みんなにとっての言い訳の物語なのかな。少し自分もドキッとさせられました。
キャスティングかとてもよくて、特にとと姉ちゃんで青葉ちゃん役してた子役の子の演技が自然体のうまさで驚きました。
子供の演出も含めて、今までの西川監督の映画の中でも是枝監督色の強い作品で、役者そのものの素材とか本質をしっかりと活かした脚本なので、勿論好き嫌いが、あると思いますが、個人的にはすごく好きな作品です。
深津絵里さんを、美しく映していた映像が印象的で、特別に泣かせるシーンはないのに随所で涙が出ている自分に気がつきました。 -
邦画だからこそできる、繊細な心の描写とストーリーで、「泣く」といった単純な感情表現よりも、もっと複雑で苦しい幸雄の描写が生きた作品。
妻が事故で死んだ時、彼は部屋で不倫の真っ最中だった。愛も冷めていて、ただ、突然20年連れ添った妻が居なくなり、戸惑う自分がいる。
全く泣かず、それほど凹まず。作家のスキルを活かして葬式のスピーチはもっともらしく振る舞い、その後はネットでエゴサーチ。
人間の汚いところ、弱いところを巧みに演出している。
傲慢で偉そうに編集者に当たったり、モノを投げつけたり。
いるよなあ、こういう人。
でも、そんな一見最低の男である幸雄が、本当に根っからの悪いやつじゃなくて、彼なりの繊細さや優しさも持っている。
人一倍繊細で、傷つきやすくて、自尊心も強い、感情表現が苦手な不器用な人間なだけなのだ。
妻とともに亡くなった友人の一家で主夫として家事を手伝い、子供達とも仲良くなる。彼らの生活の中で支えになりながら、「人と交わること」で得られる温もりのようなものを思い出す。
そんな行為を、マネジャーからは「子供達の面倒をみるのは最高の免罪符だ」とズバリ指摘を受ける。
幸雄なりに妻の死は辛かったが、不倫もしていて最低な自分であるのもわかっていて、そんな状態を受け入れる、昇華するための罪滅ぼしなのだ。
とはいえそんな自分が、実は妻に愛されていなかったことが分かるメールが見つかり、さらに家族にとっても「要らなくなるかもしれない」というシチュエーションが出てきた。急に不安になり、不器用になり、本音だが言ってはいけないことをぶつけてしまう幸雄。
これまで素晴らしい関係を作ってきたのに、最後までどれだけ不器用なんだ…。
自暴自棄に再びなった幸雄だが、家族の危機に再度呼び出され、そこで素直な本音を。
「自分を大事にしてくれる人を大切にしないとダメだ。そうしないと、僕みたいに誰も愛せなくなってしまうんだ。」
なんという、脆く、そして確信的な一言。彼の不器用さは、やはり、そういった免罪符の中で生まれてきていたのだ。
最後は妻とのストーリーを本に書き、みんなと幸せになり、エンディング。本の中では「人生は他者」という一言。これも深い。
不器用な幸雄が、人と関わり始めるような一歩目なのだろうか。
憂だ感じや、感情表現がとつとつとしているところ、妙に男前なところ含めて、モッくんが最高にハマリ役だった。
竹原ピストルさんや子役の2人も上手い。
すごく、よい映画。 -
どうして大切なものは気付いた時にはもう失ってしまうのだろうか
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熊切和嘉監督の作品に竹原ピストルが出ていて、この役者さん(実はミュージシャン)は妙に味のある演技をする役者だなと思っていた。ベテランではないが彼にしか出来ない個性的な雰囲気がこの『永い言い訳』の中でもトラック運転手の役で際立っている。わっ、なんだこいつおっかねえぞ何言い出すんだという空気の中、ニコリとした表情から不思議な優しい雰囲気を出すギャップがたまらない。
そして、花子とアンの毒舌小説家で宇田川満代を熱演して話題となった、山田真歩も出ていた。彼女も不思議な役者さんだ。あの、吃りとオドオドした台詞回しは彼女にしか出来ない演技だろう。サイタマのラッパーアユムちゃん、宇田川満代、そして今回の鏑木さんと多才な才能を魅せる女優さんなのだ。
今後この二人の俳優さんに期待したい。この二人の俳優と可愛い子役がいなかったらつまらない映画になっていたに違いない。 -
バス事故で家族を失った2家族の交錯が描かれている。
日常、忙しさや甘えで一番身近な人を大切にできてないかも。と振り返させられました。原作も読んでみたいです。 -
やっと見た。
しんぺいくんがひたすら可愛くて救いだった。
もっくんはひたすら情けなかった。
全体的に、すごくよかった。
愛してない、ひとかけらも
そりゃそのくらい、送信しないメールに書きたくもなるよ。でもだから、心が全然無かったかっていったら全然違う。すごく、わかる。違うんだって、わかる人は多いだろう、よくあることだから。
でも彼が、このシチュエーションで見てしまったら、それを推し量れず投げつけてしまう気持ちも、わかる。
どのひとのどの言葉も、わからない、が全然無かった。
でもだから、胸が苦しい。
愛する人を、愛してくれる人を、大事にかー。手を離さないでできるだけ。
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子育てしてれば良い人間になれた気になってる大人って実際多い。
主人公は死んだ妻もよその子供も利用したにすぎない。
まあ生きていかないといけないからしょうがないんだけど。
本木の不倫相手が黒木華て。生々しくてなんかザワザワした。。 -
失ってはじめて気づくこと。
感じること。
というのは人生においていくつもあります。
この作品の内容においてもそういうところあるのではないかと思います。
なぜあのときに・・・
と誰しも思いますが,それを経験や体験せずには生きていけないのが人間ってやつなんでしょうね。。。。
日々,ベストだと思う選択をして生きていきたいですねー -
本、まだ読んでない。映画から。
ほんとは本→映画がいんだけど。
なっちゃん、子供いらないって。
旦那が嫌がるから諦めたんだろう。
子供が欲しいのが勝てば、旦那とは別れるだろうし。なっちゃんは旦那を愛してたんだと思う。
子育てしたことないおじさんが
急に他人の子の面倒みる。無理無理。
でもあんなに穏やかに子供と付き合えるんだから、
子育ての素質はあり、だったんだろう。
天狗先生なのに、意外と子煩悩で。
いきなりいいひと。
寂しさを紛らわすかのよに、すごく世話する。
どれほど妻を愛してたのか。
妻は自分を愛してくれていたのか。
向き合うことは辛くて、逃げたけど。
ひとの役には立ってた。
子育ては大変だから、
助けてもらえるのはありがたい。
奥さんが亡くならないと、
こんなこと起きなかった。
孤独からも生まれるものがある。
哀しむだけにせず、奥さんに感謝しないとね。
今からまだまだ永い人生、
心あったかく過ごせたらいいね。 -
普段はあまりこういった泣かせの映画は見ないけど、とても良かった。竹原ピストルがハマり役というか、竹原ピストルってこういうイメージ!という感じ。
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素晴らしい。何も言葉が出てこない。ヘンデルがこれほど合う作品もそうない。これが「この世界の片隅に」や「シン・ゴジラ」より下とか、キネマ旬報ベストテンって、どうなってんの?アホ。圧倒的でしょ?河瀬直美と並んで、ここ十数年の日本映画の最高の収穫。
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モックンの演技はさすがだなぁ~
黒木華とのシーン、最低な演技がまた素晴らしい。
子役の男の子のセリフ、
寂しさと苦しさと…なんかいろ~んな感情が伝わってきた。
子どもの気持ちというものを客観的に見ることが出来て、良かった。 -
最後まで評価が難しい作品だったが、締めが素晴らしく、良作だと確信した。
揺れ動く人の心、関係性は立ち止まらなければ分からない。しかし、現実はただ流れていき、答えの見えぬままに進んでいく。
男は人生をそのまま進めることもできただろう。虚栄に身を固め、享楽に身を任せる人生。それはそれで、否定も肯定もなされるものではないかもしれない。
しかし、妻の死により、強制的に立ち止まることになり、逃避やそれまでであれば平気でつけた嘘にぶつかることで、自身や他人との関係に向き合うことになる。
仮初めの関係性への逃避だけでは人は幸せになれない。このテーマだけでは、余りに現実的で、ありきたりである上に辛いだけだ。
本作ではその裏側にある、今ある、いつ終わるか分からない関係性に向き合って生きていくべきだというメッセージも同時に打ち出すことで、説得力のある、希望の見える優しい空気を残した素晴らしいラストシーンに繋げることに成功している。
綺麗なだけではなく、汚いだけでもない。
その狭間を揺れ動くことで、嫌味なく人間に肉薄している点がこの作者らしく、素晴らしいと思った。 -
失って初めて、失ったものの大切さを思い知る。
人間にはよくあることだ。
だが、これは夫婦という形において、
これほどまでに切ないものは無いのではないだろうか。 -
竹原ピストルさんが、怖くていい人を演じている。黙って立っているとすごい迫力がある。そこからの笑顔がまた最高に面白い。
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失って初めて気づいた妻の存在
大宮家に触れることで家族というものに依存してしまい、ワークショップの女が出て来て居場所を失う、そこでようやく主人公の本当の姿が見えてくる
他の人のレビューにあったが
妻→夫への「もう愛していない。ひとかけらも」
が
夫→妻への「(あなたは)もう愛していない。(私のことを)ひとかけらも」
なのではという解釈をされており、答えのない問いがいつまでもぐるぐる回ってしまいました