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感想・レビュー・書評
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大恐慌時代に何が起こっていたか、そしてその当時の世相を教えてくれる本。
約100年前であっても不況の際に起こることは現代とそう変わらないという印象だった。大体以下のようなことが起こる。
・需給の悪化(需要不足or供給過剰)
・物価の下落
・賃下げや失業者の増加
・企業倒産の増加
・景気後退
・資本流出、資本逃避
・資金調達コストの増加
・信用収縮
一度悪循環、逆回転に入ると容易にはそこから抜け出せず、件の世界大恐慌でアメリカはニューディール政策を実施し、不況からの脱却を図ろうとした。
この当時は不況に対して政府が財政出動するのが定石といった観念は定着しておらず、ケインズがまさに生きたその時代に社会で起こったことを基礎として、今一般的になっている経済学が形作られていったように見えた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
新型コロナウィルスによるステイホームの最中に読了。アメリカ経済史が中心なのでNHKあたりで番組化してほしい、字面ばかりだと頭に残りにくい。やはり金融緩和のみならず財政出動が必要、いやそれだと国の借金がふくれあがる、など経済政策も一本調子では決まらなかったようで、かの有名なニューディール政策も数多くの経済政策の1つにすぎず全てを解決する魔法というわけでもなかったようだ。
注目すべきは、大規模な公共投資をてこにして失業を吸収する救済事業では『そこで働くことで得られる賃金は保障賃金として、民間水準よりは低く、かつ、生活保護などの直接救済よりは高く、そうすることで、労働者がのしあがりたいというインセンティブをもてるようにする』という意識で設定されていたこと。ところが、その結果、同じ公共工事を発注するにせよ民間企業に発注するよりも救済事業体に発注するほうが人件費が安く請けれる関係で、民業圧迫になるという事態が生まれたそうだ。これって法テラスとちょっと似てますよね