「原因と結果」の経済学―――データから真実を見抜く思考法 [Kindle]

  • ダイヤモンド社
3.88
  • (24)
  • (28)
  • (25)
  • (3)
  • (1)
本棚登録 : 325
感想 : 30
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (225ページ)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • とても学びのある内容でした。
    特に文献の読み方が雑になってしまっているのを感じていたので、この辺りを学び直してより適切な解釈をできるようにする必要があると切に感じました。

  • 「相関関係と因果関係を間違えるなよ」ということを長々と非常に分かりやすい事例を用いて何回も述べている初学者向けの本。30分あれば読める。これを読んでいれば間違いないという十分性は微妙だが、EBPMという分野の必要条件であることは間違いがない。

  • audiobook
     ある2つの事象についての因果関係の有無を推定する因果推論の入門書。統計データ分析の入門書と言ってもいい。因果関係と相関関係の違いについて、さまざまな具体事例を元に解説されている。メタボ健診を受けていれば長生きできるのか、認可保育所を増やせば母親は就業するのか、といった身近なテーマを題材に、因果関係が成立しているのか否かをほとんど専門用語を用いずに論じている。さらっと楽しく読めてためになる。
     ニュースのアンケート結果なんかをむやみやたらに信じ込んでしまう人にはぜひ読んで欲しい一冊。サンプリングのやり方がおかしいんじゃないかとか、逆の因果関係なんじゃないかとか、いろんな切り口が持てるとニュースを鵜呑みにしなくなるはず。
     以下、備忘録。
    ■因果推論のチェックポイント
    ・まったくの偶然ではないか
    ・比較事象に関連する別の事象(交絡因子)が存在しているのではないか
    ・逆の因果関係ではないか

  • 統計学の考え方をまとめたもの。ジュエリーショップで広告を出すことが売り上げに貢献するか否かなど、簡単でわかりやすい命題を用いて、さまざまな統計学の考え方や方法を説明している。有効性や課題の概要を理解できた。世の中の報道には、実にあいまいで真偽の疑わしいものが多いことを理解したが、なかなか見分ける知識も身に着けるのは、難しいように感じた。
    「経済学では「2つの事柄のうち、どちらかが原因で、どちらかが結果である」状態を、因果関係があるという。一方で「2つの事柄に関係があるものの、その2つは原因と結果の関係ないもの」のことを相関関係があるという。因果関係と相関関係をきちんと見分けることが重要」p2
    「単なる偶然にすぎないのだが、2つの変数がよく似た動きをすることを「見せかけの相関」と呼ぶ」p28
    「まったくの偶然によって表れる相関関係が意外にも多いということを心に留めておかねばならない」p31
    「「第3の変数」を「交絡因子」と呼ぶ。これは、相関関係にすぎないものを因果関係があるかのように見せてしまう厄介者だ。(「体力がある子供は学力が高い」という命題における「親の教育熱心さ」など、原因と結果の両方に影響を与える因子)交絡因子が存在しているかどうかを疑ってみることが重要」p32
    「次に疑ってみる必要があるポイントは「逆の因果関係」である(「警察官の多い地域では、犯罪の発生件数も多い」という命題は、どちらが原因か)」p33
    「因果関係がないにもかかわらず、あたかも因果関係があるかのように勘違いしてしまうことは、たいていの場合、反事実を正しくイメージできていない場合に起こる。(子供を有名大学に合格させた親が「一切子供にテレビを見せなかった」と言った場合、多くの人は「テレビを見せなかったから学力が高くなった」と思ってしまう。「テレビを見せた場合の学力」という反事実における結果と比較しなければ、因果関係は証明できない)」p46

  • ●因果関係と相関関係
     原因と結果両方に影響を与える第3の要素(=交絡因子)の存在に留意。

    ●反事実:想定する原因が発生しなかった場合の結果。
     当然それを観察はできないため、もっともらしい(=比較可能な)データで補完
     エビデンスレベルの高いものから、
     ・メタアナリシス:複数のランダム化比較実験を統合
     ・ランダム化比較実験:対象をランダムに介入群・対象郡に振り分けて観察
      -->コストや倫理的課題(病にも関わらず薬以外を投与、など)は課題。
     ・自然実験と疑似実験:世の中にある”実験のような状況”を上手く利用することで
      因果関係を評価。
      例:法律や制度の変更/自然災害等により強制的に発生した介入群/対照群を利用
     ・回帰分析:既に手元にあるデータから計算。交絡因子のデータが手元にあれば
      それを取り除いで計算可能。

    ●疑似実験:観察/統計データを用いてあたかもランダム化比較実験と同じ状況を
     ”作り出し”す手法
     ① 差の差分析:介入群/対照群それぞれについてbfe/aft(広告の実施有無)で
      データを計測し差分を計測。トレンドの影響を
     ② 操作変数法
      結果には影響を与えないが原因には影響する変数の存在を利用して比較。
      例:広告枠単価 本来広告の出稿有無は店長のやる気などの変数が絡むが、
      一律の出稿費用削減により広告出稿は一律に伸びるはずで広告効果を可視化可能
     ③ 回帰不連続デザイン
      従業員数50名以上では広告を出稿、などしきい値を設けると49と50の間に
      ジャンプが生じる。各プロットに傾きがあった場合でもこのジャンプが実質効果
     ④ マッチング法


    ●統計的に優位:偶然で起きる確率が5%未満であること
     ※5%は統計学者が目安で決めた数字。コインが5回連続で表/裏で出る水準。

  • 因果関係と相関関係の違いやエビデンスレベルの話など事例や実際の研究を交えて説明していて、日々データを見る上で気をつけなければいけないことがまとまっていて、とてもわかりやすく、読みやすい。

  • データ分析の根本的な考え方をいくつかの実験をもとに説明した本。結論と実験の行き来って感じで構成としてもわかりやすかった、良本。言われてみればそりゃあそうだなと知ったかぶれるけどちゃんと理解できてるか怪しくなるテーマだったので随時読み直したいレベル

    以下メモ
    ・因果と相関
    因果関係:原因があって結果がある関係性
    相関関係:2つの事柄に関係はあるものの、原因と結果の関係にないもの
    特に相関関係を誤って因果関係と捉えると大きな齟齬を生む

    ・因果関係チェックポイント
    全くの偶然ではないか
    第3の変数は存在してないか
    逆の因果関係は存在してないか

    これらを証明するために反事実(たらればのシナリオのこと)が存在する
    エビデンスという言葉は経済学では因果関係を示唆する根拠のことになり、相関関係を示したものはエビデンスと呼ぶことはできない

    ・「実験」を使うことで因果関係を証明できる
    因果関係か相関関係なのかを証明する確実な方法は実験である。専門用語で「ランダム化比較実験」と呼ぶ
    人間が選択をすると「セレクションバイアス」がかかり、正しい実験結果が結びつけられない
    ランダム化比較試験を用いて収集したデータのことを実験データと呼ぶのに対して、日常的な経済活動や政府の統計調査などを観察データと呼ぶ


    ・統計的に優位とは
    偶然による誤差の範囲である確率が一定の数値(5%)以下であるときに、統計的に優位とし、「意味のある差」となる

    ・操作変数とは
    結果には直接影響を与えないが、原因に影響を与えることで間接的に結果に影響を与える第3の変数。広告割引キャンペーンとか

    ---
    検診は寿命を伸ばす因果関係が確認されているものが多い。健診は健康診断のようなチェックのみ

    認可保育所を増やしても母親の就業率は上がらないという実験結果が出ている

  • 伊藤公一朗さんの「データ分析の力」を読んで、日本語の入門書として次に読むのに良いと勧められていた物だったので選びました。

    ある2つの事柄が因果関係(2つの事柄のうち、どちらかが原因でどちらかが結果である関係)なのか、それとも相関関係(2つの事柄に関係があるが、原因と結果の関係にないもの)なのか。
    データから分析する思考法を勉強することができました。

    統計学・データ分析共に初心者の自分でも、どのような手順で調べるのか、そのデータからどんなことを読み取るのかが、なんとなく理解出来た気がしました。
    政策で偉い人が言っているからそうなのかな…と思うようなデータも、もしかしたら因果関係はなくて、相関関係にあるだけなんじゃないかな…と鵜呑みにしすぎない方がいいことを知りました。

    ただ、これで詳しい調べ方が分かる訳ではないです。
    数式も出てこないです。
    どちらかと言うと、「こういう手法、考え方で調べる」という“知恵”が紹介されている本…という印象を受けました。

  • 因果関係と相関関係。昨今のコロナ報道を見ていると、この2つを意図的に取り違えさせようとしているのでは、と邪推したくなるレベルのものも多い。

    冒頭に紹介される「軽薄な人間は運勢を信じ、強者は因果関係を信じる」(ラルフ・エマーソン)という言葉は確かに説得力がある。

    ビジネス(経済)の世界では「反事実」つまり「何かをしなかった時の状況」をいかに導くかが難しい。例えば広告を打った場合とそうでない場合の売上推移を、両者を全く同じ条件下で両方やってみることは不可能。新薬開発等では、ほぼ同症状の患者を一定数集め、一方に偽薬を処方することでこの測定ができるのと対象的。

    「#原因と結果の経済学」(ダイヤモンド社、中室牧子、津川友介著)
    Day209

    https://amzn.to/33nf17h

  • 2017年3月1日(水)にKindle版を1,555円で購入。ものごとの因果関係を見極めるために必要なポイントが、具体的な事例を参照しながら解説されている。つっこみたいところはいろいろあるけど、それこそ本書を読んで読者が自分でつっこめるようになればいいわけで、ものごとを論理的に考えられるようになる第一歩として、多くの人に手にとって読んでもらいたい一冊。

全30件中 11 - 20件を表示

中室牧子の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×